画像: 2000年から3シーズン、セレッソ大阪でプレーしたユン・ジョンファン監督。今シーズンから古巣に戻って采配を振るっている

2000年から3シーズン、セレッソ大阪でプレーしたユン・ジョンファン監督。今シーズンから古巣に戻って采配を振るっている

 11月4日、クラブ史上初のタイトル獲得をかけて、『2017 JリーグYBCルヴァンカップ』の決勝(会場:埼玉スタジアム)のピッチに立つセレッソ大阪。
 今シーズンから同クラブを率いるのが、元韓国代表選手で、セレッソでもプレー経験のあるユン・ジョンファン監督だ。
 残り3節となったJリーグでは上位進出(31節終了時点で3位)、天皇杯ではベスト4進出(準決勝は12月23日、決勝は18年1月1日に実施)、そしてルヴァンカップでは決勝に導くなど、手腕を発揮している。
 J1昇格1年目だったセレッソを、見事に再構築した秘訣は何だろうか――?
(取材・構成/森田将義、写真/BBM、太田裕史 出典:『サッカークリニック2017年12月号』<11月6日発売>)

「コミュニケーションは
私の指導に欠かせない」

ーー今年、セレッソ大阪の監督に就任してからはどのようなことに取り組みましたか?

ユン・ジョンファン(以下、Y) 皆さんもご存知の通り、C大阪には能力の高い選手が数多くいます。ただし、試合ごとのパフォーマンスの差が大きい面があります。そのため、好不調の波をなくすことに注力しました。

ーー実際に手応えはありますか?

Y チーム全員が意識を高く持ってプレーしています。サガン鳥栖で指導者を始めた頃と違い、私がどのような監督なのかを選手たちも理解してくれています。そのおかげで、コミュニケーションを円滑に図れていると思います。

――指導者として大事にしていることを教えてください。

Y 選手には、「メンタルの部分がしっかりしていないと、プロ選手としては生きていけない」と伝えています。技術面で言えば、自分が目指すサッカーを実現するために選手配置は熟考します。攻撃も守備もチーム全体で行なうことを優先しながら、個人の特徴を出すように求めています。

ーーC大阪では、守備的な選手だった山村和也選手をトップ下にコンバートしたり、若手を積極的に抜擢したりするなど、選手起用でもユン・ジョンファン監督の特徴が見えます。

Y 山村選手の場合は、特徴である高さやフィジカルの強さをより引き出すための方法を練習などで模索した結果です。うまくいくかは誰にも分かりません。監督としてもチャレンジでした。いいプレーを見せてくれているので良かったと思っています。
 若手の起用に関しては、『YBCルヴァンカップ』では21歳以下の選手を1人以上スタメンから使うルール(決勝は除く)があったことも影響しています。若手が成長してくれば、C大阪はもっと良くなるでしょう。正直、最初は若手のことを詳しく知りませんでした。チームスタッフからさまざまな情報を集め、練習でプレーを確認し、起用しました。試合に勝っても負けても、一度は起用してみるつもりでした。

ーー鳥栖時代には豊田陽平選手が日本代表に選出されるなど、ユン・ジョンファン監督の下で多くの選手が成長しました。選手を成長させるために指導者として意識している点を教えてください。

Y 指導者の立場で言えば、選手側の受け止め方次第だと思っています。指導者から言われたことを選手自身が真剣にとらえ、行動に移さないといけません。練習の取り組み方で成長度合いは変わってきます。
 サッカーというスポーツは反復練習が必要です。継続しなければ力はつきません。私も幼い頃から多くの練習を積んできました。監督からいくら教わっても、技術面は本人の努力がなければ良くなりません。

ーーでは、いいチーム、いい指導者の条件を教えてください。

Y チームの結果を出すことです。そのためには、選手との信頼関係を築くことが大事になってきます。まず、監督の目指すべきサッカーを明確にしないといけません。そうすると、選手も焦れずについてきてくれます。C大阪ではシーズンの初めに方向性をうまく示すことができ、中心選手が意欲あふれるプレーを見せてくれました。そのおかけで、ほかの選手やベテランも追随してくれていますし、結果もついてきたと思います。

ーー最後に、日本の指導者へメッセージをお願いします。

Y 私の場合は、一緒に戦う選手たちに少しでも成長してもらいたいという気持ちで最善を尽くしています。それには、コミュニケーションが大切です。チームを率いると、何十人もの選手を見なければいけません。それでも、少しでも多くの選手と会話するように心がけています。1日で全員と話すことはできないので、必要なときに必要な話をします。サッカーを教えて終わるのではなく、間違ったプレーをしたときは正しいプレーを伝えなければいけません。その点は、アマチュアもプロも同じです。「できるだろう」という考え方は最も危険な考え方です。選手が経験していないことを指導者が教えてあげると、選手はより成長していくと思っています。
 監督の権力を振りかざすのではなく、選手たちの心を理解しなければいけません。自分の目指すサッカーを伝える必要性もあります。繰り返しになりますが、選手一人ひとりの違いを知るためにもコミュニケーションも欠かせません。ただしそれは、サッカーだけでなくすべての物事に言えることです。お互いの気持ちを分かり合えると何事もスムーズに進みます。時には強くしかったり、優しく背中を押したりし、選手の特徴を見ながら声をかけていくべきだと思っています。

画像1: ーー最後に、日本の指導者へメッセージをお願いします。
画像2: ーー最後に、日本の指導者へメッセージをお願いします。

<プロフィール>
ユン・ジョンファン(尹晶煥〈Yoon Jung-Hwan〉)/ 1973年2月16日生まれ、韓国出身。95年に油公コッキリ(現在は済州ユナイテッドFC)でプロキャリアをスタートし、2000年から02年まではセレッソ大阪の司令塔として活躍した。その後、城南一和天馬、全北現代モータースを経て、06年に鳥栖に加入し、07年までプレーして現役を退いた。韓国代表としても活躍し、02年の日韓ワールドカップのメンバーに選ばれた。引退後は鳥栖で指導者となり、11年から14年まで監督を務めたあと、15年から16年までは蔚山現代FCの指揮を執った。今年、C大阪の監督に就任した

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