画像: <不定期連載 壁を打ち破れ!~サンウルブズの挑戦>
上野裕一ジャパンエスアール会長が考える日本ラグビー未来像9
「夢物語? ポスト2019の春シーズンはスーパーラグビーに加えて世界とつながる新しいコンペティション創設でファンを魅了したい」

<不定期連載 壁を打ち破れ!~サンウルブズの挑戦> 上野裕一ジャパンエスアール会長が考える日本ラグビー未来像9 「夢物語? ポスト2019の春シーズンはスーパーラグビーに加えて世界とつながる新しいコンペティション創設でファンを魅了したい」

サンウルブズで奮闘した若手は現在トップリーグ各チームで活躍。
シーズンレビューも進めています!(撮影:出村謙知)
これまで、主にこのコラムでは、サンウルブズのスーパーラグビーの参戦によって大きな地殻変動が起きつつある日本のラグビー界の将来像について論じてきました。
中には、夢物語ばかりではないかというご意見もあるかもしれません。
これまで日本のラグビー界においては自分たちのステージを世界につなげていくポジティブな発想が表に出てくることはそうはなかったように思います。
すでに、サンウルブズがスーパーラグビーでのチャレンジを始めて2シーズンが経ち、2年後には自国開催のワールドカップも控えている現状を踏まえた時、自国のラグビーが世界とどうつながり、どのような発展をしていく可能性があるのか。そういうグローバルな視点から日本のラグビーの将来像を考えていく作業こそ、いまやらなければいけないことだという確信が私にはあります。
ということで、もう少し夢物語を論じ続けることにします。
8月中旬に開幕した今季のトップリーグは早くも4節が終了。今週末は試合のない“バイウィーク”となり、さらに10月最終週末から5週間は代表スケジュールを優先するウィンドウマンスの休止となりますが、それ以外は休みなくレギュラーシーズンが続き、計13節がクリスマスまでに終了するスケジュールとなっています。
実にせわしないシーズンストラクチャーとなってしまっているのも、サンウルブズのスケジュールを考慮していただいてのこと。もちろん、サンウルブズのスーパーラグビー参戦は一義的には日本代表強化が理由であり、オールジャパン態勢で2019年ラグビーワールドカップでの日本代表の躍進を後押しするため、現在のようなトップリーグのスケジュールになっているのであり、それを可能にする土台を支えていただいている関係者のご尽力にはただただ頭が下がる思いです。
というように、開催まで2年となった2019年ワールドカップに向けた道程に関しては大筋明らかになっているのが現実でしょう。
その一方で、2019年以降に関してはどうでしょうか?
ワールドカップという一種のお祭りが終わった後、日本のラグビー界はどう変化しているのか。あるいは何も変わらないのか。
この連載でも何度か触れてきたように、過去2シーズンにおけるサンウルブズが成し遂げてきたことに対するSANZAAR(南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリア、アルゼンチン各協会のジョイントベンチャー=スーパーラグビーやラグビーチャンピオンシップの主管団体)サイドの評価はしっかりしたものがあります。
観客動員も、“2シーズン目のジンクス”もあって昨季からは微減したものの、今季も東京でのホームゲームには1試合平均約1万4000人の方々に集まっていただきました。
これは、トップリーグの1試合平均観客数と比較しても3倍以上多い数字です。
各節8試合が行われるトップリーグと比較するのはフェアではないかもしれませんが、その一方で2011-16年の日本代表戦の平均観客動員数が1万1000人に満たないことを考えてみても、サンウルブズが日本のラグビーファンから基本的な支持をいただけているのは動かしがたい事実だという認識でいます。
もちろん、我々としては、2019年以降もこの流れをさらに加速させていかなければいけないという使命感を持ってサンウルブズの強化に当たっていくつもりです。
地元開催ワールドカップが終わったからと言って、急に日本のラグビーファンがスーパーラグビーに対する関心を失うことはおそらくないでしょう。
ワールドカップで世界トップクラスのプレーを目の当たりにしたファンは、常にレベルの高いラグビーを求めるようになる。スーパーラグビーが、そうした目の肥えた日本のラグビーファンの欲求を満足させる有力なコンテンツであり続ける可能性は高いと考えるのは当たり前とさえ言えます。
SANZAARサイドは3年以内に優勝争いができるチームにというリクエストをサンウルブズに対してしてきています。
しっかりそのグローバルな期待にも応えて真の強豪チームを目指していくつもりですし、そのため2017年シーズンのレビューもいましっかり行っているところです。
トップ14関係者も日本との関係強化に本腰
春シーズンの国内大会に興味を持つスポンサーも?
そんなふうに、2020年以降もサンウルブズがスーパーラグビーでしっかり戦っていくことが日本代表強化につながり、日本国内でのラグビー競技の繁栄にもプラス効果をもたらしていくことは間違いないでしょう。
ということを前提に考えるなら、日本国内のシーズンストラクチャーも現状に近い状態で続けざるを得ない。
その場合、2月以降の春シーズン、日本のファンが楽しめるのがサンウルブズだけでいいのか、という問題が出てくることになる。
もちろん、サンウルブズに次ぐスーパーラグビーの日本フランチャイズチームが誕生する可能性もゼロではないでしょう。
ただし、来季スーパーラグビーのチーム数が削減される現状から言っても、日本における第2のスーパーラグビーチームがすぐに誕生する可能性は正直低いと言わざるを得ない。
まずは、サンウルブズがSANZAARサイドの要求に応える存在になってから、次なるフランチャイズの可能性が出てくるというのが現実でしょう。
その一方で、しっかりとした企業に支えられている日本のトップリーグチームのシーズンが、現状のように短期間で終わってしまうのは、ファンにとっても、選手にとっても、そしてチーム=企業サイドにとっても、全くもって合理的ではないと言わざるを得ない。
ということで、以下、あくまでも夢物語の続きだと思ってお読みいただきたいのですが、サンウルブズがスーパーラグビーを戦っているのと同時並行するかたちで、春シーズンに新たな“ナショナルチャンピオンシップ”をつくるべきだと考えていることは前回、触れたとおりです。
もちろん、その中心となるのはトップリーグチームであり、1月までに終了するトップリーグを前期、春シーズン以降を後期として現状のトップリーグをエクスパンションするのも方向性のひとつでしょう。
ただし、春シーズンはサンウルブズなどのスーパーラグビーでプレーする選手(代表候補選手など)は基本的にはトップリーグチームには参加できない。
その条件を考えた時、現状の1月までのトップリーグと春シーズンに行われる新たなチャンピオンシップをひとつのコンペティションとして扱うのはやや無理がある。
代表選手を多く抱えるチームにとって、サンウルブズの活動と並行して春シーズンにもコンペティティブな陣容を維持することは、簡単なことではないでしょう。
であるならば、基本的にはトップリーグに参加しているチームをベースにしながらも、1月に終了するトップリーグとは一線を画す、全く新しいコンペティションを春シーズンにつくってしまうのが一番現実的なのではないか、そう思うのです。
現在16チームが参加しているトップリーグですが、母体数が多いだけに、チームによって目指す将来像は大きく違うのが現実でもある。
中には、単独でスーパーラグビー参戦さえ目論んでいるような野心的なチームがある一方、現状のトップリーグへの参加が精いっぱいという台所事情のチームもあるかもしれません。
そういうバラツキがある以上、春シーズンに行う新しいコンペティションは、参加したいチームだけが参加するようなかたちでのスタートが現実的かもしれません。
日本代表クラスの選手がサンウルブズでプレーするために抜ける分、海外からマーキープレーヤーを呼び寄せることが必要になったり、あるいはこの春シーズン限定で作られる新たなプロフェッショナルなラグビーチームがあってもいい。
現状、トップリーグへの挑戦権を失うかたちになっている大学チームもコンペティティブな存在となれるなら参加の道はある。
サンウルブズなどスーパーラグビー組は参加しないものの、世界最高峰のプレーを知ってしまっている日本のラグビーファンを満足させるプレースタンダードを誇るコンペティション、すなわち世界のトップレベルを目指せる国内チャンピオンシップでなければいけない。
それが唯一の条件となります。
2020年からワールドラグビーのシーズンストラクチャーが変更になり、スーパーラグビーのシーズンは途中で中断されることなく2~6月まで行われることになります。
一方、欧州の主要リーグのシーズンは6月に終了するのが現状です。
スーパーラグビーでSANZAARとの関係をしっかり構築していくことは日本ラグビーの国際的な発展という観点から言って重要なのは当然ですが、日本が北半球に位置しているのは紛れもない事実であり、欧州との関係をどう維持していくかもポスト2019における大きな課題でしょう。
これも当連載ですでに明らかにした事実でもありますが、世界で最も成功しているフランスのトップ14関係者はクラブチームレベルでの日本との交流に大きな関心を持っています。
将来的にはラグビー版のクラブワールドカップにつながっていくことも想定した日本とフランスの有力チームが複数参加する新しい国際大会の創設を視野に、トップ14関係者との話し合いもすでに始まっています。
双方の優勝チームやそれに匹敵するチームの参加を前提とするこの国際大会、トップ14のスケジュールを考えてみてもシーズン終了後、ウィンドウマンスである7月に行うのが最も合理的であり、その場合、日本からのエントリーチームは春シーズンのコンペティションを経て選ばれるのが妥当でもあるでしょう。
というふうに、将来的にはクラブワールドカップにつながっていく新たな国内大会が日本の春シーズンに創設されたなら、目の肥えた日本のファンも、サンウルブズに選ばれない日本人選手と彼らを支えてくれているラグビーを愛する日本企業関係者をも満足させられるものになるのではないか――。
まだまだ夢物語の域を出ない話ではありますが、新たなチャンピオンシップを支えてくれそうな大スポンサーも現れそうな気配はあります。
TOP14を取り仕切るLNRのパランクール事務局長と。
フランスとの共同作業は具体化の話が進んでいます。
<プロフィール>
上野裕一(うえの ゆういち)
ビジョンは I contribute to the world peace through the development of rugby.
1961年、山梨県出身。県立日川高校、日本体育大学出身。現役時代のポジションはSO。
同大大学院終了。オタゴ大客員研究員。流通経済大教授、同大ラグビー部監督、同CEOなどを歴任後、現在は同大学長補佐。在任中に弘前大学大学院医学研究科にて医学博士取得。
一般社団法人 ジャパンエスアール会長。アジア地域出身者では2人しかいないワールドラグビー「マスタートレーナー」(指導者養成者としての最高資格)も有する。
『ラグビー観戦メソッド 3つの遊びでスッキリわかる』(叢文社)など著書、共著、監修本など多数。

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