台北で行われているユニバーシアード陸上競技。最終日の8月28日には先のロンドン世界選手権でも銅メダルを獲得した男子4×100mRで学生日本代表は金メダルを獲得。女子も同種目で銅メダルを獲得した。
画像: 個人種目の100mでは7位に終わった多田だが、男子4×100mRでは第2走者として金メダル獲得に貢献(写真:松尾/アフロスポーツ)

個人種目の100mでは7位に終わった多田だが、男子4×100mRでは第2走者として金メダル獲得に貢献(写真:松尾/アフロスポーツ)

前回に続いて2大会連続の金

 これが、日本リレーチームの底力なのか。男子4×100mRで、1走・田中佑典(日本ウェルネス大2年)、2走・多田修平(関学大3年)、3走・北川翔(順大4年)、4走・山下潤(筑波大2年)のオーダーで金メダルを獲得した。
 4組1着とタイム上位4チームで決勝進出となる予選。4組に登場した日本は39秒26で組2着、アメリカ、チャイニーズ・タイペイに続く3番目のタイムだった。トップ通過は逃したが、1走の田中がバトンパス後に転倒があったり、「少し200mの疲労もあったので安全に」山下が出たりしたこともあり、チームに不安はなかった。
 決勝では、先頭で山下にバトンが渡ると、アメリカ、チャイニーズ・タイペイの猛追を受けるが、「無我夢中で本能で逃げた」山下は、フィニッシュと同時に高らかと一本指を立てた。
「バトンも完璧につないでくれて、バトンワークでつかみとった優勝だと思います」
 ロンドン世界選手権4×100mRで銅メダルを獲得している多田は、日本の強さをそう話した。
 日本にとって、4継は数々の世界大会でメダルを獲得してきたお家芸。その“イズム”はしっかりと受け継がれている。
「取れるもの、というよりは使命感の方が強かったです。取らないといけないもの」と北川。選手たちの言葉は力強い。
「ロンドンのメダル獲得で、少し慢心があったかもしれません。それが100mで負けて気持ちが切り替わりました。自分はまだまだ弱い選手。(二つの)メダリストだという自覚を持って、本当に強い選手になっていきたい」
 巧みなバトンワークはもちろんのこと、メダルは当たり前、常に世界一を狙うチームだという自覚がつかみとった、2大会連続の金メダルだった。

女子は50年ぶりのメダル獲得

 女子も同種目で快挙を達成した。今大会「東京五輪への期待を込めて」(栗山佳也監督、大体大)編成された女子4×100mR。個人でも一次予選敗退が続き厳しい戦いが予想されたが、予選で44秒71の日本学生新記録でトップ通過を果たした。
 1走・竹内爽香(慶大4年)、2走・中村水月(大阪成蹊大4年)、3走・壹岐いちこ(立命大2年)、4走・前山美優(新潟医福大4年)。予選と変わらないオーダーで臨んだ決勝で、44秒56と再び日本学生記録を更新したものの4着で終えた。
 その後、状況は一変する――。
 1位となったカザフスタンが走路妨害で失格となり、繰り上がりで日本が銅メダルを獲得。1967年東京大会で銀メダルを獲得して以来、50年ぶり2度目の快挙だった。繰り上がりとはいえ、チームベストをしっかりと更新。4番手に食い込んでいたからこそのメダル獲得だ。
「女子短距離界の将来のためにこの世代の経験が大切」という選考側の思いに応えるメダル獲得。それは選手たちも感じている。
「初めての国際大会で海外の選手との違いも知ることができました。個々の走力を上げて、日本のいいところであるバトンワークを生かせれば戦える」(竹内)
 2年後にもユニバーシアード出場の資格を持つ壹岐は「男子にできるなら女子もできるはず。男子のようにリレーをきっかけにレベルアップしていきたいです」と話した。
 4着に入った直後の笑顔も輝いていたが、メダルを獲得した後の表情は、たくましくもあった。
 男女4×100mRでのメダル獲得という快挙で幕を閉じたユニバーシアード。ここはゴールではなく、世界へのスタートラインだ。
(文/向永拓史)

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