画像: DeNAルーキー・細川成也の礎を築いた
明秀日立高・金沢成奉監督の打撃指導

名伯楽も認める
ホームランバッターの能力

 3位からのクライマックスシリーズ優勝で19年ぶりの日本シリーズ出場を決めた横浜DeNAベイスターズ。そのDeNA史上初となる高卒新人でのクライマックスシリーズ出場を果たし、安打、適時打も記録(10月24日、ファイナルステージ第5戦)のが細川成也だ。シーズンでは、10月3日の中日戦でプロ初出場を果たすと、高卒新人選手ではプロ野球史上6人目となる初打席でバックスクリーン直撃の3ラン本塁打をマーク。さらに翌日の同カードでも本塁打を記録し、これは史上初の快挙だった。

 来年が大いに楽しみとなるデビューを飾った細川の、打者としての礎を築いたのが明秀日立高の金沢成奉監督だ。光星学院高(現・八戸学院光星高)監督時代には、坂本勇人(巨人)、田村龍弘(ロッテ)、北條史也(阪神)をプロへと輩出した名伯楽である。
多くの球児を見てきた金沢監督にとっても、高校時代の細川の才能は群を抜いていたという。プロ入り前の「ベースボール・クリニック2017年2月号」のインタビューではこのように評している。

「坂本や田村、北條も高校時代は長距離ヒッターだったと言えると思いますが、プロではそういう打者ではありません。一方、細川はもともとヘッドスピードの速さがほかの選手とはまったく違っていました。プロでも中田翔選手(日本ハム)や筒香嘉智選手(DeNA)など、ヘッドスピードの速い選手がホームランバッターとして活躍していますが、これは打球を飛ばすことには欠かせない能力であると思います。それ以外でも、細川は身体能力の高い選手です。中学時代に陸上の投擲で全国大会に出場するほど地肩が強く、強いボールを投げられるということで、高校で投手にチャレンジさせました。足も速く、脚力もあるなど先天的な身体能力の高さを持つ細川には、プロでもホームランバッターとして活躍してもらいたいと期待しています」

 金沢監督の期待どおり、細川は今、ホームランバッターとして華々しいスタートを切っている。

打撃のポイントは
「タイミング」と試行錯誤

画像: 明秀日立高時代の細川成也

明秀日立高時代の細川成也

 今秋の茨城大会では8対5で霞ケ浦高に勝利し、3季連続となる関東大会に出場した明秀日立高。チームカラーである打撃力の、指導のポイントの1つに「タイミング」がある。

 「タイミング」は、自分のタイミングと投手のタイミングの2つがある。自分のタイミングは体を上半身・下半身、右半身・左半身の四分割にして考え、右打者であれば左下半身、右上半身を、弓矢を最大限まで引くように「割り」の状態をつくってから打ちにいけるようにすること。そして、投手のタイミングでは、投手の踏み出しに合わせて始動し、相手の投げる手に合わせてバットを出していくことになる。

 このタイミングを取る際に気をつけるのは体全体を使うことだ。打球を遠くに飛ばすには全身を大きく使ってパワーをボールにぶつけることが大事になる。そのため、明秀日立高ではタイミングを取る中で足を大きく上げるようにしているという。
 ただし、足を大きく上げるためにはその分早く始動しなければならず、また片足立ちになるため不安定感も生じる。そこで、下半身の力が不十分であったり、タイミングがうまく取れなかったりする選手は、すり足に変える。それでもうまくいかない場合にはノーステップに近い形にするというように、三段階を設けている。
 動き出しのタイミングはそれぞれ異なり、足を上げる場合は早く、すり足は少し遅らせ、ノーステップはさらに遅くする。この始動を習得するには数を振っていくことが必要となる。

 細川も高校時代は間(ま)が取れず打ちにいってしまい、すり足でも上半身と下半身の動きがどうしてもズレてしまっていたため、ほぼノーステップの小さな動作で打つフォームだった。それでも、持ち前の身体能力とウエートトレーニングで鍛えた筋力、また金属バットだったということもあり、高校通算63本塁打を放った。しかし、プロでは力負けするのか、しばらくの間は二軍でもなかなか結果を出せずにいた。そこからフォームを現在の足を上げる形に変えたことで、現在の結果につながったのだろう。金沢監督もフォームの変更についてこう語っていた。

「中田選手は高校時代には足を上げて打っていましたが、プロに入ってからは試行錯誤してノーステップの時期もありました。筒香選手も一時期ノーステップだったことがありましたが、両者ともだんだんとプロのレベルに慣れてきて自分のタイミングがつかめだしたことで、変わっていったのではないでしょうか。イチロー選手の振り子打法も少しずつ振らなくなっていったり、坂本が以前よりも足を上げなくなったりといったことは、皆タイミングの重要性を知り、試行錯誤しているからではないかと思います」

 基本の重要性に加え、常により良い形を求める探究の姿勢が、打球を飛ばす秘訣なのだろう。

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