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【夏の甲子園 名勝負13】松山商、「奇跡のバックホーム」

連日、熱戦が続く夏の甲子園。『週刊ベースボール』では戦後の夏の甲子園大会に限定し、歴代の名勝負を1日1試合ずつ紹介していきたい。
熊本工の選手はサヨナラ勝ちを確信
10回裏、ホームでのクロスプレー。捕手、走者の訴えかけるような表情が印象的だ
<1996年8月21日>
第78回大会=決勝
松山商(愛媛)6-3 熊本工(熊本)
今回は「奇跡のバックホーム」として語り継がれる1996年の夏決勝だ。
3対3で迎えた延長10回裏一死満塁、絶体絶命のピンチに守る松山商(愛媛)・沢田勝彦監督は、ライトに肩の良い矢野勝嗣を起用した。
打席には熊本工の三番打者、左の本多大介。スクイズも考えられた場面だが、熊本工・田中久幸監督はみじんも考えなかったという。
積極策は奏功したかに見えた。本多が思い切りよくバットを振り抜くと、打球は角度よく上がり、代わったばかりの矢野の頭上を襲う。犠牲フライには十分、いや打った瞬間はホームランかと思われた一打だ。熊本工の選手はサヨナラ勝ちを確信して笑顔でベンチから身を乗り出し、投げた松山商・渡部真一郎は負けを覚悟した。
しかし甲子園特有の浜風に打球が戻され、一回バックした矢野は逆に前進しながら捕球し、勢いをつけ、そのままバックホーム。
「どうしたらアウトにできるかを瞬時に考えました。カットマン、ワンバウンドでも間に合わない。ダイレクトしかありませんでした」(矢野)
矢のような送球がホームで待つ捕手・石丸裕次郎にダイレクトで返り、すぐ土煙を上げて本塁に滑り込む三走の星子崇にタッチし、アウト。まさに奇跡のバックホームで松山商はサヨナラのピンチを脱した。
試合の流れの妙を感じさせる一戦でもあった。
序盤から松山商ペースで進み、最初に「絶体絶命のピンチ」となったのは、熊本工だ。1回表に3安打3四球で3点を先制され、2回裏、8回裏と1点ずつ取るも1点差のまま9回裏の攻撃を迎え、2者連続三振で簡単に2アウトとなった。
この場面で「ストレートだけを狙っていった」という1年生の沢村幸明が打席に入り、松山商の先発・新田浩貴が投じた初球のストレートをレフトポール際に運び、起死回生の同点ホームラン。流れは一気に熊本工に傾いた。
しかし延長10回裏の絶体絶命のピンチを切り抜けたことで、流れは再び松山商へ。続く11回表には好守の矢野の二塁打から一挙に3点を挙げ、その裏を2番手で9回途中から登板していた渡部が抑え、松山商が27年ぶりの全国制覇を果たした。
写真=BBM

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