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2019-05-22

「いつものシーソーゲーム」制したIBM 宿敵LIXILを倒し、パールボウル4強へ

 アメリカンフットボールの「Xリーグ」は5月19日、東日本社会人選手権「パールボウル」トーナメントの1次リーグ戦2試合があり、第1試合では、IBMビッグブルーがLIXILディアーズを破った。IBMは2勝でCブロック1位となり、6月2日の準決勝で、Dブロック1位のノジマ相模原ライズと対戦する。敗れたLIXILは1勝1敗となり、6月1日の東日本交流戦でオール三菱ライオンズと対戦する。

【IBM vs LIXIL】第1クオーター、IBMのWR白根がQB政本からのパスをキャッチし、23ヤードゲイン=2019年5月19日 撮影 小座野容斉

IBMビッグブルー○17-14●LIXILディアーズ(2019年5月19日、富士通スタジアム川崎)

 IBMがシーソーゲームを制した。IBMは第1クオーター5分にK佐藤太希のフィールドゴール(FG)で先制した。しかしその後は詰めの甘さから得点できず、3-0で後半へ折り返した。
LIXILは後半最初のドライブで、RB大野将樹らのランでゴール前に迫ると、QB石井僚介からWR田邊翔一へのTDパスで逆転した。IBMも第4クオーター1分に、QB政本悠紀からWR鈴木隆貴への「早大ホットライン」でTDパスが決まり、再びリードを奪った。
 LIXILは直後のドライブで、RB大野、宮山賢済のランで前進、最後は大野が11ヤードを走り切って、再逆転した。
 しかしIBMは、第4クオーター8分、フォースダウンギャンブルから、政本がTEジョン・スタントンにTDパスを決め再々逆転。そのまま逃げ切った。

【IBM vs LIXIL】力強い突進を見せるLIXILのRB大野。ラン97ヤード1TDと、オフェンスをけん引した=2019年5月19日 撮影 小座野容斉

QB政本、ギャンブルから「確信の」逆転TD

 第4クオーター8分、フォースダウン3ヤードでゴール前12ヤード、IBMオフェンスはギャンブルを選んだ。4点差を考えれば当然の選択。QB政本は3ヤードでファーストダウン更新ではなくTDを狙った。パスが決まることを確信していた。
「2つ前のパスで、レシーバーが空いていて、このプレーが有効だとわかっていた」。
 そのプレーでは、LIXILディフェンスのパスラッシュが漏れて、政本は走ってラッシュを回避、パスは決まってはいなかった。
 ギャンブルの結果は、レシーバーの位置にセットしたTEスタントンがショートポストに走り込んで完璧なTDパスキャッチとなった。

【IBM vs LIXIL】第4クオーター8分、勝負を決めた逆転TDパスをキャッチしたIBMスタントンに抱きつくWR鈴木隆貴=2019年5月19日 撮影 小座野容斉

 一つ前のパスもLIXILのDBにチップされたが「アウトサイドのスクリーンパスで、チップされていなければTDを取れていた」という。
 政本は、土壇場で、レシーバーとコミュニケーションできていることに自信を持っていたと話す。この場合のコミュニケーションは、単なる連絡・伝達ではなく、プレーに対する「意思統一」「思考の一致」という意味だろう。
 政本は、この後、残り1分を切ったところでランでファーストダウンを奪い、LIXILの望みを断ち切っていた。
 勝負所で、冷静な判断とエクスキューションができる政本が、試合を通じてはLIXILのディフェンスに苦しんだ。

【IBM vs LIXIL】IBMのQB政本は、何度もLIXILディフェンスの強いプレッシャーにさらされた=2019年5月19日 撮影 小座野容斉

 「ベースはQBへの3メンラッシュで、残り8人が下がってパスを守っていた。プレスナップリードで、読み切れなかった。レシーバーが空いたとしても、リードとは違っていたので、パスを投げられなかった」という。しかも「3人ラッシュなのに、強かった」と、プレッシャーにもさらされた。
 過去数年間、何度もシーソーゲームを展開してきた両チーム。今秋は上位の「スーパー」と下位の「エリア」に分かれるが、ライバル関係は不変だった。
 前半、IBMはオフェンスが進みながら、フォースダウンギャンブル失敗や、パスインターセプトなどで、たたみかけて得点を重ねる機会を逸した。
 春シーズンは加藤翔平を起用しない方針のLIXILは、先発したルーキーQB石井がまだ機能していないが、試合中盤からアウトサイドゾーンのランが出始めて、試合をコントロールした。
 2試合を戦って、課題が山積のIBM、敗れながら手ごたえを得たLIXILという形になった。

【IBM vs LIXIL】試合後のハドルで、目を見開き、口を真一文字に結んでクラフトHCの話を聞く中谷主将=2019年5月19日 撮影 小座野容斉.jpg

 IBMの次戦の相手はノジマ相模原。春は4年連続で準決勝での対戦となった。ノジマ相模原はQBジミー・ロックレイが好調で、WR伊藤雅恭、RB吉田光輝ら新戦力も育ち、オフェンスの仕上がりはパールボウル参加各チーム中では頭一つ抜けている。IBMはこの春、何を体得し、何を秋につなげるのか。単なる勝敗以上に、大切な一戦となる。【写真/文:小座野容斉】

【IBM vs LIXIL】前半の最後のプレー、LIXILのWR宮本にパスが決まったがインバウンズでタックルされ、タイムアウトが間に合わず、FGをトライできなかった=2019年5月19日 撮影 小座野容斉

【IBM vs LIXIL】ジェットモーションプレーのLIXILのWR田邊をタックルするIBMのDB宮川。キャリアーの進行方向の反対側に頭を入れている=2019年5月19日 撮影 小座野容斉

【IBM vs LIXIL】ファーストダウンを奪うIBMのRB高木=2019年5月19日 撮影 小座野容斉

【IBM vs LIXIL】試合後、応援してくれたキッズチアにご褒美のメダルをかける政本らIBMの選手たち=2019年5月19日 撮影 小座野容斉

【IBM vs LIXIL】フレッシュなパフォーマンスを見せるIBMのチアリーダー=2019年5月19日 撮影 小座野容斉

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