画像: “高校通算107発男”元神港学園高・山本大貴の現在

“高校通算107発男”元神港学園高・山本大貴の現在

現在はJR西条駅で駅員業務にあたる山本さん
高校野球、夏本番を前にして「駅員」が大きな脚光を浴びている。
山本大貴さん。神港学園高(兵庫)で高校通算107本塁打を放った左のスラッガーである。
「高校通算本塁打」とは、あくまで参考記録に過ぎない。つまり、公式戦に加えて練習試合も含まれており、カウントはあくまで自己申告。オフィシャルではないからである。ただ、早実・清宮幸太郎(3年)が今夏の西東京大会開幕を迎えるまでに103本を放ち、“記録更新”へいよいよカウントダウンに入っている。怪物が本塁打を積み重ねていく中で、山本さんの偉大な過去がクローズアップされる機会が多くなってきたのだ。
高校卒業後は「プロへ行くイメージがわかなかった」と、プロ志望届は提出せず、社会人野球・JR西日本へ進んだ山本さん。「仕事をしながら野球をできる魅力を感じた」のがその理由だ。しかし、金属から木製バットになったことも少なからず影響したのか、社会人での出場機会は限られた。在籍4年、昨年限りでバットを置き、社業に専念する覚悟を固めた。
勤務場所はJR西条駅で、お客さんへの案内、切符の発売、改札業務に追われている。写真を見れば、その温かい人柄が伝わってくるだろう。
ちょうど、仕事にも慣れてきた時期から、本塁打記録に関するインタビュー依頼が殺到したという。春先には何社か合同で取材を受ける時期もあったが、夏になるつれ、ヒートアップするばかり......。通常業務にも支障が出ることから、同社広報を窓口に「コメント対応」(記述式)という形式が取られている。今や、タレント並みの扱いなのである。
「自分は清宮君と比べられるような選手ではないと思っている。早く抜いてもらいたい」
清宮に記録が並ばれたら、また、更新された際には、山本さんはそれぞれ「そのときの気持ちをお答えします」としている。記録保持者としては、自身の数字が守られたほうが良いに決まっている。しかし、山本さんは真逆の考え方だ。記録は破られるためにある――。すがすがしい元アスリートだ。
さて、ファンの皆さん。西条駅で山本さんに会っても、サインは遠慮したほうがいいかもしれない。ただ、あの親しみやすい笑顔で、「神対応」してくれそうな気もするが......。声をかける程度で我慢し、業務の邪魔だけは避けたいものだ。
文=岡本朋祐 写真提供=JR西日本

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