通算3度目となる決勝に臨んだ前橋育英が、悲願の初優勝を遂げた。

■第96回全国高校サッカー選手権大会 決勝
流通経済大柏 0-1 前橋育英

もう決勝で負けない

終了の笛が鳴ると、イレブンはピッチにヒザを付いて喜び、歓喜に浸った。黄色に染まった応援団席からは校歌が響きわたり、ベンチでは決勝で2度涙をのんでいる山田耕介監督が目に涙を浮かべた。

試合後、興奮冷めやらぬピッチでマイクを向けられた指揮官は、「生徒たちがよくやってくれた」と何度も涙をぬぐった。手で押さえたメガネの下からは涙がこぼれ落ち、鼻をすすって言葉にならないほどだった。
前回大会は同じ舞台に立ちながら、青森山田に0-5の惨敗。選手、監督ともにこの屈辱的な敗北を心に留めて、1年間練習を積んできた。少しでも忘れそうになると、山田耕介監督は大敗の映像を見せたという。
 
もう決勝で絶対に負けない--。

イレブンのその強い思いが、ピッチでも表れた。セカンドボールの競り合いで負けず、最後まで流れをわたさなかった。相手のゴール前ではね返されても、中盤でこぼれ球を何度も拾い、攻撃の手を緩めない。前半こそ流通経済大柏のしぶとい守備に手を焼いたものの、出足が鈍り始めた後半途中からはゴールチャンスが増加した。

昨年の決勝も10番を背負った飯島陸は、虎視眈々と一瞬のスキをうかがっていた。前半から流通経済大柏の三本木達哉にマンマークを付かれ、思うようにプレーできなかったものの、得点の意識は強く持っていた。
 
「シュートを打たないと、意味がないので」ときっぱり。コースを狙ったシュートがポストに嫌われても、ミドルシュートがクロスバーぎりぎりで外れても、鋭い目はゴールへ。終了間際、榎本樹が競ったボールにゴール前で素早く反応すると、左足で思い切り振り抜く。一度は三本木にブロックされたものの、そのこぼれ球を榎本樹が見逃さずにしっかりとゴールへ流し込む。

「打った瞬間は、やってしまったと思ったが、イツキ(榎本)がうまく詰めてくれた」と笑って振り返った。決勝ゴールこそ2年生FWに譲ったものの、今大会は7ゴールをマーク。その存在感は、決勝でも相手に脅威となり、チームメイトのゴールを呼び込んだ。

準決勝までの4試合で、15ゴールを挙げていたチームの攻撃力は本物。無失点で決勝まで勝ち上がってきた流通経済大柏の堅陣をこじ開け、今大会16点目のゴールで初優勝を手繰り寄せた。

文◎杉園昌之 写真◎Getty Images

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