九州産業大から投手のプロ入りが続いている。2016年は高良一輝(興南高)が日本ハムからドラフト3位指名、その前年は浜田智博(宮崎工高)が中日からドラフト2位指名を受けた。今年のドラフトでも井手亮太郎(九産大九州高)が育成ドラフト1位で楽天に指名されている。また、社会人野球で活躍する同大出身投手も多い。多くの投手をプロ、社会人に輩出する大久保哲也監督は、2本の柱を立てて投手の練習を組み立てている。
九産大-三菱重工長崎での現役時代に捕手を務めていた大久保監督だけに投手指導は捕手目線。重視するのは腕を強く振ることで、「フォームに走り過ぎることは投手の長所を奪ってしまうことにつながる危険性がある」と型にはめることなく、投手それぞれの形を模索していく。井手の場合は、高校時代のアンダーハンドから、わずかに腕を上げたことで1年時には150㌔をマークした。
「腕を強く振るためのフォーム」を自然と身につけるための練習として重視しているのが遠投だ。普段の練習ではサブグラウンドを用いて100㍍近い遠投を連日行う。力をセーブすることができないため、体全体を使ったフォームで自然と腕が速く振れるようになる。
最近ではリリースの角度が異なること、投球と体の使い方がリンクしないことなどを理由に遠投を否定する選手や指導者も見られるが、大久保監督はそれを調整することこそ、投手の本懐だと理解する。遠投後に約30㍍の距離のキャッチボールを行い、「投手板-本塁間の18.44㍍は通過点」というイメージをつくり、投球につなげてもいる。
必要な時期に必要量の投げ込みを行うことも指導の肝。シーズンオフは100球以上、時には200球以上のブルペン投球を行う。リーグ戦前のオープン戦も球数を多く投げる場としてとらえている。一方でシーズンに入ると球数を一気に減らす。調整で30~50球を週に2、3回程度。投球過多による故障を避けるため、投球数を把握することは指導者として当然の務めだ。
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