「バカヤロー!」
 最近、アントニオ猪木さんと電話をする機会があるのだが、開口一番、こう叫ばれたとき、どう返すのが正解なのかいまだわからない。「す、す、すいません」と記者は電話越しで頭を下げ、その後、燃える闘魂は決まって「ムフフ」と笑う。
 プロレスファンならご承知かと思うが、現在、猪木と猪木が作り上げたプロレス団体「IGF」は骨肉の争いという表現が決してオーバーではない政治的な争いを繰り広げている。
 5月25日、猪木が「IGFを整理する」といった趣旨の発言をしたことがキッカケで、これにIGFは猛反発。4月からスタートさせた新ブランド「NEW」の会場で団体存続に向けた署名活動をおこなうなどして創業者の「整理」発言を翻意させようとした。
 ところが、猪木陣営はSNSを通じてIGF批判を展開。売り言葉に買い言葉ではないが、IGFもこれに対して猛反論し、その応酬のなかで両者のあいだに介在していた数々の諸問題が表ざたになった。IGFは猪木夫人を相手どった裁判も起こし、審議がスタートしたことも明らかにした。
 週刊プロレス№1910のコラムにも書いたが、立場が違えば見方は変わる、それぞれにそれぞれの正義がある。IGFが旗揚げされた2007年から取材してきただけに双方の言い分が理解できるし、それはちょっと違うんじゃないだろうかと思うところもあるが、事態は記者や第三者がどうこう言って流れが変わる時期はとうに過ぎてしまった。早ければ7月末にも開かれる臨時株主総会で何かしらの答えが出るのではないかと思われるが、もはやなるようにしかならないというのが現状なのだ。

画像: 去る6月28日、猪木はUWFスネークピットジャパンを訪問。鈴木秀樹らを相手に汗を流した

去る6月28日、猪木はUWFスネークピットジャパンを訪問。鈴木秀樹らを相手に汗を流した

 だからいまここで、ことの是非を問うことはしない。今後も猪木陣営、IGFの双方を取材し、今後の推移を、そして今回の騒動の帰結を責任もって報じていきたい…と、真面目な感じで書いておいてなんだが、記者はこうした事件的な話題が嫌いではない。いや、正直に言えば好きな部類に入る。
 超個人的なことではあるが、学生時代、事件記者にあこがれた。あれやこれやで夕刊紙に入社して、いま週プロの記者をしているが、こういったリング外の話題になると血が騒ぎ、テンションが上がる。5歳の息子と公園で遊んでるときに〝これ関係〟の電話がかかってきて、長電話→子ども大泣き→帰宅後、子どもが妻に報告→カミナリを落とされるという残念なケースもあった。それぐらい楽し…いや、入れ込んでいると言ってもいい。
 だが、そんな記者以上にこの話題を楽しみ、ハートに火を着けるひとつのきっかけにした人がいるような気がする。猪木である。
 当事者で、しかもIGFから攻撃されている。当然、猪木の周囲は神経をとがらせているが、この数週間で当の猪木を何度か取材した記者からみた燃える闘魂は泰然自若といった感じ。もちろんIGFの反乱に怒りを覚えてはいるし、噛みついてきた相手はたとえかつての部下だろうとやる時は本気で潰すつもりだろう。
 しかしその一方で「好きに書きゃあいいんだよ」「ケンカするつもりもないしね」と言って、「ムフフ」と不敵に笑う猪木もいる。
 近年の猪木はインタビューなどで「元気を売りにしてきたけど、この年になるとそれも大変なんだよ」と苦笑しながら話す。これは冗談半分、半分本音なのだと思う。いくらアントニオ猪木とはいえ、74歳にもなれば体力は衰える。歴史に残る名勝負や世界を驚かせてきたスーパーバトルを繰り広げてきた代償は大きく、いまも体中にその爪あとが刻まれている。
 こんなことを書くと、「バカヤロー!」と怒られてしまいそうだが、2月の誕生パーティーや4月のドラディション後楽園ホール大会に登場したときは声にも張りがなく、心配すら覚えた。まして今回はかつての部下たちから猛攻撃を食らっている。さしもの猪木とて弱ってしまうのでは…と思ったが、真逆だった。
 怒りのスイッチを入れ、「バカヤロー!」と叫ぶ猪木からは「元気」しか感じなかった。

画像: 7・24「ISM」(東京・後楽園ホール)で猪木は、藤原とともに「アキレス腱」企画をおこなう

7・24「ISM」(東京・後楽園ホール)で猪木は、藤原とともに「アキレス腱」企画をおこなう

 この問題のキッカケとなった「整理」発言が飛び出たのが、猪木がプロデューサーを務める新イベント「ISM」(7月24日、東京・後楽園ホール)の開催発表会見。この7・24「ISM」では来場者を対象に、「猪木と藤原喜明がアキレス腱固めをかける!」というスペシャル企画も実施される(※詳細は後述)。
 そこにむけて、久々に東京・高円寺にあるUWFスネークピットジャパンを猪木は訪れ、宮戸優光コーチや鈴木秀樹らを相手に2時間以上汗を流した。その模様は7月5日発売の週刊プロレスをご覧いただければと思うが、ここでも猪木はとにかく元気で、誰よりも精力的。元カメラマンの猪木夫人に対して「悪い女だけど、いい写真撮るんだよ、ダハハ!」と笑い、「俺は現役とはやらねぇんだよ」とけん制しておきながら、鈴木にフェースロックを懸け、「バキッ」と首から異音を鳴らすほど締め上げ、衰えぬ魔性っぷりを発揮。「ISM」に向けて気持ちがノッている感じがしたし、IGFとの場外戦でも闘魂に火がついた感がある。
 思えば猪木は逆境や追いつめられた時にこそ本領を発揮し、燃える闘魂たる魅力を爆発させてきた。前述のとおり、IGFは猪木陣営への攻撃の手を強めているが、そろそろ怒れる猪木の強烈な反撃が始まりそうな気もする。燃える闘魂はいまだ健在。IGF整理問題に、7・24「ISM」旗揚げ。御年74歳。ここにきて、猪木から目が離せなくなってきた。

画像: 7・24「ISM」プロデュースにIGF整理問題…
いまアントニオ猪木から目が離せない!

「カール・ゴッチ没後10周年 モハメド・アリ没後1周年大会『ISM』」
★7月24日(月)東京・後楽園ホール(18:30)

 7・24「ISM」来場者を対象に「アントニオ猪木&藤原喜明がカール・ゴッチさん直伝のアキレス腱固めをかけてくれる!」というスペシャル企画の実施される。応募方法は以下。
【応募要項】
申し込みはメールまたはハガキで。応募対象は7・24「ISM」チケットの購入者。
 メール本文欄もしくはハガキの裏面に①7・24「ISM」後楽園大会のチケット座席番号(券種・番号)、②氏名、③性別、④年齢を明記すること。
◆メールアドレス shupuro@bbm-japan.com ※件名に「7・24ISM」と明記してください
◆ハガキ 〒103-8482 中央区日本橋浜町2・61・9 TIE浜町ビル (株)ベースボール・マガジン社 週刊プロレス編集部「7・24SIM」係。締め切りは7月19日(水)必着。
【発表】
当選者は大会当日の後楽園ホールにて発表。
【チケット情報】
SRS席3万円(アフターパーティー参加券付き)、RS席1万円、S席7000円、A席5000円 ※イープラス、チケットぴあ(Pコード:836-124)、ローチケHMV(Lコード:32684)、後楽園ホール、書泉グランデで絶賛発売中

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