画像: 関東学院スタイルここに。鳥飼正幸のタックルにある、気持ちと「細部」

関東学院スタイルここに。鳥飼正幸のタックルにある、気持ちと「細部」

「前に出るタックルで周りを引っ張りたい」。180センチ、90キロの身体を低く、低く沈めてプレーする(撮影:長尾亜紀)
残ったスコアは7-69。
チーム同士の身体のボリュームを比べると一回りは小さい集団が、そのサイズ比通りのスコアを残した。それがラグビー、か。しかし、それでも熱を帯びる試合に出会えるのがラグビー、でもある。
前季・大学選手権準Vの東海大にこの日挑んだのは関東学大。3シーズンの2部リーグ時代を糧に、前季から1部に復帰したばかりのチャレンジャーには、攻守に確かなスタイルが見えた。俺たちはこんなラグビーがしたい! とフィールドに描くようなプレー。それを表現できた時間帯が熱の源泉だった。
このスペースにボールを、運びたい(...運びたかった!)
このギャップ、こんな連携で抜いてしまいたい(...抜きたかった!)
結果、成功しても失敗しても、そんな意図が伝わってくる試合は楽しい。観ている方もつい、あぁ惜しい。んんー、一瞬ズレた...などとと感情移入させられる。
関東学大で2年時から公式戦全試合に出場中のFL、鳥飼正幸副将は180センチ、90キロの堂々たる体躯でフィールドを走り回る。それが小さくも見えるほど東海大のフィジカルは立派だった。鳥飼の、関東学大の抵抗策は低さだ。相手選手が走り込んでくるポイントに、全身を杭のようにして刺さる。密集では相手側に突き抜ける勢いでボールを奪いにいった。
「僕らは身体が小さいので常に低いプレー。もし1対1で負けるのなら、(相手1人に対して)2枚、3枚で勝つ。ディフェンスでは間合いを詰めるために、お互いに『前、前』とずっと言い続けてきました」(鳥飼)
この日の関東学大ディフェンスは、特に前半、随所でそれを披露した。トライを外のスペースで取ろうとするチームの起点が見えた。
低く激しいディフェンスの根っこは、福岡県で小中を過ごした つくしヤングラガーズにある。高校時代は全国強豪・東福岡高の地元ライバル・筑紫高で魂を磨いた。
タックルは、気持ち。県人の常識だろう。
そこへ、大学では緻密な技術が加わった。トップリーグで豊富な経験と実績を持つ榎本淳平ヘッドコーチ率いる指導陣は、さまざまなベーシックスキルの方法論を一つひとつ、仕込んでくれた。踏み込み足の位置は。インパクトを最大に高めるには。
「整理して、基礎をもう一度身につけてきました。それを全員が共有しているのは、チームとして重要だと思う。淳平さんが時間をかけて教えてくださるのは、そういう地味なこと、細かいこと」
鳥飼個人のキーワードは、チームでも共通の合言葉になっている『発光』だという。
「自分の役割をやり切ることで、チームにプラスとなって、それが影響、共鳴し合う......そんなイメージを指して発光すると言っています。先頭に立って、前に出て、低く入る。自分の場合はそんなディフェンスで光りたい」
誰かが光ると、それに呼応してまた別の誰かが光る......。かつて『野人』の異名をとったOB宮下哲郎氏(東京電力、東芝府中)が、今年、あるミーティングで話してくれた「成長するチーム」のイメージは繊細だった。それを自分たちもなぞりたい。
東海大に比べまだまだ細い体、開いたスコアは、組織として費やしてきた時間の違いでもある。彼らに、いつか追いつき追い越すための突破口を模索している。『関東』らしいチャレンジの道筋はしっかり見据えられている。
鳥飼は、関東学院のラグビーが好きで釜利谷グラウンドに部の門をたたいた。かつて10年連続で大学決勝に出場し、優勝6回。その奔放さ、たくましさへの憧れが今もある。指導陣の人柄に触れて、その地でラグビーがしたい気持ちでいっぱいになった。
「ディフェンスができて、セットプレーを磨けば、もっと外でトライは取れるはず」
この日、3敗目となった大差の試合後、目を赤くしていたWTB 佐々木修弥主将をサポートして、なんとか大学選手権出場を果たしたい。課題と、歩んできた道への確信と。スコア以上に収穫ある一戦だった。
関東大学リーグ戦は勝負の中盤に差し掛かる。(文:成見宏樹)

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