画像: トライアウトからリコーのイチバンへ。眞壁貴男、レギュラー争い真っ只中。

トライアウトからリコーのイチバンへ。眞壁貴男、レギュラー争い真っ只中。

タックルも低さで勝負。弟・照男さんは立教大ラグビー部のPRで3年生。
(撮影/松本かおり)
神鳥裕之監督にそのPRの特長について尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「体が小さいこと」
「彼自身がそう言っているんです。面白い男でしょ」
トップリーグのナイトゲームも最終週の9月29日、第6節リコー vs NEC。
安定感を身につけたスクラムでリコーが29-3で勝ち切ったゲームでは、途中出場の控え選手たちがチームのアクセルを踏んだ。
本来は先発のFL松橋周平はもちろん、忠実なサポートでトライを挙げたPRマウ ジョシュア、そしてルースヘッドPRの眞壁貴男も。
立教大学出身、身長170センチの左PRはリコーで堂々3年目を迎えるトップリーガーだ。
昨季出場時間は330分。3試合で先発も経験している。小柄だから誰よりも低くプレーできる。そう信じている。
今季6節、後半38分、27-3にリードを広げるWTB長谷川元気のトライは、眞壁が起点になった。ラックで左へ左へと移動する連続攻撃のなかで、SOロビー・ロビンソンからボールを受けて鋭いゲイン。角度のついたランで相手守備の流れをせき止めた。内側にいた味方FWをおとりに使いつつ、飛び出してきた相手ディフェンスの裏でボールを受けるBKのような動きだった。背番号は17、左PRのプレーとしては目を引くものだった。
「PRなので、リコーに入ってからはスクラムのレベルアップに集中してきましたが、フィールドプレーはもともと得意でした。きょうはスクラムだけでなく、自分のプラスαの部分を見せることができて...ハッピー、です」
試合後の人懐こい笑顔が乗った体躯は、他のトップリーガーに比べると一回り小さい。BKのようなボール感覚は、故郷・広島県の福山ラグビースクールで身につけた。強豪・尾道高校から立教大学へ進学したが、「卒業後は普通の就職を」と考えていた。その意識が変わったのは、大学3年時に就任したヘッドコーチ、遠藤哲氏(当時からU20日本代表監督)の影響が大きいという。
「遠藤さんの指導の中で、ラグビーって面白いと再認識した。『お前なら、もっと上のレベルでもチャレンジできるよ』と言ってくださって」
主将も務めた4年時に、思い切ってトップリーグのトライアウトを受けた。ケガ明けで満足いくプレーはできなかったが、複数のチームからオファーを得ることができた。
採用を決めたリコーの神鳥監督は、当時、まず目に入ったのはプレーの低さだったという。
「あの体で、さらに重心を落としてプレーする。特にスクラムには『誰よりも低く』という意識を感じました。その強さに加えてフィールドの動きも良かった。ボールキャリーもタックルも、トップリーグに挑戦できるレベルだと判断できた」
2部リーグ(関東大学対抗戦B)も経験した選手が、トップリーガーの原石として発掘された。
眞壁の今季戦績は、先発なし、途中出場2試合。ベンチ入りしたのも今季2試合目で、限られたチャンスを生かそうと奮闘の最中にある。
「チームの中ではスクラムの重要度が上がってきている。中でも1番(左PR)は今、アレックス(ウォントン)、辻井さん(健太)、藤原さん(丈宏)らがメンバーを争っている。自分もそこへなんとか食い込みたい」
たとえばアレックスはNZ出身、身長184センチ、120キロ。同じ背番号1をめぐって、体型も経歴もまるで違う選手たちが、しのぎを削っている。
リーグのハイライトを彩る強豪チーム。そこに食らいつくチャレンジャーたち。トップリーグが以前よりもスリリングになってきたのには、挑戦者チームの充実がある。選手一人ひとりを見ても、いわゆるエリートだけではなく、眞壁のように自ら意志を持ち、チャンスに恵まれて道を切り拓いてきた選手もいる。もともとはデコボコで色もばらばら、それを互いが受け入れて1つのチームになろうとするときに、ラグビーの面白さが浮かび上がってくる。
どんな大舞台のどんな選手も、初めからトップ選手だったわけではない。
(文/成見宏樹)

rugby-rp.com

This article is a sponsored article by
''.