12月13日に行われた、アメリカンフットボールの東西大学王座決定戦、第75回毎日甲子園ボウルは、関西学院大学が日本大学を破って、3連覇した。関学大は前半に日大に一時リードを許す場面もあったが、後半にかけてオフェンス・ディフェンスがアジャストし勝ち切った。昨年まで28年間にわたって関学大の監督を務め、甲子園ボウル優勝12回の鳥内秀晃さんに、試合の感想を聞いた。<>内は試合展開を編集部が補足した。
流れが日大に傾きかけた時、関学が勝負に出た――始まる前はどのような展開を予想されていたのでしょうか。
日大も強いから、点の取り合いになるやろうなと。(42-24という点差は)予想通りちゃう?
<前半を終えて、21-14と関学大のリードで折り返した>
前半はたまたま関学が1本リードというだけで、後半どうかなあと。
<第3クオーター、日大の最初のオフェンスはパント。直後の関学のオフェンスも、敵陣に攻め込んだもののQB奥野のパスがエンドゾーンでインターセプトされた>
後半の最初、関学ディフェンスがギリギリ踏ん張って日大をパントに追い込んだ。だけど奥野がインターセプトされて、これ、どうなんねんと思ったときに、関学のオフェンスが勝負していって、ことごとくサードダウンで通していったからな。
<試合途中から、日大は常にキャッチアップオフェンスを強いられたが、QB林が肩の負傷からパスを投げられず。それでも、RB川上が78ヤードのランタッチダウンを決めるなど見せ場を作った>日大の場合は、QBの林君がちょっとな、パスの精度が、怪我のせいやと思うけど、それは残念やけどな。かわいそうやけど。あのランもえげつないし、30番の川上君が独走で持っていった。すごいなあ。
――日大のチームは想像していた通りですか。
そうや。ランも強いし、やっぱ、(関東大学の)リーグ戦と違うプレーを準備していると思うとったから、やってたんちゃう? リーグ戦の試合は見てへんけど。
RB川上へスクリーンパスを投じる日大QB林大 写真:佐藤誠
――関学はオフェンスでは、バリエーションのある関学らしいオフェンスを展開していました。
関学らしいというより、普通にやって、通していけるディフェンスちゃうからな。日大のディフェンスは強いし。的を絞らせんようにやらんと。それはお互い様やと思う。
2Q、関学RB三宅が右オープンを駆け上がり13ヤードTDラン 写真:佐藤誠
――勝った関学も敗れた日大も、ディフェンスに問題が。
しんどいで、守るほうはああいうオフェンスをされると。随所随所で(オフェンスの)個人(の能力)が有利で、そのへんが、お互いに足らん奴がおったな。まあ、日大も関学のオープンのランプレーが止められなかったからな。
甲子園ボウルは学生の憧れ。開催はありがたいこと――次はライスボウルということになりますが。
やんのかな⁉︎ 危ないで、ホンマに。ジャパンエックスボウルが日本一を決めるんやろ。それが、学生チャンプとやって意味があるの? 安心、安全のゲームになる? 危険やと思うよ。外国人選手はそんな試合に出たいんかな。聞いてほしい。
――それに比べると甲子園ボウルは盛り上がりました。
学生の憧れの的やからな。今日の試合も点が入って、見ている人は面白かったんちゃう? 開催できるかどうか(わからないと)言ってはったのに、みんなの尽力のおかげで開催できたことはありがたいと思うわ、ホンマにね。
ーーありがとうございました。
鳥内秀晃(とりうち・ひであき)◎1992年に関西学院大学アメリカンフットボール部監督就任。以後、甲子園ボウルの優勝は12回を数え、02年にはライスボウルも制覇した。2016年には世界大学選手権日本代表チームを指揮。昨シーズンを最後に監督の座から退いた。
どんな男になんねん 関西学院大アメリカンフットボール部 鳥内流「人の育て方」 鳥内秀晃 / 著https://www.bbm-japan.com/article/detail/1957