ともすれば、日本の指導現場では「戦術指導」は躊躇され、
技術指導がメインになることが多い。
戦術は難しい、とりわけ、ジュニア年代では必要ない、
という意見を耳にすることもある。実際はどうなのだろう?
戦術と技術の関係をランデル・エルナンデス・シマルがひも解く。
(出典:『ジュニア年代の考えるサッカー・トレーニング5』)

 このムックのメインテーマの1つである戦術に関して話を進める前に質問があります。

「技術コンセプトと戦術コンセプトの間には大きな隔たりがあると思いますか?」(Q1)

 これは、技術と戦術の関係を考える上でとても重要な質問です。
 実は、技術コンセプトと戦術コンセプトの間に大きな隔たりはありません。実際には強く結びついており、プレーする際には両方が必要なのです。にもかかわらず、「別のもの」と区別されてしまうのは、私たち指導者が戦術と技術を分けて考えてトレーニングしているからだと思います。
 この本では、具体例を挙げつつ、戦術と技術は密接な関係にあることを説明していきます。
 戦術と技術の関係に対する理解をより深めるために、次のような言葉を紹介します。
「ただ実行するような選手になってはいけない。すべてのアクションにおいて状況を解釈する、または実際に起こっているプレー状況に対応しなければいけない。そして、実際に起こっている状況の中で最善となる技術的、そして戦術的な解決策を見いださなければならない。トレーニングした特定のアクションには意味があり、それが実際の試合で役立つことが重要、その点を理解しなければいけない」
 もう1つ聞きます。

「プレー・スタイルと技術の発展に関し、つながりと一貫性を持たせた上でトレーニングしていますか?」(Q2)

画像: 「プレー・スタイルと技術の発展に関し、つながりと一貫性を持たせた上でトレーニングしていますか?」(Q2)

『考えるトレーニング1〜4』で触れてきたように、技術とプレー・スタイルはとても強く結びついています。さらに言えば、多くの技術項目はチームの戦術(カウンター・スタイル、ポゼッション・スタイル、コンビネーション・スタイル、ダイレクト・スタイルなどのプレー・スタイル)の影響を受け、チームの戦い方によって必要とされる技術が変わるのです。そして、ポジションによっても必要とされる技術は変化します。もっとも、「ポジション別の技術」は育成年代ではなく、競技性が高くなるにつれて必要性が増していくものでもあります。
 大事なのは、技術と戦術が密接な関係にあり、常につながっていることを理解しながらトレーニングを行なうことです。この点は、育成年代でもトップレベルでも同じです。練習の比率は年代によって変化しますが、「何のために?(=戦術)」(時間をつくる、相手を引きつける、スペースをつくる)と「何をする?(=技術)」(コントロール、パス、ドリブル、ターン)は常に結びつけなければいけません。
 この序章では、戦術コンセプトの基本をテーマにしています。私が大切にしているのは、次のコンセプトです。
「選手がプレーする際に考慮しなければいけないのはボール、味方、そして相手の状況」
 具体的な練習メニューを紹介する前に、戦術コンセプトの基本について確認していきましょう。まず明確にすべきなのは、育成段階とトップレベルでは戦術を考慮する目的が異なることです。

・育成段階=プレーの解釈(状況解釈)
・トップレベル=相手を上回る(相手に勝つことが唯一の目的)

画像: ・育成段階=プレーの解釈(状況解釈) ・トップレベル=相手を上回る(相手に勝つことが唯一の目的)

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