最速155キロを誇る日体大の2人の右腕が注目を集めている。明石商高から進んだ松本航は2年春に6勝を挙げて最高殊勲選手と最優秀投手に輝くと、侍ジャパン日本代表でもプレー。首都大学リーグ通算30勝を挙げている。智弁和歌山高出身の東妻勇輔は3年春に3勝を挙げて頭角を現し、最優秀投手となった。日体大の両輪だ。
写真/ベースボール・クリニック
2人を指導するのが辻孟彦コーチ。日体大から2012年ドラフト4位で中日入り。3年のプロ生活を終えると松本、東妻が入学したのと同じ15年から指導に当たっている。
プロの現場を知る辻コーチが変化球指導で重視するのが「30メートルの距離でのキャッチボール」だ。
「変化球で肝要なのは打者に直球だと思わせること。そのためには腕を直球と同じように振ることが大事になります。ブルペンの18.44メートルでは腕を強く振らなくても球が捕手まで届きますが、30メートルまで離れるとそうはいきません。指導者があれこれ言わなくとも、投手は自然と腕を振るようになる距離です」
この距離でのキャッチボールでは変化の大きさではなく、球の強さを意識し、それを体得する。その感覚でブルペンに入るとマウンドの傾斜により、自然と球は低めに集まるようになる流れが理想的。
松本はツーシーム、スプリット、スライダー、カットボール、カーブの5球種、東妻は球種の異なる2種のスライダーとチェンジアップ、スプリット、カーブの同じく5球種の質をこうして高めていった。
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