Xリーグのオービック・シーガルズは4月1日、前早稲田大学ビッグベアーズ監督の濱部昇さんがアソシエイトオフェンスコーディネーターに就任することを発表した。
 濱部さんは1963年生まれ。早大高等学院でアメリカンフットボールを始め、早大ではQBとして活躍した。社会人のさくら銀行ダイノスでもQBを務めた後、母校の早大学院に戻り、同校教諭として教壇に立ちながら、フットボール部監督として生徒たちを指導、2010年から全国高校選手権・クリスマスボウルを4連覇した。早大ではQBコーチを経て2014年に監督に就任し、ビッグベアーズをチーム史上初めて2年連続甲子園ボウル出場に導いた。
画像: オービックの選手たちの動きについて意見を交わす大橋誠GM(左)と濱部昇アソシエイトオフェンスコーディネーター=オービック習志野グラウンドで2017年2月25日 撮影:小座野容斉

オービックの選手たちの動きについて意見を交わす大橋誠GM(左)と濱部昇アソシエイトオフェンスコーディネーター=オービック習志野グラウンドで2017年2月25日 撮影:小座野容斉

 2月25日のオービック今季初練習の日。見慣れた長身の人物が千葉県習志野市のオービック茜浜グランドに立っていた。その人がアメリカンフットボールの練習を見ている光景は極めて自然だが、この場所にいることが驚きだった。

 前早大監督の濱部昇さん。前日に古庄直樹ヘッドコーチ(HC)が「明日、グラウンドへ来たら、サプライズがありますよ」と語っていたのはこのことだったと気づいた。

 人脈としては、不思議はなかった。今年1月にゼネラルマネージャー(GM)に就任した大橋誠・前HCは早大出身。濱部さんが4年生の時の2年生だった。現役時代にはLBとして濱部さんのパスをインターセプトしたこともあったという。大橋GMは、濱部さんが早大監督を退いたのを知り、連絡を取った。何度か会食をするうちに、お互いがお互いを必要としていることが分かり、そこからとんとん拍子で濱部さんのコーチ参加が決まった。

 早大の4回の甲子園ボウル出場のうち、2002年はQB波木健太郎(元アサヒビール)、2010年はRB末吉智一(IBM)という、傑出したオフェンスのスターがチームをけん引していた。しかし直近の2回は、オフェンスではずば抜けた選手はいない。法政大学や日本大学という甲子園常連校に比べてタレントレベルで優っているとは言えない早大を、2年連続で甲子園に導いたのは、濱部さんの手腕によるところが大きかった。

 一方のオービックにも事情があった。昨年3季ぶりに社会人決勝のジャパンXボウルに進出したとはいえ、宿敵・富士通に苦杯を嘗めさせられる結果となった。昨秋のリーグ戦を通じて苦労したランニングゲーム、QBジェリー・ニューハイゼルが去った後のパッシングゲームと、オフェンス課題が山積みだ。濱部さんの招へいは危機感の表れともいえる。

 この日オービックは今季の練習初日ということもあり、フィジカル強化のためのメニューだけで、フットボールの練習はなかった。濱部さんは「初日ということもあって、もう少し緩やかに入っていくのかと思っていたが、初日からこれだけ激しい動きをするのはさすがだ」と感想を語った。

 現在も早大学院で教鞭をとる濱部さんは、フットボールチームでは監督ではないが部活動の顧問教諭であり、試合日には生徒たちを引率するという大切な務めもある。シーガルズに帯同できるのは、原則土曜日・日曜日だけで、早大学院とオービックの試合がバッティングした場合は、高校が優先となる。それでも「高校の試合は、日中の早い段階で終わることも多い。仮に試合日が重なっても、時間が許せば途中からでもシーガルズの試合に合流したい」と意欲を見せる。

 高校、大学と指導者として優れた実績を残してきた濱部さんが、社会人元王者のオフェンス再生にどのような手腕を見せるのか。Xリーグに、また一つ大きな見どころが増えた。

写真・文:小座野容斉

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