画像: パナソニック笹倉康誉が継承する、カウンター&「分け隔てなく」の文化。

パナソニック笹倉康誉が継承する、カウンター&「分け隔てなく」の文化。

日本最高峰のラグビートップリーグで一昨季まで3連覇したパナソニックは目下、開幕5連勝中だ。好調をキープするなか、5戦中2度ゲーム主将を務めてきたのが笹倉康誉である。
日本代表とリンクするサンウルブズへ2季連続でスコッド入りしてきた29歳。入部7年目となるパナソニックにあって、自然体でリーダーシップを取る。
9月23日、埼玉・熊谷陸上競技場。ホームゲームとしておこなったトヨタ自動車との第5節で、相手のジェイク・ホワイト新監督が「個人的なターニングポイント」に挙げるシーンが後半11分にあった。
陣地の取り合いのさなか、対するトヨタ自動車のSO、ライオネル・クロニエがハイパントを放つ。ところがトヨタ自動車はその球を再獲得できず、パナソニックが自陣10メートル線付近右でボールを確保する。
ここから走り出したのが、パナソニックのアウトサイドCTBに入っていた笹倉だった。防御網の隙間をすり抜け、一気に敵陣中盤あたりへ進む。追いすがる防御の裏へキックを転がし、敵陣22メートルエリアからの相手の蹴り返しを誘う。
以後はFBに入った森谷圭介がチップキックとタックルを重ね、WTBの山田章仁がトライを決める。それまで競っていたスコアは22-13とやや広がった。
結局は43-16で勝利した後、笹倉は例の走りをこう振り返った。
「チームからも『行けると思ったら自陣からでも攻めていこう』という指示が出ていたのですが、あそこは、自分でも行けると思ったので」
エリアゲームを制し、一転、駆け上がる。長年に渡り築き上げてきたパナソニックのスタイルをこの日も披露し、最後尾の森谷、司令塔のSOに入った「バンジー」ことベリック・バーンズに感謝する。
「相手のリザーブのFB(ジオ・アプロン)はカウンターが強いと言われていましたけど、きょうは結構、蹴ってきて。それにも、森谷、バンジーがコミュニケーションを取って対応していたと思います」
今季の主将であるFLの布巻峻介がリザーブへ回る際、ゲーム主将を任される。もっとも当の本人は「練習中は皆で分担しながら発言していて、(試合当日も)峻が(グラウンドに)入ったら峻に任せています」。自身も含めテストマッチ経験者が23名という強豪クラブにあって、プレー中の充実したコミュニケーションを実感しているようだ。
ファンが注目するオーストラリア代表66キャップのデービッド・ポーコックに話題が及ぶと、「ディフェンスのスペシャリスト。タックルしてからの動作も早いし、助かっています」と言うだけでなく、こうも続ける。
「峻も後半から入ることでインパクトを発揮していて、ワークレートも上がる。すごいチームだと思います」
身長186センチ、体重90キロ。関東学院大時代から恵まれたサイズと突破力を期待されてきたが、加入1年目はわずか2試合の出場にとどまるなど雌伏期間も経験している。
FBにコンバートして多くの出番を得るまでの間は、5学年上の北川智規、2014年度まで在籍していた三宅敬(NPO法人ワイルドナイツスポーツプロモーション代表理事/セコムBKコーチ)によく相談をもちかけたという。
「入りたてで若い時に、試合に出たいのに出られない。そうなると、愚痴や不満が出るじゃないですか。それを智規さんや三宅さんのような言いやすい人に聞いてもらって、解消してきた感覚があります。(チームには)練習中から、分け隔てなく何でも言い合えるところがある」
思い通りにいかないなかでも、先輩方には大切にされた。クラブへ愛着を抱くのは自然な流れだ。日本代表デビューを果たした2016年には、こう決意を口にしていた。
「若手を引っ張っていけるというか、いままで先輩がしてきたような感じのことができれば。ずっとこのチームにいられない選手もいるわけじゃないですか。だから、このチームにいるうちはこのチームのいいところを若い選手に伝えていかないと」
神奈川県育ちの愛称「チャチャ」は、群馬県太田市で絆を深めるタレント集団の良心となりつつある。
チームは10月1日、宮城・ひとめぼれスタジアムでおこなわれる第6節でNTTコミュニケーションズと対戦する。
(文:向 風見也)

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