何が起こるか分からない。見る立場からすれば、それが高校野球の面白さの一つ。甲子園出場を懸けた地方大会が沖縄を皮切りに始まっているが、激戦が予想されるのが長崎大会だ。
今年の春季大会ではベスト8のうち7校を公立勢が占めた。優勝は鹿町工で春夏秋を通じて初めての頂点だった。沖縄で行われた九州大会では、初戦で沖縄尚学を相手に1対6で敗れたが、完投した2年生の讃岐海斗が失点した5、6回以外はすべて三者凡退に抑えて手応えを得た。ここに春は右肩を痛めて戦力になれなかった濱口凌がNHK杯で復活。選手層も整い初の甲子園を目指す。
率いる大樂院弘季監督は語る。「三拍子が高いレベルでそろっている選手が何人もいるわけではない。でも投げるだけ、打つだけ、守るだけ、走るだけはできる選手たちがいます。それをうまく組み合わせることでチームとして形になりました。また、できないことが多いので、サインを極力減らしてできることだけをやるようにしています」
夏の大会直前に行われたNHK杯では創成館、長崎日大、九州文化学園といった私立もベスト8に進出し、混戦に拍車をかけている。どのような結末を見るのか。決勝戦は7月23日の予定。甲子園に出場する1校が決まる。
その春季大会ベスト4には長崎北の名前があった。昔から「長崎5校」と呼ばれる公立進学校の一つで、平日の練習時間は17時前から18時30分過ぎまでと定められている。また、グラウンドは他部と共用。セカンドの後方でラグビー部、ショート後方ではサッカー部が練習しており、内野のダイヤモンドほどのスペースしか使用することはできない。そのような環境でベスト4に進出した。
鹿町工、長崎北の練習風景はベースボール・クリニック7月号に掲載。
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