6対4の7回に生まれた一挙3点!

 昨夏の第99回全国高校野球選手権大会準決勝、広陵対天理は互いに譲らぬ打撃戦になった。3回までに2点ずつを取り合うと、4回は広陵が1点、天理が2点を挙げ、3対4と天理リード。しかし、広陵は5回に同点、6回には2点を奪い、6対4と勝ち越した。そして、迎えた7回の一挙3点でリードを5点に広げ、勝利を大きくたぐり寄せた。そのきっかけとなったのが一死一塁からの犠打だった。

 この回、先頭の七番・松岡直輝が四球で出塁。中井哲之監督は八番の山本雅也の初球、バスターを命じた。「どんどん点を取っていきたいと思っていたんです」。再三の強攻策で打撃戦を挑んできている相手に正面からぶつかる意図もあっただろう。「負けていられないっていう気持ちは正直あったよね」。しかし、山本は遊飛に倒れて一死。走者は一塁のまま。

 九番はこの試合、すでに2安打の丸山壮史。犠打を選択した理由を中井監督が語る。

「山本には普通に送らせて1点を取りにいってもいいところ。そこで欲張って失敗しました。だから一死からでも送って、1点取り返すことができれば、相手に与えるダメージは大きいですよね」

画像: 7回一死一塁、サインどおりに犠打を成功させた丸山

7回一死一塁、サインどおりに犠打を成功させた丸山

 犠打が決まり、二死二塁とすると、死球と左前打で満塁。三番の中村奨成(現・広島)に走者一掃の適時三塁打が飛び出したのは、指揮官が描いた以上の結果だろう。しかし、スコアリングポジションに走者を進めたことが劣勢の相手に1点のプレッシャーを与え、天理・中村良二監督が「正直、痛かった」と言う死球の流れを派生させた。

「相手が嫌がる攻めをするのが勝負の鉄則だとしたら、あそこで送らせるのは“ウチらしさ”。私は多くサインを出すタイプではありませんが、八、九番と動かしていきました。選手も二死二塁からの1点の大きさを理解した攻めになっていたと思います」

画像: 広陵・中井監督

広陵・中井監督

 敗れた天理・中村監督も「高校野球と甲子園を熟知し、選手の性格と力量、状態を見極めて的確な判断を下せる中井先生とそれに応える広陵の選手たちのすごさをまざまざと見せつけられました」と認める。中井采配の繊細な一手が勝利を引き寄せた。

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