画像: 前回の15年北京大会ではボルト(右)が胸の差でガトリン(左)をさしきり、勝利を収めたが…

前回の15年北京大会ではボルト(右)が胸の差でガトリン(左)をさしきり、勝利を収めたが…

 現在は山形インターハイで高校生の熱き戦いが繰り広げられているが、8月4日からは陸上の世界選手権がイギリス・ロンドンにて開催される。注目は何と言ってもウサイン・ボルト(ジャマイカ)のラストランだろう。

「伝説の男」の足跡をあらためて振り返ると、オリンピックでは08年北京大会、12年ロンドン大会、16年リオデジャネイロ大会と3大会連続で100m・200mの二冠3連覇に4×100mRの2つと合わせて計8個の金メダル。世界選手権ではその2種目で世界記録をたたき出した09年ベルリン大会から前回の15年北京大会まで、フライング失格となった11年テグ大会100mを除けばすべて勝利を収め、4×100mRでの4つと合わせて、計11個の金メダルを手にしてきた。

 かねてから「17年シーズンで引退」と公言してきたボルトだが、有終の美を飾るはずの今季は、どのシーズンよりも、万全の状態ではない。
4月に親友であるジャーメイン・メイソンが事故死したことに精神的なダメージを受け、十分な練習を積めなかったことが大きく影響。今季初戦は6月に入ってからで、出場した2大会では10秒を切れなかった。そうした調整不足もあり、6月下旬には得意とする200mでの出場を見送り、最後の世界選手権は100mと4×100mRのみにフォーカスすることを表明していた。

 それでもさすがはボルト。世界選手権前最後のレースとなった7月21日のダイヤモンドリーグ・モナコ大会100mでは9秒95をマーク。2位に0秒03差の薄氷の勝利を収め、「良い感じに向かっているよ」と手応えを得て、最終調整に入っている。今季の世界ランキングでは7位タイだが、全体を見渡せば1位のクリスチャン・コールマン(アメリカ)の9秒82が抜け出ているが、2位のヨハン・ブレイク(ジャマイカ)が9秒90、35歳ながら全米選手権を制したライバルのジャスティン・ガトリンも9秒95と、有力選手たちもそれほど高いレベルの記録を出しているわけではない。この情勢をどう捉えるか?

 打倒・ボルト候補は複数いる。経験値からみればガトリン、ブレイクの三十路を超えたベテランが筆頭。若手では、「ボルトの後継者」の呼び声高い22歳のアンドレ・ドグラス(カナダ/昨年のリオ五輪100m3位、200m2位)。ドグラスは、今季は公認記録(追い風2.0m以下)で9秒台を出していない点が気になるが、一方で6月には追い風参考(+4.8m)とはいえ9秒69を出しているだけに、果たしてロンドンではどのような状態で乗り込んでくるのか。また、今年、一気にトップ戦線に躍り出た大学生のコールマンは、その能力を大舞台でしっかり発揮できれば、新しい歴史の1ページを切り拓く可能性は十分にある。今季8回9秒台を出している24歳のアカニ・シンビニ(南アフリカ)の安定感も侮れない。

 現在の情勢を踏まえれば、ボルトが勝つにしても圧勝はないだろう。
 これまでオリンピック、世界選手権でボルトが勝利を収めたレースにおいて、2位との最少差は前回の北京大会における0秒01差。タイムも9秒79とボルト自身の自己ベスト(9秒58)から離れたものだった(とはいえ、この世界記録自体が異次元のレベルなのだが)。準決勝はスタート直後につまづくなど、“ボルト危うし”の空気が漂う中迎えた決勝も、抜群のスタートで先行するガトリンがそのまま逃げ切る展開だった。それを最後の最後でさし切ったボルトの執念は、スタジアムの2階にある記者席からでも鳥肌が立つほど伝わってきたことを覚えている。
 それだけに、ボルトが敗れる姿は想像できないのだが…もし敗れるとしたらどんな光景がそこに映し出されるのか…レースの勝者は誰なのか…

 いったい、どんな結末が待っているのか? 男子100mは大会初日の8月4日に予選(日本時間5日朝4時20分ころ)、翌5日に準決勝、決勝(日本時間6日朝3時5分ころ、5時45分ころ)が行われる。ボルトのラストショーの舞台に、日の丸を付けたサニブラウン・アブデル・ハキーム、多田修平、ケンブリッジ飛鳥のうち、誰かが上ることも期待したい。

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