画像: 【ドラフト検証】“甲子園150キロ超速球派”はプロで活躍できるか?

【ドラフト検証】“甲子園150キロ超速球派”はプロで活躍できるか?

スピードガンが甲子園球場に導入されたのが1992年から。当時、「球速表示は高校野球にふさわしくない」との理由で場内表示されなかった。しかし、97年からテレビ中継画面で表示が始まり、2004年センバツから場内でも掲示されるようになった。ここでは、投手の実力を分かりやすく評価する「球速」とプロでの成績を検証するが、スピードガンは、必ずしも絶対的な数字ではない。一つの目安としてご一読いただきたい。
ランキングトップは由規
安楽と並び、甲子園最速は佐藤由規(現・由規)が07年夏にマークした155キロが
近年の甲子園大会では投手の球速が全体的に向上し、140キロはもはや当たり前の時代になってきている。それは、甲子園の球速ランキング10位以内の13選手が、すべて2000年代に入ってから計測したものという事実からも見て取れるだろう。
それでも150キロの価値はまだまだ高く、昨年までに甲子園で150キロを記録してプロへ進んだ21人のうちドラフト1位で指名されたのは18人(新垣渚はオリックス1位指名を拒否し、大学を経た4年後に自由枠でダイエーに入団)。希少性が高いサウスポーに至っては3選手すべてがドラフト1位の評価を受けているが、それではプロ入り後の成績はどうなっているのか。ランキング上位から見ていきたい。
[甲子園最速記録ランキング上位10傑]
【155キロ=1位】
2007年夏 佐藤由規 右投 仙台育英高→ヤクルト(83試合31勝34敗0H0S)
2013年夏 安楽智大 右投 済美高→楽天(26試合5勝10敗0H0S)
【154キロ=3位】
2001年夏 寺原隼人 右投 日南学園高→ダイエーほか(278試合71勝80敗8H23S)
2009年夏 菊池雄星 左投 花巻東高→西武(135試合59勝42敗0H1S)
2009年夏 今宮健太 右投 明豊高→ソフトバンク※プロで内野手転向
【153キロ=6位】
2008年春 平生拓也 右投 宇治山田商高→西濃運輸
2011年夏 北方悠誠 右投 唐津商高→DeNAほか(一軍登板なし)
2011年夏 釜田佳直 右投 金沢高→楽天(64試合20勝15敗1H0S)
2012年春夏 藤浪晋太郎 右投 大阪桐蔭高→阪神(114試合45勝37敗0H0S)
【152キロ=10位】
2005年夏 辻内崇伸 左投 大阪桐蔭高→巨人(一軍登板なし)
2010年春 西浦健太 右投 天理高→法大
2016年夏 高田萌生 右投 創志学園高→巨人(一軍登板なし)
2016年夏 今井達也 右投 作新学院高→西武(一軍登板なし)
※スピードガン導入以後、甲子園での試合のみ。すべての球速は編集部集計
140キロは当たり前。スピード時代の到来
甲子園左腕最速は菊池雄星の154キロ。150キロを超える左腕は希少価値が高い
甲子園で155キロを計測したランキング1位の選手は2人。07年夏に最速記録を出した由規(ヤクルト)はプロ入り3年目に当時、日本人初となる161キロをマークし自己最多の12勝。その後、右肩を故障し育成選手になったが昨季から一軍のマウンドに復帰していている。安楽智大(楽天)は高校2年時に計測した記録で、こちらは右ヒジの故障から復帰。プロでは3年間で5勝と苦しんでいるが、今後に期待したいところだ。
154キロをマークしたのは3選手。01年夏に甲子園記録を塗り替え、スピード時代の到来を予感させた寺原隼人(ソフトバンク)はプロ入り後も力投型の投手として07年に163三振を奪い12勝を挙げた。現在は緩急を使って打たせて取る投球を身に付け、息の長い活躍をしている。
菊池雄星(西武)は昨シーズン、自身初の2ケタ勝利。今季は最多勝、最優秀防御率のタイトルに輝いた。奪三振も200個を突破し、今年8月には自身も一度マークしている日本人左腕の最速タイ記録となる158キロを計測した。
今宮健太(ソフトバンク)はプロで内野手に専念。高い身体能力を持つ遊撃手として4年連続でゴールデン・グラブ賞を獲得している。
ランキング6位タイの藤浪晋太郎(阪神)は、12年春夏の両大会で153キロを記録。プロではルーキーイヤーから3年連続で2ケタ勝利を挙げ、今季5シーズン目で通算45勝。3年目には221個の三振を奪って最多奪三振のタイトルを獲得し、その翌年には日本人選手として3人目の160キロも計測した。
釜田佳直(楽天)はドラフト2位で入団し、1年目から7勝。3年目のシーズンは右ヒジの手術の影響で棒に振ったが、昨季は再び自己最多タイの7勝を挙げた。北方悠誠(元DeNAほか)は制球難に苦しみ、NPBに所属した4シーズンで一軍登板はなし。現在は独立リーグの愛媛マンダリンパイレーツでプレーしている。
そして、152キロで10位タイの辻内崇伸(元巨人)は左ヒジの故障などで、こちらも一軍登板はないまま現役を引退。今年、プロ1年目の今井達也(西武)は右肩の故障で離脱。高田萌生(巨人)は体作りを経て、これからというところだ。
地方大会を含めれば大谷が160キロをマーク
高校時代、甲子園で150キロをマークした大谷翔平。3年夏の岩手大会では160キロを記録した
トップ10からは漏れたが甲子園で150キロ以上を記録した選手を挙げると、151キロには日米通算164勝の松坂大輔(ソフトバンク)のほか、プロ通算64勝の新垣渚(元ソフトバンクほか)、40勝111セーブの山口俊(巨人)、28勝の大嶺祐太(ロッテ)に、今季プロ2年目で通算7勝の小笠原慎之介(中日)。150キロには日米通算151勝の田中将大(ヤンキース)をはじめ、プロ通算27勝71ホールドの岩嵜翔(ソフトバンク)、今季12勝の秋山拓巳(阪神)、今年4月に一軍デビューを果たした2年目の高橋純平(ソフトバンク)と錚々たるメンバーが名を連ねている。
11年夏と12年春の2大会で150キロを記録した大谷翔平(日本ハム)は12年夏の岩手大会準決勝で地方大会ながら高校生では現時点で唯一の事例となる160キロを計測。プロでは二刀流で登板機会が限られるなか、15年には最多勝、最優秀防御率、最高勝率の投手3冠に輝き、昨年9月には日本人最速となる164キロをマークした。
このように甲子園での150キロとプロでの活躍には密接な関係がありそうだが、ここで注目したいのがプロ入りしていない2選手が150キロ以上を計測したのは春のセンバツのみで、プロ入りした選手は山口と高橋を除き夏の大会で記録している点だ。打者有利とも言える酷暑のなか、一度も負けられない夏のトーナメントを勝ち抜いて甲子園まで到達するには、投手は球速だけでなく変化球や制球力、さらには精神力や投球術といった能力を磨く必要がある。
そういった意味で、甲子園で150キロを計測した投手はただ速い球を投げるだけの好素材にとどまらず、勝利という結果を導くためのプラスアルファのスキルを早くから身に付けており、だからこそプロという厳しい世界でも多くの武器を携えて活躍できているのだろう。
そして、今夏の甲子園では優勝した花咲徳栄高(埼玉)で救援を任されていた清水達也が3回戦の前橋育英高(群馬)戦で150キロをマーク。全国制覇と150キロを同じ大会で達成したのは松坂、田中、藤浪、小笠原、今井に続く6人目となるだけに、今後の動向にも注目が集まりそうだ。
文=大平明 写真=BBM

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