画像: 柳田の「フライボール革命」で思い出した70年代後半の「ゴロボール革命」

柳田の「フライボール革命」で思い出した70年代後半の「ゴロボール革命」

メジャーではフライ重視
今季、本塁打、打点の2部門でリーグトップと好調を維持する柳田
「とにかくフライを打つことがテーマです」
8月23日、リーグ最多の29号を放ったソフトバンクの柳田悠岐が繰り返している言葉だ。
実際、昨年はゴロアウト138、フライアウト62だったのが、今年は8月24日時点でゴロアウト82、フライアウト79と差がはっきりしている。
現在、メジャーではフライ重視の考えが浸透し始め、「フライボール革命」とも言われている。ミートにこだわってゴロを打っても、各選手の打球傾向が詳細に研究されていることで、捕球される可能性が高くなったため、ならば空振りのリスクがあっても、しっかりとした強いスイングで、長打の可能性があるフライを狙ったほうがヒットになる確率も高く、仮に打率はさほど変わらなくても塁打数は増える、という考え方であり、データのようだ。
これは「スタットキャスト」の普及によって打球の発射角度、発射速度などの数字と結果との結びつきが分かりやすくなったことで、説得力が増したと言っていいだろう。本塁打になりやすい打球の発射角度が数値化され、技術的にもそれを追求し始めたとも言える。つまり技術の革新であり、データの見直しでもある、ということだ。
柳田も発想の起点は近いが、より現実的だ。ホームのヤフオクドームの人工芝の張り替えがあり、打球の勢いが吸収されやすくなった分、なかなかゴロでは内野の間を抜きづらくなったというオープン戦での傾向からの修正だったという。
人工芝ヒットとは?
かつての日本球界では「ゴロさえ打てば何かが起きる」という言葉があった。それはいまでも死語ではない。内野安打、エラー、相手の判断ミス......実際、プロの世界でも、さまざまなことが起こる。
ただ、かつての球場は、内野なら土がほとんどで、いまよりイレギュラーが多かった。「何かが起こる」確率は間違いなく今より高かった。
さらに76年に後楽園球場に人工芝が導入されて以降、人工芝球場が増えたが、このときはいわば「ゴロボール革命」が起こっている。
当初の人工芝はとにかく硬く、打球スピードが上がるとともに、よく跳ねた。そのため、たたきつけたような当たりで、バウンドが内野手の頭を越える“人工芝ヒット”という言葉も生まれ、非力な打者はコーチから必ずといっていいほど「たたきつけるような打球を」と言われた。79年オフ、伊東キャンプでスイッチに挑戦した巨人・松本匡史は、長嶋茂雄監督に「ホームベースに向かって打て」と言われたという。
現状では天然芝の球場も増え、柳田の言うとおり、人工芝球場でも質の改良が進み、天然芝に近くなっている。柳田やDeNAの筒香嘉智にようにスイングスピードが速く、球を引き寄せても詰まらず、ボールとの距離をしっかり取れる、いわば世界基準のバッターも増えきた。
センター返しのライナーよりはフライ、という考えは、日本球界でも積極的に検証すべきテーマかもしれない。
写真=湯浅芳昭

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