画像: 武骨なボクシングに、硬派な見た目。しかし、素顔は明るく優しいお侍さん 写真提供/キャプテン

武骨なボクシングに、硬派な見た目。しかし、素顔は明るく優しいお侍さん
写真提供/キャプテン

文&写真_本間 暁

 18日、愛知県名古屋市の『名古屋大橋ボクシングジム&フィットネス』でオープンセレモニーが行われた。

 中部地区が生んだ元世界、OPBF(東洋太平洋)、日本チャンピオン、そして同地区各ジム会長、関係者ら50名。錚々たるメンバーが祝福に訪れた。

 同ジムを主宰するのは、元OPBFスーパーバンタム級チャンピオン、大橋弘政さん(37歳)。いまや八重樫東(大橋)で有名な“激闘王”のニックネームだが、大橋さんの戦いぶりこそが、その称号にふさわしい。八重樫のベースは、誰がなんと言おうがスピーディーなアウトボクシングだから。

 現役時代、「自分、不器用ですから」と、高倉健さんのセリフよろしく、何度も聞かされた。所属していたボクシングジムHEIWAの谷清会長も「申し訳ないが、素質はなかった。でも努力とガッツでチャンピオンになった」と、この日の挨拶で語っている。

 打たれても打たれても前進をやめなかった。決してあきらめなかった。相手にとっては、こんなに嫌な対戦者はいないのではなかろうか。ロリー松下(カシミ)を大逆転の左ボディブローでKOし、王座を獲得した試合。敗れはしたものの、最終12回終了ゴングまで打ち合い続けた下田昭文(帝拳)戦は、胸の奥まで突き刺さったまま。同様の人は、たくさんいるだろう。

「元々はただのボクシングファン」という大橋さん。引退後も中部はもちろんのこと、東京をはじめ、各地の会場で会った。いつも、「こんにちは!」と“サムライ”らしい、腹からの声で気持ちよく声をかけてくれた。人の心をつかむ、爽やかなお侍さんなのだ。

 当日は、ちょうどアンドレ・ウォード(アメリカ)vs.セルゲイ・コバレフ(ロシア)再戦の真っ只中。しかし、「最近は、あんまり海外ボクシングを見られないんですよね……」と頭をかく。本誌増刊『パーフェクトガイド』にも登場したあのマニアが、である。
 それほどまでに情熱を注ぎ込んでいるという証だ。

 2012年3月18日。小國以載(当時VADY、現・角海老宝石)に9回負傷判定負けを喫し、みたびベルトを巻くことかなわず、現役を引退した。その後は後輩を指導しながら、「いつの日か」をしっかりと見据えて様々な資格を取得した。

 2015年5月28日、中部ボクシングの伝統を司る愛知県体育館で、『名古屋大橋ボクシングクラブ』はスタートした。持ち前の明るさと優しさはたちまち評判を呼び、参加者はグングンと増えていった。
 そんな中、知り合ったのが佐野雅人氏。
「ブラインドサッカーは有名ですが、視覚障がい者にボクシングはできないものか……」と考えた佐野さん。「彼らに訊ねてみたら、『あしたのジョーやはじめの一歩を、音を楽しんでいたから、ぜひやってみたい』という声が多かった」。

 佐野さんは2012年にブラインドボクシング協会を設立。大橋クラブ同様、愛知県体育館で教室を開催し、その画期的な発想に共鳴した大橋さんも、彼ら彼女らの指導に参加。プロ加盟した新ジムでも、月に1、2度のペースで教室を開いていくそうだ。

画像1: 「キャプテン」
画像2: 「キャプテン」

 セレモニーでは、経験2年の西川恵史(けいし)さん、大沢寿美子(すみこ)さんがミット打ちを披露。そして、大橋さんとのスパーリングも行った。この競技は、視覚障がい者がアイマスクをつけて公平を期し(見える度合いが異なるため)、晴眼者が首に鈴をつける(位置を確認できる)というもの。2分のスパーリングの様子をジャッジが採点して競うのだ。
 
 ふたりとも、見事にパンチを繰り出し、大橋さんのブローをダッキングでかわす。

「ボクシングをやることで、違う希望の光が見えました」(大沢さん)

「視覚障がい者でも、何でもできるって勇気を与えたい」(西川さん)
キラキラと汗をかいたふたりは、清々しい表情だった。

「ひとりでも多くの人にボクシングの素晴らしさを伝えたい。会場に足を運んでほしい。耳の聞こえない人、聾唖者にもボクシングを教えたい」
希望あふれる大橋さんは、「会長なんておこがましいので、大橋、もしくはキャプテンって呼んでください(笑)」とのこと。

 大橋キャプテン率いる新ジムの本格的スタートは、8年前、ロリーを倒した記念すべき6月21日。美しい激闘が始まる。

画像3: 「キャプテン」

『名古屋大橋ボクシングジム&フィットネス』

住所
〒451-0063
愛知県名古屋市西区押切2丁目8-14
小川ビル2F
TEL 052-532-0084
名古屋市営地下鉄「浅間町駅」、「浄心駅」から徒歩5分
http://hiromasa0084.com/

This article is a sponsored article by
''.