11月22~26日の5日間、東京・巣鴨にある東京スイミングセンターで、同スイミングセンター(SC)主催のジュニア優秀選手招待公認記録会が行なわれた。今年で49回を数えるこの大会は、同SC出身の北島康介が幼少期から参加していたほか、リオ五輪金メダリストの萩野公介もジュニア時代から出場し学童新記録を数多く樹立していた伝統ある大会である。この大会は年齢の上限が無制限のため、社会人スイマーも出場が可能。萩野や大橋悠依ら日本のトップ選手も多数、出場したが、ここでは、ジュニアスイマーに焦点を当てこの大会がジュニア育成にもたらす効果を紹介していきたい。

◆4年目となったジュニア向けの取り組み

 日本の競泳がオリンピックや世界選手権で安定してメダルを獲得してきた背景のひとつには、日本水泳連盟主導によるジュニア選手の継続した育成がある。その施策のひとつが『ナショナル標準記録』の設定で、中学1年から高校3年まで、学年ごとに種目別の標準記録が設けられ、この記録をもとに合宿や遠征への参加が決まることだ。さらにその突破対象大会はどの大会でも良いというわけではなく、日水連派遣の国際大会と主要全国大会のみ。これは、全国大会の緊張感の中で突破してこそ将来の国際大会での活躍につながる、という意向が反映されてのものだ。

 しかし、ただでさえ少ない全国大会、しかも中学1、2年生は日本選手権などの出場基準の高い大会には出場できず、特に男子の中学1年生は、同様の理由で、全国中学に出場するのも至難の業。したがって、彼らの中には、対象大会で唯一出場できるのは2歳ごとの区分けで実施される全国JO杯夏季大会のみ、という選手も少なくない。

 そういった状況を鑑み、3年前(2014年)から中学1、2年生を対象に『ナショナル標準記録突破対象大会』を1大会、加えた。それがこの東京SC招待である。指定開始以来、これまで出場していなかったクラブからも選手が参加するようになり、2014年が5名、2015年は2名、2016年が6名で今年も6名が、見事、この大会でナショナル標準記録を突破。12月中旬に開催されるトップスイマーへの登竜門、日水連主催のナショナル合宿への参加資格を得ている。今大会で突破した中学2年生の男子選手は、「ぜったいに切りたいと思ったので夏を終えても気持ちを切らさず練習してきた。大幅な自己ベスト更新で突破でき、信じられないくらいうれしい」と満面の笑顔で喜んでいた。

◆今年から800、1500m自由形を実施

 中学1、2年生のナショナル標準突破大会としてすっかり定着した4年目の今年は、さらに新たな取り組みが加わった。これまで実施されていなかった女子800m自由形、男子1500m自由形を競技種目として採用したのだ。主催者側も、どの程度の参加人数になるか予想がつかなかったのだろう。そのことも相まって初回は男子8名、女子5名の出場にとどまったが、長距離種目が実施種目のラインナップに加わったことこそ意味のあることだった。

 現在、日本の自由形長距離は男女とも世界のトップから大きく水を開けられている。一因としては、日本の競技大会の低年齢(12歳以下)における競技種目は短距離種目に特化され、長距離に特性のある選手がその才に気づくことなく水泳をやめてしまうケースが少なくないことが挙げられている。また、特に800mと1500mに関しては、競技時間が長くなることから実施を見送る競技会も多く、これらの観点からも、この大会で長距離種目が実施される意義は大きく、今後の長距離選手育成に大きな一助になるのではと期待が寄せられているのだ。

◆来年の50回記念大会は辰巳開催

 大会の取材を進める中で、大きなニュースが飛び込んできた。50回の記念大会となる来年は、日本水泳界のメッカでもある東京辰巳国際水泳場に会場を移し、開催される予定だという。選手の控え場所やウォーミングアッププールなど、競技をとりまく環境が各段に向上するほか、泳ぎやすいと定評のある辰巳での開催とあれば、これまで以上に記録を狙ったジュニアスイマーが多く出場し、よりハイレベルな争いの中から好記録が続出すること間違いなしだ。

 大会関係者からは、来年はジュニア層に手厚い大会にしたい、という意向も聞こえてきており、参加標準記録などの設定も含め、多くの選手が出場する環境が整い、レベルアップの足掛かりとなる大会になりそうだ。

文/桜間晶子

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