捕手の心構え

 捕手の魅力はリードにあり。配球面では打者主体と投手主体のリードを使い分けることもポイントです。とにかく打者の特徴を踏まえて弱点をどんどん突く、あるいは打者の考えの裏をかいていくのが“打者主体のリード”。そのためには試合状況を把握しつつ打者をよく観察し、グリップの握り方、スタンス、立つ位置、息遣いまで細かい部分を感じ取ることが大事です。一方、投手の持ち味を重視し、いい球で勝負するのが“投手主体のリード”。そもそも打者が狙っていたとしても、球のキレや勢いで打ち取れる確率が高いのであれば、たとえばひたすら直球でも問題ないんです。つまり、投手と打者の力量を比べた上で「投手>打者」と判断したら“投手主体”、「投手<打者」と判断したら“打者主体”のリードをする。もちろん状況にもよりますが、基本的にそういう考え方を持っておくとリードしやすいと思います。

 それと捕手は、常に最悪の想定をしておくことも大切です。もちろんミットを構えたところに投手の球が100パーセント来れば良いですが、そうとは限らない。たとえばその投手に外角スライダーを要求して、すっぽ抜けたらどうなるのか。そういった傾向を普段から把握し、また打たれてもいい場面であえて投げさせてみておくと、いざピンチの場面で「ここは外角直球」などとリスクを回避できます。野村監督も「投手はプラス思考で、捕手はマイナス思考。プラスとマイナスが一緒になるからバッテリーというんだ」とよく仰っていました。リスクの管理もまた、捕手の仕事なのです。

 このように捕手というのは知れば知るほど奥の深いポジションであり、難しいポジションでもあります。しかし、根拠のある配球をし、考え抜いた1球で打ち取ったときの快感は今までの苦労を一瞬で吹き飛ばしてくれるほどの魅力があります。経験がモノを言うポジションですのですぐには上達しませんが、諦めることなくコツコツと頑張ってほしいと思います。


PROFILE
うさみ・やすひろ/1975年12月18日生まれ。北海道出身。稚内大谷高から94年ドラフト6位でヤクルト入団。3年目に捕手から内野手にコンバート、両打ちにも挑戦した。2000年に現役を引退。16年、埼玉県戸田市(JR戸田公園駅徒歩7分)に野球用品専門店「ロクハチ野球工房」(http://68-labo.jp/)をオープン。

This article is a sponsored article by
''.