文&写真_本間 暁

  前日19日の調印式の際の会見で、彼は言った。

「明日は1ラウンドからスリリングな展開になるでしょう。そして、ざっくり言って、凄い試合にします」

 その言葉どおりだった。

 呼吸を読む。空気を察知する。出る。攻める。守る。回り込む。守り、回り込みながらカウンターを突き刺す。

 田中恒成(畑中)は、またまた緩急自在だった。
途中、右拳を痛めたのか、ほんの僅かだが打ち方を変えたが、相手のアンヘル・アコスタ(プエルトリコ)は、「右のブローが強烈だった。ボディブローも右が効いた」と辟易した表情で白旗を掲げた。

「想定していたとおりの泥仕合」と本人は語ったが、これは志向の高さゆえの表現で、決して泥仕合なんかじゃなかった。自らと相手を同時にコントロールしきった、ハイレベルな“凄い試合”だった。
さて、この凄い試合を、どのように文字にして表すか。毎度のことながら、悩む。試合のレベルが高ければ高いほど、純粋にボクシングを愛する者として楽しんだら楽しんだだけ苦しい。
リング上で戦うふたりにはもちろんかなわないが、こちらも戦いに臨む覚悟で向かわなければならない。

 その日までのカウントダウンは始まった。ボクサー同様、準備が大切。見たモノ聞いたモノ感じたコトを整理するところからだ。

 だから、当日は興奮して眠れない。

(写真は19日の調印式後のもの)

画像: 興奮して眠れない

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