“162キロ男”山なり始球式の楽屋裏

取材に応じるクルーン。横浜、巨人で抑えとして活躍、今年4月にソフトバンクのサファテに抜かれるまで外国人投手のセーブ記録を保持していた
嫌な雰囲気はブルペンカーに乗ってマウンドに向かう途中から漂っていた。
日本国内で初めて160キロのカベを突破したマーク・クルーン(元横浜、巨人)が始球式に訪れたのは、6月16日から18日のDeNA対オリックスの3連戦(横浜)。レジェンド対決としてオリックスOBとの「1打席対決」に登板するため7年ぶりの来日を果たした。
現役時代には最速162キロをマークした剛腕が果たしてどんなスピードボールを投げ込むのか、注目が集まった対決初日。元近鉄の吉岡雄二氏(現BCL富山監督)を打席に迎えて投じた1球目は、山なりの71キロ。2球目も同じようなボールで球速表示はなし。吉岡氏は困惑気味にセンター前に弾き返した。
来日前には「肩は休養十分です!」とコメントを出していただけに、スタジアム全体が微妙な空気に包まれたのは当然だった。イベント後に週刊ベースボールはインタビューの約束をしており、取材の準備をしているとクルーンはTシャツ姿で一塁側ベンチへ消えていった。
ここでクルーンの名誉のために書いておくと、彼は決してヤル気がなかったわけではない。肩を痛めてしまい、思うようなボールを投げることができなかったのだ。かつての速球王はヤル満々に試合開始の4時間前にスタジアムに入ると、外野で入念にキャッチボールを行った。しかし、マウンドに上がる直前にブルペンで右肩に違和感を覚え、全力投球ができなくなってしまった。始球式はあと2日あるため、ベンチ裏でアイシングをほどこしていたのだった。
インタビューの席に着いたクルーン氏は言葉少なげに語った。
「速球というのはリスクを背負うもの。自分のケガがひどくなってもしょうがないし、相手もケガをさせてもしょうがない......」とちょっと落ち込んでいるように見えた。
それでも「7年ぶりに日本に帰ってきて、当時と変わらずスタンドからの温かい声援は本当にうれしかった」と昔を懐かしむと、目の前でプレーする古巣ベイスターズの選手の動きを食い入るように見つめた。なかでもアメリカにもうわさが届いているという筒香嘉智の打席に熱視線を送っていた。
結局、肩は残り2試合でも復調せず、本人にとっては不本意な結果となってしまった。しかし、最後には「肩の調子が万全ではなかったものの3日間マウンドに立たせてもらい、ファンのみなさんに感謝します」と笑顔で横浜スタジアムを後にした。
2年前はポンセ、昨年はブラッグスが登場するなどベイスターズの伝説の助っ人たちが登場してきた同イベント。2012年開幕前には「マシンガン打線」の中軸、ロバート・ローズがゲストで登場している。となれば、来年はパチョレックあたりの来日が実現しそう!?
文=滝川和臣 写真=長尾亜紀

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