画像: 撮影:小座野容斉

撮影:小座野容斉

 2月18日の第1回フットボールカンファレンスには、多くの方にご参加いただき、ありがとうございました。また、ご協力、ご支援いただいた方々にも、この場を借りてあらためてお礼申し上げます。カンファレンスのアンケートや懇親会の場で、「2016年総括号は出版しないのか?」「昨年同様、4月号は出版するのか?」という質問をいただきました。残念ながら、現時点で次号の出版の見通しは立っておりません。次号の発売が決まりましたら、詳細はこちらでご報告いたします。

 さて、激戦となったスーパーボウルも終わり、フットボール界は2017年シーズン開幕に向けて動き出している。しかし、2016年シーズンを取材する中で、まだ書ききれていないネタもたくさんある。その中のいくつかを、駆け込みで書かせていただくことにする。まずはハドルボウルから。

 2年ぶりに大先輩方のプレーを見させてもらった。1月21、22日と富士通スタジアム川崎で二日間にわたって開催された、チャリティ・フラッグフットボール大会、ハドルボウルだ。今大会は史上最多、78チームがエントリーし、約1800人の参加者が集まった。

 2013年に開催された第1回大会の様子と比較すると、プレーのレベルは格段に上がっている。だが、4年前と変わらない光景がある。大会を通じて、けが人が続出したことだ。ハドルボウルではボランティアのメディカルスタッフの方たち10名ほどが待機していたが、残念ながら彼らの出番はたびたび訪れた。

 4年前と比べて、けがの性質は異なっているという印象を受けた。つまり、第1回の時は、大会前の練習で各チームにけが人が多発していた。これは運動不足だった元アスリートたちが、かつてフットボールをプレーしていた時の感覚でフラッグを始めたため、肉離れをはじめとした筋肉系の負傷が相次いたのだ。脳のイメージと、実際の身体能力のギャップから生じる負傷と言い換えられるだろう。

 今回はというと、私は2日間の取材で5回ほど選手が負傷退場する場面を目撃したが、その内4回がプレー中の衝突によるものだった。特に危険だと感じたのが、ショートパスをキャッチした直後の衝突だ。ディフェンダーは「WRがショートパスを捕球した瞬間に激しくヒット」という習性が染みついている。一方のWRは捕った瞬間から加速して、ランアフターキャッチを狙う。両者がフットボールの感覚そのままにプレーすると、どうしても衝突が起きてしまうのだ。

 私が大会の安全性に疑問を持ち始めていたとき、ゴリゴリ大学のSFとして出場していた寺田隆将さん(元オービック)が、大きなヒントをくれた。決勝点となったTDパスの守備について、「もっといけたんじゃないですか?」と質問したのがきっかけだった。「飛び込めばカットできたかもしれませんが、(フラッグでそれをやると)危ない。あそこは捕らせてあげないと」

 寺田さんはNPO法人フラッグフットボール・マネジメント・ジャパンの指導者として、子どもたちにフラッグを教える立場にある。安全なスポーツとして子どもたちに教えている以上、自分自身が危険なプレーをするわけにはいかないのだ。寺田さんは一緒に試合を見ているわずかな時間の中でも、「あのプレーは危ない。こうしなきゃいけないのに…」と何度も安全面での課題を口にしていた。

 全体を通して見ると、準決勝の法政―京大、関学―中大をはじめとして、好ゲームが続出した素晴らしい大会だった。特にレギュラーの部でMVPに選出された、法政の石橋国義さんのプレーは特筆すべきだった。現在46歳の石橋さんは、レギュラー、シニアに加えて、一般部門で三菱銀行にもエントリーし、2日間で合計9試合に出場した。役割は全てQBへのパスラッシュ。1プレーたりとも手を抜かずに、常に全力でQBを追い続けた。決勝では関学のQB岡村幸太郎さんのパスを、最後は石橋さんがブロックして試合を決めた。私は石橋さんが法政大学時代に出場した、甲子園ボウルでのプレーは見たことがないが、この大会を通じた彼の全力プレーは感動的であり、難病と闘う子どもたちの夢を叶えるという大会の趣旨からも、MVPにふさわしいものだったと思う。

 安全面に話を戻そう。私はフラッグフットボールの専門家ではないので、技術的な細かいことについての提言は難しい。だが、例えばディフェンダーに囲まれたらボールキャリアは止まる。ゴール前で無理に突っ込まない、ダイブしない。パスディフェンスの時に、WRに覆いかぶさらない。これらの基本的なことを徹底するだけでも、負傷はだいぶ減るのではないかと思っている。

 各チームが戦略を練り、練習を重ねて、レベルが上がっていることは素晴らしい。参加者、参加チームも年々増えて、チャリティー大会としての規模が拡大しているからこそ、その意義をあらためて考えてみてほしい。子どもたちの夢を叶える大会で、けが人が続出する。その状況が望ましくないことだけは確かだと思う。

(松元竜太郎)

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