少子化やスポーツの多様化に伴う野球人口減が全国的に叫ばれている。新潟県ではピーク時に100校を超えていた高野連加盟校数が昨年は92校にまで減少。今年に入っても続くその傾向に歯止めをかけようと新潟医療福祉大が立ち上がった。
8月4~6日、大原運動公園ベーマガSTADIUM(南魚沼市)にて、新潟医療福祉大の健康スポーツ学科に在籍する硬式・軟式野球部員22人による野球教室が開催された。これは硬式野球部の佐藤和也監督が受け持つスポーツ実践指導法実習の授業の一環として行われたもの。
少子化により児童・生徒の数が逓減していることに加え、競技スポーツの多様化に伴い、野球人口は減少の一途をたどっている。その状況に「どうすれば野球をする仲間を増やすことができるか。それぞれの立場で人任せにしない取り組みが必要」(佐藤監督)と今回の野球教室を企画、実現した。
この野球教室のメーンテーマは「野球の面白さ」。それを伝えることで、①新たに野球を始める子どもが現れること(野球の普及)、②中学、高校、大学と長く野球を続ける子どもが増えること(継続率向上、障害予防の観点)、③野球界の現状を知り、野球競技を次代に引き継げる指導者が育つこと(指導者育成)が目的。この野球教室に向けての1年間の授業の中で学生たちが考案した野球遊びや練習法を用いて、地元の小学生(約100人)、中学生(253人)を指導した。
トレーニング全盛の時代に「筋力に頼るのではなく、フォームで投げる」ことの重要性を説く佐藤監督。小・中学生年代に野球ヒジが増加している傾向を、投球数を制限することで改善を目指す動きが多く見られることにも、「正しいフォームを身につけていなければ、問題の解決にはならない」と、今教室でも正しいフォームを自然と身につけるウオーミングアップのメニューや投ドリルが用いられた。
また、野球未経験者を含む小学1、2年生を対象にした野球教室では、最後に大学生選手とペアになって実戦形式の野球を体験。複雑で難しい野球のルールに戸惑いながらも大学生のアドバイスを受けながら懸命にプレーした子どもたち。試合も白熱の展開となり、盛り上がりを見せた。
「野球はやはり楽しんでやるもの。やらされて努力するような野球は時代に沿わない。夢中は努力に勝る。その原動力が野球の楽しさです。その取っ掛かりとして、昔は近所のお父さんやお兄さんが手打ち野球や三角ベースなどの遊びの中で手取り足取り野球を教えてくれたもの。そんな野球をやるコミュニティーを復活させることが課題だと気づかされた」と佐藤監督。県内の野球人口維持・増加に取り組み、その手法を全国へ発信していく。
新潟医療福祉大硬式野球部
今年で創部5年目。関甲新学生野球連盟1部に所属。2016年春季リーグ2位、新人戦優勝。現在の部員数は158人。OBに笠原祥太郎(17年ドラフト4位で中日に入団)。
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