画像: 優さんと、ああでもないこうでもない。日本代表SO小倉順平を高める時間。

優さんと、ああでもないこうでもない。日本代表SO小倉順平を高める時間。

サンウルブズでの経験を重ねて成長した小倉順平。(撮影/松本かおり)
大切なテストシリーズの初戦で10番を背負った。昨秋の欧州遠征は、帯同しながら一度も出番がなかった。
小倉順平は、信頼を勝ち取った。
6月10日に熊本でおこなわれた日本×ルーマニア。33-21と勝った試合で18得点と活躍した。チームを動かす判断。7度のプレースキック(3G4PG)の機会すべてに成功した。勝利への先導役となった。
信頼獲得の理由は、ジャパンが完成を目指すスタイルの理解度を高めたからだ。サンウルブズでもプレーし、アジアラグビーチャンピオンシップでサクラのジャージーも着た。ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチ体制下で他の司令塔たちより多くピッチに立ってきた経験値を積み重ねている。
そして、芝の上での体感以上に自身を高めてくれているのがオフ・ザ・フィールドでの取り組みだ。ルーマニア戦で勝利をつかんだ後のインタビューで、殊勲者はポジション争いについて問われて言った。
「(田村)優さんと(試合や練習の)映像を見ながら、その局面、局面で何が重要なのかをずっと話しているんです。だからポジションを争っているというより、チームで勝つためにできることをやっている感じなんです」
そんな時間を経て戦いに臨むから、試合を重ねるほどに頭がクリアになる。
「どの地域で何をするのか明確になっています。それで迷いなくプレーできている」
練習中からチーム全体で意思確認をくり返す。そうすることで、SOとチームの判断にズレがなくなり、決断のスピードもはやまった。
ルーマニア戦で奪ったジャパンの最初のトライには、チームの意識が明確に浮かんだ。相手FWが前に出るところをHO堀江翔太主将が好タックルで仕留め、ボールを外に出した瞬間にその攻撃は始まった。
SH田中史朗がクイックスローインで入れたボールを手にした小倉は反応良く上がったFB野口竜司にパスし、野口はCTBティモシー・ラファエレへ。そしてラファエレが転がしたキックをWTB山田章仁がチェイス&キャッチし、トライラインまで走り切った。
田中の判断に呼応した小倉は言った。
「あの状況、BKはみんな攻めると分かっています」
FWの負担をできるだけ少なくする。世界と戦うとき、常に自分たちより大きく、重い相手と体をぶつけ合う8人の消耗を減らすことは、勝利に直結する要素といつも考えているから出たプレーでもあった。
そのトライに代表されるように、キックを巧みに織りまぜて戦うスタイルもチームに浸透しつつある。エリアによって仕掛け方が明確だから、キックチェイスのクオリティーも高まってきた。
現在のジャパンは、エリアを大きく3つに分けている。自陣深くとハーフウェイラインまでと敵陣。そのとき攻めている地域と攻撃のテンポによってSOは判断を決め、周囲もそれを読み取って動く。
その中で、テストマッチとスーパーラグビーでは求められるキックの質が違う。
「サンウルブズのときの方がチャレンジのキックを蹴ってよくて、テストマッチは、より確実性が求められます」
試合のレベルが高くなればなるほど判断とスキルの一致は難しくなるが、この日の小倉は安定感あるプレーを続けた。
テストマッチに勝った。自ら得点を重ね、巧みに周囲をリードもした。それでも小倉は反省も忘れなかった。
ルーマニアに許した2つめのトライの直前を振り返る。それまでのキックオフボールは深く蹴っていたが、そのときは相手のLOにキャッチされるエリアに飛んでしまった。
「それまでは深いエリアに蹴り込んでいました。BKに取らせれば、タッチに蹴り出してくれることは分かっていましたから。ただ、あのときはLOが取ったことでしっかりモールを組まれ、そこから攻められて反則をとられたことで最終的にトライを奪われた。あそこでしっかり蹴っていれば、違った雰囲気の試合になったと思うんです」
司令塔としての責任を背負いながらも、「周囲が多く情報の声を出してくれるので、自分はどれを選ぶか決めるだけだから負担には感じません」と言う。理解力とコミュニケーション力が高まったから、自分も他の選手も、無理なプレーをすることが少なくなった。
淡々とプレーすることで、結果的に輝きを放つ。
多くのSOが目指す理想像を視野に入れつつある。

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