画像: 証言で振り返る日本代表6月テスト。問われる「トップスタンダード」。

証言で振り返る日本代表6月テスト。問われる「トップスタンダード」。

2017年6月にあったラグビー日本代表のテストマッチシリーズは、1勝2敗に終わった。
6月10日に熊本・えがお健康スタジアムでおこなわれたルーマニア代表戦は33-21で勝利も、17日に静岡・エコパスタジアムであったアイルランド代表との第1戦は22-50と大敗。アイルランド代表とは24日に東京・味の素スタジアムでもぶつかったが、13-35と屈した。2戦続けて序盤で勝負をつけられた格好だ。
アイルランド代表の世界ランクは、日本代表の11位に対して3位。もっとも今回のアイルランド代表は、ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ(イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド4協会による選抜チーム)に主力11名を配していたため若手中心だった。海外でプレーする選手を集めるなどベストメンバーで臨んだ日本代表にとっては、悔しい結果が残った。
2015年のワールドカップイングランド大会で日本代表の主将を務めたリーチ マイケルは、同大会後初の招集となった今回のツアーをこう振り返った。
「1人ひとりが責任を持って準備をしないといけない。トップスタンダードは何か。それがわからない。では、トップスタンダードを作らないといけない。...そういう意味で、いいテストができたと思っています」
昨秋着任したジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチ(HC)は、国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦して2季目のサンウルブズ、肝いりの強化機関であるナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)を通して戦術を共有。選手層の拡大を図ってきた。
その成果は若手選手の台頭に現れた。今季からサンウルブズに加わったFLの松橋周平、徳永祥尭は接点で持ち味を発揮する。NDSを経て春先のアジアラグビーチャンピオンシップに出場したFBの野口竜司は、6月も3戦連続で先発。グラウンド最後尾での運動量が光った。
戦術面では、キックを活用したスピーディーな展開を標榜した。17日には大差で屈したとあって、いったん相手にボールを渡す戦い方には批判も集まった。しかし、2015年ワールドカップ出場組の松島幸太朗は「蹴ってボールを獲得する回数、テリトリー...。そういう数字的に言えば(すべきことは)できているということ」。大枠を肯定的に理解し、そのための詳細を詰めるという意志がにじんだ。リーチは「若い選手のゲーム理解を上げれば」よりよくなると確信する。
むしろ問われるべきは、その蹴った先などの接点で競り負けてしまう点だ。17日は、キックで敵陣ゴール前まで攻め込みながら反則でチャンスを失った。守ってもタックルを何度も弾かれ、ジョセフHCは「貪欲さがなかったら大問題」と落胆した。
続く24日は、献身的なタックルこそ増えたものの肉弾戦でじりじりと前に出られた。その背景について、HOの庭井祐輔は「日本代表もいいディフェンスをしていましたけど、向こうは何回も、何回もアタックして...。愚直で隙も少ない。そこは見習うべきところかなと思います」。相手の圧力下での仕事量に感銘を受けた。
かたや日本代表は、薫田真広・15人制強化委員長いわく「2015年に比べて(主力選手の)体重は3キロくらい落ちている」。ジョセフHCも春先から「フィットネス(持久力)が弱点となっている」と話すなど、ワールドカップ3勝を支えた高強度でのプレーの連続は、実現されづらくなっている。
けが人も続出しており、特にLOの位置では代表引退したトンプソン ルークの緊急招集が余儀なくされた。ストレングス&コンディショニング(S&C)部門の抜本的な見直しは急務だろう。2月~7月にスーパーラグビー、8月~1月に国内のトップリーグが組まれるなか、個々の肉体強化計画をどう編み上げるか。イニシアチブの発揮が期待される薫田強化委員長は「これまでも議論はされている。検討していく」と話すのみだ。
選手サイドからは、あくまで選手サイドに矢印を向けた反省が続く。
2015年ワールドカップに出場している左PRの稲垣啓太は、現代表のベースたるサンウルブズの練習風景について言及する。ほぼ毎週試合が組まれるとあって高強度の練習は数が限られるものの、そのなかでもすべきことはあるという。
「例えば、『50パーセントのペースで練習しましょう』となった時。強度は50パーセントに落としたとしても、声の質、姿勢の高さ、細かい身体の使い方は100パーセントの意識でやるべき。50パーセントと言われた途端にすべてを50パーセントにしてはだめで、その悪い習慣をいい習慣に変えていかないといけない」
今回の代表選手も加わったサンウルブズは、7月、スーパーラグビーの残されたシーズンを戦う。ジョセフHCが日頃から口にするのは、「自分の仕事を全うしよう」。それがグラウンド内外で遂行されることを、ファンも願っている。
(文:向 風見也)

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