画像: 【ドラフト検証】“高校通算本塁打数”とプロ本塁打数は直結するのか?

【ドラフト検証】“高校通算本塁打数”とプロ本塁打数は直結するのか?

9月、カナダで開催されたU18W杯で侍ジャパンU-18代表として出場した清宮幸太郎(早実)が高校通算111号(対カナダ)をバックスクリーンに突き刺した。このように、いわゆる“高校通算”とは練習試合、公式戦、日本代表戦を含めたすべての試合の本塁打数である。あくまでも“非公式な”数字ではあるが、その数字には夢がふくらむ。高校時代、本塁打を量産したスラッガーはプロでも大成するのだろうか。
上位10人のうち7人がプロへ
U18W杯のカナダ戦で高校通算本塁打記録を更新する111号を放った清宮。仮にプロに進んだとしたらどれほどの塁打を放つのか。興味は尽きない
清宮幸太郎(早実)が新記録を達成し、俄然、クローズアップされた高校通算本塁打。この記録は公式戦のみならず、練習試合に加えて高野連主催ではない国体や自チームを離れた侍ジャパンU-18代表でのホームランもカウントしており、紅白戦などを除いた対外試合を対象としているのだが、やはり気になるのは、本数とプロ成績との因果関係だ。
[高校通算本塁打ランキング上位10傑]
111 清宮幸太郎(早実→????)――
107 山本大貴(神港学園高→JR西日本)――
97◎黒瀬健太(初芝橋本高→ソフトバンク)0
94 伊藤諒介(神港学園高→法大→大阪ガス)――
87◎中田翔(大阪桐蔭高→日本ハム)177
86 大島裕行(埼玉栄高→西武)23
85 横川駿(神港学園高→立命大→王子)――
83 鈴木健(浦和学院高→西武→ヤクルト)189
83◎中村剛也(大阪桐蔭高→西武)357
73◎岡本和真(智弁学園高→巨人)1
※◎はNPB現役、所属の後の数字はプロ通算本塁打
過去の高校通算本塁打ランキングを見ると、上位10人に入っている選手の中でプロへ進んだのは7人。プロ入り後の成績を若い世代から追ってみると、ランキング3番目でプロ入り2年目の黒瀬健太(ソフトバンク)は一軍出場の経験がまだないためプロでの通算本塁打も0本。同10番目で3年目の岡本和真(巨人)はドラフト1位で入団した期待の長距離砲だがホームランはルーキーイヤーに放った1本のみとなっている。ただ、この両選手については高卒入団でキャリアも浅いため、評価を下すのはまだ早計と言えよう。
中村剛也はレジェンド級のアーチスト
高卒10年目の中田翔(日本ハム)は同5番目で、プロでは通算177本塁打。昨シーズンまで5季連続で20本塁打以上をマークし、15年にはシーズンベストの30本塁打を記録。現在は侍ジャパンでも中軸を担うなど、打点王を2度獲得したクラッチヒッターとして活躍している。
同8番目タイの中村剛也(西武)は高卒16年目でプロ通算357本塁打。ホームラン王6回は王貞治(元巨人)、野村克也(元南海ほか)といったレジェンドに次ぐ単独3位で、昨季まで規定打席に達したシーズンはすべて本塁打王のタイトルを奪取している。
また、ホームランを打つ確率は100打数で約7.3本塁打と野村氏をはじめ、プロ通算本塁打で500本以上を記録している門田博光(元南海ほか)、山本浩二(元広島)、清原和博(元西武ほか)、落合博満(元中日ほか)らを上回るペースであり、現代を代表するホームランアーチストと呼ぶにふさわしい成績を残している。
残る2人はすでに現役を引退しており、大島裕行(元西武)はプロ13年間で23本塁打。レギュラーに定着することはできないままユニフォームを脱いでいる。鈴木健(元西武ほか)はプロ通算189本塁打。20本塁打以上を記録したシーズンは3度あったが、プロでは中距離打者にモデルチェンジし、97年に最高出塁率、ベストナインも2度獲得し、20年に及ぶプロ人生を全うした。
公式戦に限定すると清宮の成績は......
こうして振り返ってみると、上位10人の選手がプロ入り後に歩んでいる道のりはまさにさまざま。これは高校通算本塁打数が試合数も、使用しているグラウンドも、相手投手のレベルも違うなかで比較されていることが理由だろう。実際、上位10人にランキングしていながら、プロに進んでいない3選手はすべて神港学園高(兵庫)のOBで、ホームランを量産できたのは同校のグラウンドの外野が狭く、本塁打が出やすいことが理由の一つに挙げられている。
また、なかには小笠原道大(元中日ほか)のように高校時代は練習試合も含めてホームランが0本ながらプロでは378本塁打を放ち、2006年には本塁打王を獲得した選手もいるなど一事が万事というわけではない。
その一方で高校通算本塁打の上位選手の続きを見ると、70本に日米通算292本塁打の城島健司(元マリナーズほか)と、プロ84本塁打の平田良介(中日)。さらにプロ通算138本塁打の筒香嘉智(DeNA)は69本、525本塁打の清原氏は64本、日米通算507本塁打の松井秀喜(元ヤンキースほか)は60本と名だたる強打者が並ぶことから、遠くへ飛ばす天性の素質は高校時代から花開いているケースが多いと言えるだろう。
ちなみに、高校で56本塁打を放った大谷翔平(日本ハム)はプロで48本。本数は多くはないが、100打数あたり約4.7本のホームランを打つ確率で、これはチームメートの中田とほぼ同じ数字となっている。
そして、111本塁打で歴代1位に躍り出た清宮だが、その内訳を見てみると練習試合で打ったホームランの割合が多く、3年間で82本。勝負が懸かった公式戦のみに限定すると29本で、清原氏の47本には水をあけられているが、松井氏の26本は上回っており、十分、立派な数字と言えるだろう。
そのほかのドラフト候補を見てみると、安田尚憲(履正社高)は高校通算65本塁打。この本数に近い選手は、同じ65本の大田泰示(日本ハム)、61本の松田宣浩(ソフトバンク)と江藤智(元広島ほか)ら。
中村奨成(広陵高)は今夏の甲子園で一大会の個人最多本塁打記録を更新。通算6本塁打は、清原氏の13本塁打に次ぐ歴代2位タイで、同じ本数の桑田真澄(元パイレーツほか)はプロで投手で通算7本塁打。元木大介は二番打者タイプになり、通算66本塁打で2ケタ本塁打を記録したシーズンはなかった。また、中村の高校通算本塁打数は原辰徳(元巨人)と同じ44本で、捕手では48本の炭谷銀仁朗(西武)や42本の谷繁元信(元中日ほか)、41本の森友哉(西武)らがいる。
ドラフトを経て、ルーキーたちがどのように成長していくか。こういった数字やデータを頭に入れて、未来に思いを馳せるのも一興だ。
文=大平明 写真=BBM

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