画像: 春の選手権は、個々の力が歯車としてかみ合っていなかった東洋。秋の2試合を見る限り各セットがきっちり機能しており、質の高い準備をしてきたことがうかがえた

春の選手権は、個々の力が歯車としてかみ合っていなかった東洋。秋の2試合を見る限り各セットがきっちり機能しており、質の高い準備をしてきたことがうかがえた

 次世代を担う日本のエリートリーグ、関東大学リーグ戦(ディビジョンI・グループA)が9月9日に開幕。所属8校が2日間連戦で2試合ずつ行い、昨年度の1~3位校、中央・明治・東洋が2試合ともに60分勝ちと、まずは順当に滑り出した。

 昨季王者の中央は、開幕戦で慶應義塾と対戦し、1ピリに4点を連取。2ピリを終えて5-0と完勝ムードだったものの、3ピリには3連続失点を喫する、疑問符の付くスタート。続く日本大戦は11-1と圧勝したが、GK金子将太朗(3年)が途中交代と、今後に不安を残した。

 明治もまた開幕戦はてこずった。日大を相手に先制点を献上し、1ピリを1-1で終える、らしからぬスタート。2戦目の慶應義塾戦も2ピリまで点の奪い合いという、予想外の内容だった。1週間前のサマーカップ(苫小牧大学交流戦)決勝では中央に8-1の大勝。敗れた中央の主力DFが「完全に遊ばれました。正直、今は明治の1強です」と表現するほどのすさまじさだった。聞けば、明治はその決勝を終えて以来、東京では1度も氷に乗らないままリーグ開幕を迎えたのこと。特に狙いがあったわけではなく、単純に氷上練習の枠が取れなかったのが理由だが、明治の選手いわく「氷上は取れませんでしたが、疲れはばっちり取れました」。今週末からの2試合では、持ち前の流れるような波状攻撃が見られるだろう。

 開幕の法政、続く日本体育戦で厚みのある攻守を見せたのが東洋だ。初戦から5-0、6-0と無失点。FWの守りの意識、DF陣の前に向かう意欲がいずれも高く、5人の連携でパックがよく動いていた。1週目の2試合ということでは、チームとしての完成度は8校でもっとも高かった。鈴木貴人監督がナショナルの活動から離れ、今夏からは東洋一本。腰を据えて選手と向き合えていることが大きい。春は選手がフラストレーションを抱えてプレーしているように映ったが、この2試合では、各セット、各ポジションに与えられた役目を選手が全うしようとしているのが伝わってきた。

「夏合宿は個々のスキルを上げることを目標に、開幕に向けて良い準備をしようということでやってきました。今シーズンは私がいつも一緒にいるので、選手はうんざりしているかもしれませんが(笑)、ここまでは順調に来ていますし、無失点を続けられたことは評価できる」と鈴木監督。GKも水田勇輝(2年)、古川駿(3年)がそれぞれ完封。ライバル関係が良い循環を生み出している。

 春の大会で敗れた日本体育を相手に開幕勝利を飾った早稲田も、秋に向けてきっちりチーム力を上げてきた。2つ目に1年生の生江太樹、澤出仁、3年生の矢島雄吾と足のある選手をそろえ、DFは3年目のハリデー慈英、1年生・篠田純希と、得点を狙えるセットを形成している。1つ目のFWには鈴木ロイ(3年)、青木孝史朗(2年)、プレーが力強くなった3年生の飛田烈。3つ目のFWも粘っこいプレーを見せており、5シーズン前に羽刕銘キャプテン(日本製紙)のもとインカレを制した、強いチームの匂いが蘇ってきた。とはいえ、続く法政戦は競り負け。工藤哲也監督は「まだ始まったばかりなので重く受け止めてはいませんが…大学生は本当にわからないですよ」と苦笑いしていた。

画像: 初戦はまったく見せ場のないまま東洋に屈した法政。翌日の早稲田戦は、選手の「負けられない」という危機感が粘りにつながり、接戦を制して初白星

初戦はまったく見せ場のないまま東洋に屈した法政。翌日の早稲田戦は、選手の「負けられない」という危機感が粘りにつながり、接戦を制して初白星

 東洋との初戦はまったくいいところがなく、相当に苦しいシーズンになることを予感させた法政は、2試合目でうまく立て直した。夏の練習試合は3-1、5-5と相性のいい早稲田を相手に、先制しては追いつかれる嫌な流れながらも、主将の西口開羅(4年)、工藤将一郎(3年)のファインゴールで突き放し、初白星を挙げた。

 今夏の合宿は8日間という異例の短さだった法政。「これまで夏合宿の後半は、サマーカップのための調整みたいな感じで練習量を落としていたのですが、今年はサマーカップを考えずにずっと鍛えるのが狙いでした」と西口主将は話すが、開幕戦を見る限り、練習量が決定的に不足している印象を受けた。なにしろ東洋を相手に2ピリはシュート0本。このレベルのチームの試合では、ありえない数字だ。

 それでも2戦目は「ここで負けたら終わってしまうという気持ちが選手にあったんじゃない?」(木谷克久監督)という危機感が、接戦をものにする粘りにつながった。「開幕戦は反則が多くてリズムが狂って、今日(早稲田戦)は取られなさすぎて調子が狂いましたが(笑)、昨日の反省点をセットごとに話し合い、絶対に勝つという気持ちで試合に入りました。(上位2校に与えられる)全日本選手権の出場権を取るためにも、ここから上げていきたい」と西口主将。9月は、大学生にとっては時間を自由に使える時期で、合宿での練習の不足は十分に挽回できる。西口、工藤、さらに最近は控えに回ることが多かったGK伊藤崇之(3年)ら上級生が結果を出したことも、大きなきっかけになるだろう。

 一方で日本体育、日本大、慶應義塾は2戦2敗。日体は主将でFWの柱・松野佑太(4年)が教育実習のため、16日の明治戦まで欠場することが決まっており、2試合で合計1得点と決定力不足に泣いている。「松野1人がいないだけで、こうなるとは。オレがやってやるという気持ちのあるFWが出てきてほしい」と石井和利監督。「探さない。待つの」という言葉通り、新たな点取り屋の台頭を待っている。日大、慶應も60分の中で光る時間帯はつくれている。まだ2カ月以上の時間を残す長き戦いの中で、「1強」明治を脅かすチームは出現するだろうか。

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