画像: 今夏の甲子園“打高投低”の中で見た野球の醍醐味

今夏の甲子園“打高投低”の中で見た野球の醍醐味

U-18日本代表にも選出された西巻賢二遊撃手(写真)と斎藤育輝二塁手の二遊間を中心に鉄壁の守備を見せた仙台育英
全48試合で史上最多の68本塁打が飛び交い、広陵高・中村奨成が1大会6本塁打をマークするなど、“打”の記録ラッシュだった今夏の甲子園。優勝した花咲徳栄高(埼玉)も全6試合で2ケタ安打を放ち、計80安打と“強打”を発揮して大優勝旗をつかみとった。
キレイな放物線を描くアーチに壮絶な打撃戦。試合終盤の劇的な逆転勝ちも多く、聖地に詰めかけた高校野球ファンは大いに沸いた。だが、そんな中で違った野球の醍醐味を堪能できた試合があったのも忘れてはいけない。
大会9日目、8月17日の第3試合。日本文理高-仙台育英高の2回戦だ。試合は2回裏に仙台育英高が三ゴロ間に1点を奪って先制。このリードを先発・長谷川拓帆が守り抜き、その好投に応えるようにバックが好守を連発した。
中でも“攻撃的な守備”を見せたのは7回表だった。この回の先頭に安打を許すも、次打者の犠打を捕球した三塁手・鈴木圭祐が二塁へ送球して封殺。ならばと、日本文理高は次打者でヒットエンドランを仕掛け、打球は二塁手の前方へ高く弾むボテボテのゴロに。
二塁封殺は厳しいタイミングも、二塁手・斎藤育輝は捕球後、迷うことなく反転して二塁へ送球。またしても進塁を防いだ。「1点勝負。だから勝負しようと。ああいうプレーは練習してきたので」(斎藤)。結局、この回も本塁を踏ませず。最少スコアの1対0で仙台育英高が勝利し、3回戦進出を決めた。
「仙台育英の守備は堅かったね。ウチは4本くらいヒットを損しているんじゃない? 打てないと甲子園では勝てないと思って練習してきたけど、あれだけ守備が堅いとね」
敗退後、日本文理の大井道夫監督は悔しさを表しつつ、仙台育英高に称賛を送った。今夏限りで勇退を表明していた指揮官にとって敗戦はラストゲームを意味する。だが、試合後の言葉からは好ゲームゆえの充実感も滲み出た。
「甲子園で終われて俺は幸せものだ。それもこんな良い試合。十分満足した。強い仙台育英を相手にいい試合ができた。本当に幸せだね」
いかにして次塁を奪うか、そして、それをどう阻止するか。当然の攻防も、そのハイレベルなせめぎ合いは、豪快な打者の本塁打や投手の奪三振にも劣らない。打がクローズアップされた今夏だっただけに、緊迫したロースコアの展開に野球の醍醐味を感じた1試合だった。
文=鶴田成秀 写真=田中慎一郎

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