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2019-04-19

富士通の藤田HC勇退、オービックDEケビン・ジャクソン引退   ==Xリーグの一つの時代が終わり、新たな舞台へ==

アメリカンフットボールのXリーグは、2019年のシーズンが始まる。4月20、21日に富士通スタジアム川崎でパールボウルトーナメントの予選リーグが始まる。

 このオフシーズン、富士通フロンティアーズとオービックシーガルズの両チームに大きな動きがあった。富士通は藤田智ヘッドコーチ(HC)の退任、オービックはDEケビン・ジャクソンの引退だ。

 日本選手権・ライスボウル3連覇の富士通は藤田HCが退任し、新たに山本洋・元アシスタントHCが昇格した。
 藤田さんは1967年生まれの52歳。京都大学でQBとして活躍、卒業後は京大のコーチを経てアサヒ飲料チャレンジャーズをHCとして日本一に導いた。いったん京大コーチに戻った後、2005年に富士通のHCとしに招聘され、就任10年目の2014年シーズンにチーム念願のライスボウル優勝を果たした。16~18年シーズンには3連覇を達成した。
 HC在任中の成績は95勝19敗(秋季・ポストシーズン)、日本選手権・日本社会人選手権ともに優勝4回、社会人選手権準優勝5回。他に春季社会人選手権優勝3回。HC退任後はチームのシニアアドバイザーに就任する。
 山本洋・新HCは1975年生まれの44歳。立教高からアメフットを始め、桜美林大卒業後、富士通フロンティアーズに入社し、RBとして活躍した。2006年に選手を引退してコーチに。2014年の初優勝時にはアシスタントHCとして、藤田HCを支えた。2017年から2年間、米カリフォルニア州のサンディエゴ州立大(FBS=NCAA Div.1A)にコーチ留学していた。

2019年1月3日、富士通の田中達也社長(左)、山本正已前社長(右)の間で、感無量の面持ちでライスボウルの優勝トロフィーを見つめる藤田智HC=撮影:小座野容斉

 オービックの「KJ」ことケビン・ジャクソンは、2005年に加入。ハワイ大学時代からOLB・DEとして活躍した能力が1年目から開花、KJはジャパンXボウル最優秀選手(MVP)に選ばれ、チームはライスボウルに優勝した。ジャクソンはこのシーズンから、10年連続でオールXリーグに選出された。これはXリーグ史上唯一人だけ。2013年にはJAPAN X BOWL で2度目のMVPにも輝いた。
 KJ在籍の14シーズンで、チームは5回ライスボウル制覇、2010~13年シーズンは、前人未到の4連覇も達成した。
 Xリーグ14シーズンでの通算成績(秋季・ポストシーズン)は、38QBサック、266.5タックル、37パスカット、6インターセプト。QBサックとパスカットはチーム史上1位で、タックル数は古庄直樹HC(現役15シーズン、267.5タックル)に肉薄する2位だった。
 リーグ史上最強のパスラッシャーであるだけでなく、プレーを読んだパスカットやインターセプトも巧みで、常にビッグプレーを引き起こし、オービック守備の大黒柱として活躍した。
 引退後はディフェンスコーチ兼キッキングコーチとしてチームに残る。

現役最後の試合となった社会人選手権準決勝の富士通戦でオービックが敗れ、盟友のバイロン・ビーティージュニアらとフィールドを去るケビン・ジャクソン=2018年11月25日、撮影 小座野容斉

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 2人は奇しくも同じ2005年にチームに加入し、立場やミッションの違いはあれ、14年間にわたって、チームを変革し、勝利に導き続けた。のみならず、日本のトップリーグとしてXリーグのレベル向上、日本のアメリカンフットボールの進化に大きく貢献した。
 
 藤田さん、KJ。本当にお疲れ様でした。

【小座野容斉】

ライスボウル3連覇を果たし、胴上げされる富士通の藤田智ヘッドコーチ=2019年1月3日、撮影:小座野容斉

社会人準々決勝のノジマ相模原戦でオービックが勝利し、試合後に37歳の誕生日をチームメートから祝福されるケビンジャクソン=2018年11月10日、撮影 小座野容斉

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