7月某日、東京・高円寺でBJW認定世界ストロングヘビー級王者の鈴木秀樹(フリー/覇愚霊組)とお茶をしながら、世には出せないマット界の話題をああでもないこうでもないと語り合う機会があった。それはそれで楽しいのだが、ホントにお茶して終わりそうだったので、せっかくだからとインタビューを敢行。去る6月28日に東京・高円寺のUWFスネークピットジャパンでおこなわれた〝燃える闘魂〟アントニオ猪木のトレーニング(現在発売中の週刊プロレス№1911に掲載!)に参加したときのことを振り返ってもらった。

画像: 鈴木秀樹と喫茶店トーク

鈴木秀樹と喫茶店トーク

――6月28日にアントニオ猪木さんが東京・高円寺のUWFスネークピットジャパンを訪れ、7・24「ISM」後楽園ホール大会に向け、汗を流されました。鈴木さんは猪木さんの練習相手として一緒にトレーニングしました。

鈴木 やっぱり忙しい人なんで、最初は疲れた感じでくるのかなと思ったんですよ。でも、練習する場所に来たからなのか目つきも変わるし、すごくいい顔してましたよね。楽しそうでしたね。「俺は現役とはやらねぇんだ」とか言ってたし(苦笑)。

――言ってましたね(笑)。あれは猪木さん流のこだわりなんですかね?

鈴木 なんでなんですかね。イジけてるのかな、もう現役じゃないから(苦笑)。

――イジけてるってことはないでしょうけど(笑)。でも、スネークピットで練習してたのは元気バリバリの猪木さんでし。

鈴木 いざ始まったらすごい喋ったじゃないですか、「これはこうで」とか「こうじゃねぇんだ」「実際やってみねぇとわかんねぇだろう」とか。ああいうのはやっぱり猪木さんですよね。変わらないですよ。やっぱりプロレスラーなんだなって思いました。

――74歳になろうと…。

鈴木 一生プロレスラーなんでしょうね。もちろんいまは国会議員が本職なんでしょうけど、やっぱり道場が似合うなって思ったし。

――猪木さん的にも気持ちに張りが出たんじゃないですか。現役バリバリの鈴木選手や若い練習生とかもいましたし。

鈴木 多分変なストレスがないんじゃないですか。あと、いい意味の張り合いがあったというか。だって、猪木さん、僕とかが自分よりも出てくるなって感じがしたら押し返そうとしてきましたから。アキレス腱固めやってるときとかフェースロックやってるときとかも、ガチッ!ってかけられましたし(苦笑)。

――ありましたね(笑)。

鈴木 写真撮るだけなのに、グギッて(苦笑)。猪木さんも「音、鳴ったけど大丈夫か?」って言ってましたからね。大丈夫じゃねぇよ!って(笑)。しばらく首が痛かったですよ。

――随所で〝アントニオ猪木〟でしたよね。

鈴木 ウン。嬉しそうでしたよね、僕とかに技決めて。

――はい、ドヤ顔してた気がします(笑)。

鈴木 ハハハ! 

――直立不動で立っていた若い子たちにも「なんだ、お前。ちょっと来い」って呼び込んであげたり。

鈴木 あの辺が猪木さんですよね。喋りやすい雰囲気を作ってくれるんですよね。

――20代の子たちにとって猪木さんなんてまさに殿上人でしょうし。

鈴木 年齢的には孫ですもんね。74歳と20何歳ですから。下手したらひ孫の世界ですよ(笑)。

――確かに(笑)。

画像: 問題のアキレス腱固め

問題のアキレス腱固め

鈴木 でもアントニオ猪木はアントニオ猪木なんだなぁって思いましたね。久しぶりに会いましたけど、いまいろんなことがあって、どうなのかなと思ったけど、全然変わらず。元気に首をガッチリ決められました(笑)。

――猪木さんも「やってやろうじゃねぇか!」みたいな雰囲気だしてましたもんね。
鈴木 ありました、ありました。アキレス腱固めは僕にガッチリ決まらなかったっていうのが分かったと思うんですよ。

――そうなんですか?

鈴木 はい、アキレス腱固めってわかるんですよ。僕もそんなにしっかり決まる前にタップしましたし。それでフェースロックの時、がっちりきたんだと思うんですよ。

――なるほど。「コノヤロー!」みたいな感じで。

鈴木 そうそう。「お前、俺に気を使っただろ?」みたいな。僕の予想ですけどね。昔、高円寺のIGF道場で猪木さんに練習してもらったことがあったんですよ。最初の(ピーター)アーツ戦(2011年9月)の少しあとぐらいに。

――2012年とかですかね。

鈴木 多分それぐらいだと思うんですけど、(猪木が道場に来て)押さえ込みの練習してたんですよね。横四方をやってたんですよ、(定)アキラか誰かと。その時、僕はずっと見てたんですけど、猪木さんが「お前、信用してねぇだろ?」って言われて、僕も若かったんで、「はい」って(笑)。
――よく「はい」なんて言いましたね(苦笑)。

鈴木 それで「(練習を)やってもらっていいですか?」って言って。それでやってもらって、やっぱりアゴを使って押さえてくるんですよ。僕は顔とか髪の毛とか鷲掴みにして、耳とかもつかんで逃げたんですけど、ダメでした。それはホントに。その時、猪木さんが「俺はもうジイサンだし、試合になったら負けるかもしれねぇけど、殺し合いだったらお前らに負けねェぜ」みたいなことを言ってて。

――2012年だとしたら猪木さんが69歳の時ですね。

鈴木 はい。力も強かったけど、ポイントの決め方とかですよね。今回もそうでしたけど、フェースロックもガチッて、1回でハマるんですよ。組長(藤原喜明)もそうですけど。僕はまだ全然下手だからポイントを探しちゃうんですけど、うまい人はグッとやってあぁもう決まったってなる。

――猪木さんも「本当に決まったら参ったなんて言ってるヒマない」って言ってましたもんね。

鈴木 そうそう。ホントにそんな感じでしたね。参った言ってるヒマなんてない感じ。

画像: 久々にプロレスの道場を訪れ、若い選手たちと触れあった猪木はじつに楽しそうだった

久々にプロレスの道場を訪れ、若い選手たちと触れあった猪木はじつに楽しそうだった

――そういうのって教わって何とか身に付くモンなんですか?

鈴木 猪木さんだって教えてもらったでしょうから。でも、やっぱり場数だと思いますけどね。昔の人に聞くと、猪木さんってすごい練習したっていうじゃないですか。引退してからも道場行って、ヨガやって、走り込みして。練習のたまものじゃないんですかね。

――引退後もアントニオ猪木であり続けようとしたんでしょうね。

鈴木 お客さんの期待に応えるっていうのは絶対あると思うんですよね。でも、それプラス本質的に好きだからっていうのがあると思いますよ。単純な話しですけど、好きだから続けられるんだと思います。(スネークでの練習後に)「まだできるな」って言ってましたけど、できなくなるわけないだろうって思いましたよ。そこまでやりきった人ですから。でも、そういう人でもしばらくリングから離れるとそう思うんでしょうね。僕は「(猪木のフェースロックで)首を痛めたからできてますよ」って言いたいですね、ハハハ! あと思ったのは猪木さんは骨の太さですよね。

――骨格が…。

鈴木 しっかりしてるんですよね。猪木さんだけじゃないですけど、藤原さんもそうだし、ロビンソン(故人)もそうでしたけど。現代っ子とは違うなって。

――でも、こうやって猪木さんのトレーニングに参加できたのは鈴木選手にとっても大きかったのでは?

鈴木 ホントですよね。全然よかったですよ。ホントに良かったです。あれが一番いいですよ。
――あれとは?

鈴木 変な話し、メシ食いに行くとか年末年始にご挨拶に行くとかじゃなくて、道場とかジムに来てくれて、練習見てくれるだけでいいんですよ。ロビンソンなんかは指導もしてましたけど、いるだけでなんか安心感ありましたから。猪木さんもああやって道場にいてくれるだけで雰囲気違うじゃないですか。あのボロボロの道場でも。

――確かに。今回の闘魂教室で学んだことは実戦でも使えそうですか?

鈴木 いやいや、全然使えますよ。実際セミナーでもやりましたし。クロスフェースやったんですよ。

――猪木さんがゴッチさんから学んだ技術が、今度は猪木さんから鈴木さんが伝授されてるわけですね。

鈴木 ゴッチさんから学んだ技術を自分なりに習得した猪木スタイルですよね。みんなそうなんですよね。藤原さんは藤原喜明の技術ですし。猪木さんも言ってましたけど「みんな決めるポイントは違う」って。(その教えは)ロビンソンも同じでしたから。

――猪木さんに教わった技術を鈴木選手なりに解釈して、身に付けていくと?

鈴木 そうですね。僕の受け取り方はそうです。猪木さんもそう言ってましたし。自分なりに消化しないと意味ないですから。猪木さんの技術を盗ませてもらいました。

――技を盗んだと。

鈴木 実際、僕は猪木さんとロビンソンの技で構成されてますから、ハハハ! ほぼ、おふたりの技を使ってやらせてもらってますから(笑)。あの2人も似てますしね。猪木さんもダブルアーム(スープレックスを)使ってましたし。

――若かりし日の猪木さんはけっこう使ってましたよね。

鈴木 議員さんになる前ぐらいまではけっこう使ってましたよね。猪木さんのダブルアームは、テイクダウン取りにいく感じでしたよね。つかんだ瞬間にブリッジにいっちゃうんですよ。相手をポーンと投げるんじゃなくて、スパンって返す感じ。僕がロビンソンに教わったヨーロッパスタイル、そのままって感じでしたよね。投げてすぐ腕を取りにいったりとか。

画像: なぜか生気の抜けた表情をする鈴木

なぜか生気の抜けた表情をする鈴木

――なるほど。でも、このタイミングでまた猪木さんがプロレス界に向き合ってくれたんですから、気持ち良くかかわれるようにしたいところですよね。

鈴木 やっぱりレスラーですよ、猪木さんは。絶対プロレス好きなんですから。大好きですよ。

――プロレス界に対して強烈なことをやったり、ひっき回したりとかいろいろと功罪の罪もあるでしょうけど…。鈴木 猪木さんが悪いこともあったでしょうけどね。でも、なんて言うんだろ、見てるほうを楽しませてくれるじゃないですか。全部ひっくるめて、僕は楽しんで見てたほうがいいかなって思ってます。こういう時ってアントニオ猪木はどうするんだろ?って思いながら、見ていたほうが面白くないですか?

――それは言えるかもしれませんね。でも、今回のゴタゴタで訴訟沙汰にまで巻き込まれて、やや追い込まれた感もあったじゃないですか。

鈴木 なんかちょっとね。

――でも、それがエネルギーになった感もあると思うんですよね。怒りに火がつく材料になったというか。

鈴木 そういう感じはありますよね。今回、体も動かして、勢いついた感じします。だって(練習でも)最後まで元気そうでしたし。だから、例えばですけど日曜の夜でも、時間ある日の午前中とかでもいいと思うんですよ。こないだみたいに時間作って、ジムに来て体動かすっていうなら僕は(手伝いに)行きますよ。行けるタイミングだったらいつでも行きます。練習相手でもなんでも。僕が猪木さんにやれるのはリング上で試合することしかできない。それと猪木さんがリングに上がるためのお手伝いとか。あとは正直わからないですから。今回の騒動とかもよくわからないですし、そこに絡む必要もないと思うし。それはできる人がやればいい。藤田(和之=引退)さんとかもそういうスタンスだったじゃないですか。

――適度なスタンスですよね。

鈴木 試合やってくれって言われたら、できる時はやる。ホントにできないときはできないって言いますし。

――猪木さんにとっても、それぐらいの距離感で来られたほうが楽な気がしますよ。

鈴木 いまの猪木さんはそうじゃないですか。自分が現役だったらまた違うんでしょうけど、現役離れちゃってますから。

――その感覚がわかってるから、鈴木秀樹は気にかけてもらえるんでしょうね。

鈴木 気にかけてもらってるんですかね(苦笑)。多分、「アイツ、鈴木だよな?」って言ってますよ(笑)。

――そう言えば、なぜか猪木さんから「鈴木さん」って呼ばれてましたね。

鈴木 そうなんです(苦笑)。前は鈴木だったんですけど、あれ、なんなんですかね、「鈴木さん」って。

――なんなんですかね(笑)。そういえば僕も「鈴木君」から「鈴木さん」に呼び方変わりましたね。

鈴木 「君」でいいですよ(苦笑)。

――語呂がいいというか収まりがいいんじゃないですか、「鈴木さん」のほうが。ISMの時はリングネーム、「鈴木サン」にしましょうよ(笑)。

鈴木 鈴木サン(苦笑)。なんでですか! 普通に鈴木秀樹で出ますよ。でもなんで猪木さんまで「鈴木さん」って言ったんだろう。

――謎を残すあたりもアントニオ猪木ですね(笑)。

鈴木 僕がベルト持ってるの知ってたのかな…謎です。
あ、そうだ、そんなことより、最近、『鈴木秀樹の通信販売』というサイトが始まったんですよ。宣伝してください。

――急ですね(苦笑)。

鈴木 (無視して)僕のツイッターからアクセスできるんで。ウチワとかTシャツとか売ってますので。1人1品以上買ってください。もしくは宣伝しなさい。以上、終わり。
※7月7日付けで加筆・修正しております。ご了承ください。

画像: 7月某日、東京・高円寺でBJW認定世界ストロングヘビー級王者の鈴木秀樹(フリー/覇愚霊組)とお茶をしながら、世には出せないマット界の話題をああでもないこうでもないと語り合う機会があった。それはそれで楽しいのだが、ホントにお茶して終わりそうだったので、せっかくだからとインタビューを敢行。去る6月28日に東京・高円寺のUWFスネークピットジャパンでおこなわれた〝燃える闘魂〟アントニオ猪木のトレーニング(現在発売中の週刊プロレス№1911に掲載!)に参加したときのことを振り返ってもらった。

鈴木秀樹の通信販売 on the BASE
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