画像: 早大に完勝・帝京大FW秋山大地が感じた「楽しい」時間帯

早大に完勝・帝京大FW秋山大地が感じた「楽しい」時間帯

帝京40―21早稲田。帝京のLOを務めたのは秋山大地。淡々とコンタクトを繰り返す(撮影:高塩隆)
10月28日、関東大学対抗戦の全勝チーム同士がぶつかる2対戦が秩父宮で行われ、
慶應が明治を、帝京が早稲田を破ってそれぞれ無敗を守った(4勝)。大学選手権8連覇中の帝京と、慶應は、11月5日に対戦。10月29日には、リーグ戦グループの全勝同士・流経大と大東大が直接対決、同じく全勝の東海大が、1敗の中大と対戦する。
帝京40-21早稲田。終わってみればダブルスコアの戦いも、内容は終盤に帝京が逃げ切った一戦だった。夏合宿では帝京が82-0で圧倒したカードだったが、この日、スコアは終盤に入るまで競った。特に秩父宮のファンをざわつかせたのは、前半、7-14と早稲田がリードを保った15分間だった。
この時間帯を「楽しかった」と振り返るのが、リードを許していた側の帝京LO、秋山大地(3年)だ。
192センチ、110キロの体躯で、相手に、ブレイクダウンの密集に杭をうがち続けた。硬く重いコンタクトでひたすらヒット、ドライブを繰り返す。アタックでは、早稲田が狙い澄ましてヒザ下に見舞うタックルを受け止めつつ、50センチでも前に、10センチでも、と踏ん張った。
「リードされていようが(いまいが)、あの時間帯は、やってきたことを出し切るだけ。自分が体を張って何とか流れを変えたいと思っていました。早稲田のディフェンスのプレッシャーが一番厳しい時でした。そんな場面こそ、『自分たちでどこまで厳しくできるか』の勝負。シンプルで、自分としては楽しかったですね」(秋山)
この時間帯の接点勝負を避ければ、この先はどんな相手にも勝利はおぼつかない。むしろよけいな判断は削る。低く腰を折って、体を当てる、足を掻く、倒れればすぐに起き上がる、それを繰り返すのみだ。早稲田もまた飛び出しの速いタックルで密集サイドに意地を表しにきた時間帯。コンタクトは熱を帯び、秋山自身もその勝負に没頭できた15分だった。帝京はここから36分、46分と2トライを重ね、21-14で前半を終えた。
秋山は徳島県つるぎ高校出身、2,3年時は花園(全国大会)出場経験もない。個人としては高校日本代表に選ばれ主将も務めたが、連覇中の大学トップチームに故郷からたった1人加わった当時は心細かったという。
「来る前は、不安はすごくありました。徳島の先輩は誰もいなかったですし...。ただ、その不安を取り除こうとしてくれる空気、文化が(チームに)あったので、ラグビーに集中できました」。1年時はリザーブに入り、対抗戦で試合出場も果たした。
「だから、昨年出られなかった悔しさが今もあります」
昨年、2年時は出場機会をつかめなかった。当時のバック5には、現在トヨタ自動車で主将を務める姫野和樹ら4年生を中心に突出した選手が集まり、厚い選手層を成していた。
そして彼らが卒業した今年は、そのポジションが『課題』として見られることもある。
「去年の4年生FWの存在感は絶大でした。そのぶん、僕らが自分自身に求める基準は高くなります。代が変わっても、誰の目から見ても『(力が)落ちたな』と言われない力をつけていきたい。僕個人としては、去年の悔しさを忘れないでいたい」
自身の課題を、その体ほどには大きくない声で「ハートの部分」という秋山は、フィールド外では確かに穏やかで奥ゆかしい。「自信のなさから受け身に回ってしまう(傾向がある)。プレーでは今よりもガツガツ、いき続けることを考えてやっています」
黙々と、何度でも。その頑健な体を当てにいく姿は、ポジションを争う仲間にとってさえ「怖い」存在かもしれない。この日、チームがリードされた15分間は、逃げやかわしの許されない相手との真っ向勝負、自分との戦い。いま倒すべきものとの格闘に没頭した時間だった。(文:成見宏樹)

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