画像: NTTコム 諸葛彬(チェガル・ビン)「みんなの場所に帰る」

NTTコム 諸葛彬(チェガル・ビン)「みんなの場所に帰る」

トップリーグ(TL)第2節。NTTコミュニケーションズシャイニングアークスは東芝ブレイブルーパスを25-14で下し、今季1勝目をあげた(秩父宮ラグビー場)。東芝には昨年度(34-29)に続き連勝だ。
後半17分、10-14のビハインド。逆転トライを決めたのは主将のFL金正奎(きん・しょうけい)だった。
金が話す。「今日はビンのためにという思いがチーム全員にあった」。ビンとは、4年目のシーズンを選手ではなくチームスタッフとして迎えた諸葛彬(チェガル・ビン/尚武・軍体育部隊-延世大-ソウル大附属高)。韓国代表でトライを取り続けたCTB/WTBだ。
ビンは今週火曜日に韓国ソウル市から日本へ。チームに合流した。
ビンは左半身に麻痺が残る。リハビリに打ち込んでいる。
2016年10月9日、鳥取市でおこなわれた昨季第6節のコカ・コーラレッドスパークス戦。第3節以来、右WTBとして先発していたビンは、この日も同じポジションでグラウンドを駆け回っていた。コムが17-14と勝ち越した後のリスタート、後半39分、自陣の後方にいたビンが試合とは関係なく頭を抱えて倒れた。ビンは外へ。そのまま病院へ直行した。ケガではなく「脳梗塞」と診断され緊急入院した。鳥取での入院は年末まで続いた。
2016年シーズン、ビンは本職のCTBからWTBへ移っていた。ロブ・ペニー ヘッドコーチ(HC)は「CTB、WTB両方の成長のために」と話していた。
ビンはHCの思いを受けながら「14番(右WTB)はボールをもらう機会が少ない。もらえるように努力し11番(左WTB)もできるようになりたい」と打ち明けてくれていた。
倒れた後、ビンは病院のベッドの上で思った。「もう一度ラグビーをやりたいな。ラグビー場の芝生の匂いが好き。その匂いが思い出されて」。
懸命にリハビリに励んだ。「初めのうちから言葉は話せた。回復を願っていた」(チーム関係者)。最初は動かすことができなかった身体も少しずつ動かせるようになった。
今年に入ると鳥取からチームの地元、千葉県内の病院へ。そして出身地の韓国ソウル市で家族とともに機能回復に取り組んでいる。
「今はソウルが中心です。知人に紹介された脳梗塞などを専門にするトレーナーと毎日2時間、リハビリをしています」
NTTコムが全面的にバックアップしている。リハビリは保険の関係で韓国と日本でおこなう。TL選手としてグラウンドに立てないがスタッフの道を用意した。
一緒に来日したお母さんのチェ・ヨンジャさんは「(倒れたのは)ソウルで聞きました。驚き心配しました。今は会社を信用しています。ケンチャナヨ(大丈夫)」と息子をいたわりながら笑顔を見せた。
試合前、ビンはラグビー場のチームテント前でたくさんのファンとも交流した。久しぶりにビンを見たファンは「会えてよかった」とこちらも笑顔。ビンの弟ミンさん(大学3年)も元ラガーマン。兄と同じソウル大附属中で打ち込んだが、今はヒップホップを歌う。「TLの試合は楽しかった」。
ビンが4年前に入団以来、一段上のラグビーを教えてきた栗原徹スキルコーチは「ビンが後押ししてくれた勝利でしたね。ロブ(HC)は『来週も来て欲しい』と話していました。自分が大変なのにチームを明るくしてくれます」。試合を終えた選手たちもビンと家族のもとへ寄って来る。弟も「ミン」と可愛がられていた。家族もコムファミリーだ。ビンは27日に韓国へ戻る。そしてリハビリを続ける。
「日本へ来てみんなに会いたい。その場に帰る」
(文:見明亨徳)
大好きな「芝生の匂い」。チームを見守る諸葛彬(右)(撮影:見明亨徳)

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