米プロフットボールNFLは第4週を終えた。レイダース、ブロンコス、ラムズ、パンサーズが敗れ、全勝は早くもカーディナルス1チームとなった。全敗はジャガーズとライオンズの2チーム。またジェッツ、ジャイアンツ、コルツが今季初勝利を挙げた。
注目のドラフト1巡ルーキーQBでは、ジェッツのザック・ウィルソン、ベアーズのジャスティン・フィールズがNFLで初勝利を挙げた。テキサンズは歴史的大敗を喫した。
既報したサーズデーナイト、サンデーナイト、マンデーナイトゲームを除く、現地日曜日(10月3日)に全米各地で開催された残りの13試合の結果を伝える。
◇カーディナルス37-20ラムズ◆
同地区のライバル対決は3戦全勝同士の戦いとなったが、カーディナルスが上回った。カーディナルスは前半に3タッチダウン(TD)1フィールドゴール(FG)を奪うと、後半はロングドライブを重ねて、ボールコントロールした。QBカイラー・マレイのパスに加え、2年ぶりに1試合100ヤード以上を走ったRBチェイス・エドモンド、ジェームズ・コナー、さらにマレー自身のランも好調で、オフェンスはトータル465ヤードを記録した。タイムオブポゼッションは35分10秒と、ラムズを10分以上上回った。
カーディナルスの開幕4連勝は2012年以来。はここまで4試合すべて30得点以上で、オフェンスは400ヤード以上を記録している。ラムズは前半のドライブの中で2回TDを取り切れず2FGに終わったのが響いた。
◇カウボーイズ36-28パンサーズ◆
カウボーイズのダック・プレスコット、パンサーズのサム・ダーノルド。2人のエースQBの第3Qが明暗を分けた。前半は両チーム2本のTD、パンサーズの最小リードで14-13で折り返した。カウボーイズはプレスコットが第3Q残り10分、WRアマリ・クーパーにTDパスを決めると、ここから3ドライブ連続でTDパスを決めた。対照的に、パンサーズのダーノルドは、第3Qの後半に、ダラスのCBトレボーン・ディグスに2インターセプトを喫した。
プレスコットのパスアテンプトは22回ながら4TDと効率が良かった。カウボーイズは、ランではエースRBエジキール・エリオットが143ヤード、もう一人のRBトニー・ポラードも67ヤード。プレスコットの35ヤードも含め、チームで245ヤードを走り、ここまで3試合で対戦相手のランを135ヤードに抑え込んでNFL1位だったパンサーズのランデイフェンスを粉砕した。
カウボーイズのエースRBエジキール・エリオットは143ヤードを走った=photo by Getty Images ◇チーフス42-30イーグルス◆
共に2連敗チームの対戦は、点の取り合いとなったが、チーフスのオフェンスが機能し、3連敗を阻止した。イーグルスが第1QにFGで先制したが、チーフスはQBパトリック・マホームズが3ドライブ連続でTDパスを決めた。イーグルスも反撃したが、チーフスが21-13で折り返した。
チーフスは後半最初のドライブでマホームズがパスをインターセプトされるが、次のドライブからまた3連続TDをあげ、イーグルスを突き放した。チーフスはこの試合1度もパントを蹴らず、ファーストダウン更新は31回、サードダウンコンバージョンは驚異的な90%という数字を残した。マホームズはパス278ヤードで5TD。対するイーグルスのQBジェイレン・ハーツもパス387ヤード2TDと奮闘したが、チーム全体の決定力の差がスコアに現れた。
アンディ・リードHCは、チーフスで100勝目(レギュラーシーズン93勝、ポストシーズン7勝)。イーグルスでは140勝(レギュラーシーズン130勝、ポストシーズン10勝)しており、2チームで100勝を達成したNFL史上初めてのコーチとなった。
チーフスのアンディ・リード ヘッドコーチは、2チームで100勝を達成したNFL史上初めてのコーチとなった=photo by Getty Images◇ベアーズ24-14ライオンズ◆
ベアーズのルーキーQBジャスティン・フィールズが先発2試合目で、初勝利をつかんだ。デビッド・モントゴメリーが106ヤード2TD、ダミアン・ウィリアムズが55ヤード1TDと、2人のRBが良く走り、フィールズを援護した。さらに、モーションの他用や、簡易なパスルートなどQBフレンドリーなオフェンスを組み立てたのが奏功した。フィールズは先週は9回サックされたが今週は1回だけ。TDパスはなかったが、パス209ヤードの中で、20ヤード以上のパスが5本と才能の片りんを見せた。
ライオンズはファーストダウン更新23回でベアーズを上回ったが、レッドゾーンに5回侵入しながら、TDはわずか1本だけ。特に試合開始から3ドライブ連続で10ヤード以内(8ヤード、5ヤード、3ヤード)に進んだが、ファンブルロスト、4thダウンギャンブル失敗、ファンブルロストで無得点に終わったのが最大の敗因だった。ライオンズは開幕4連敗となった。
ベアーズのルーキーQBフィールズが先発2試合目で、初勝利をつかんだ=photo by Getty Images
◇ジェッツ27-24タイタンズ◆
ジェッツが今季初勝利。新HCのロバート・サラー、そしてドラフト全体2位指名ルーキーのQBザック・ウィルソンもNFLで初白星となった。タイタンズが序盤からペースをつかんで攻めたが、ジェッツディフェンスがデリック・ヘンリーをよく抑え、TDを許さず3ドライブ連続でFGにとどめた。特に3本目はウィルソンが自陣で喫したインターセプトだったが、ディフェンスがよく耐えた。
ウィルソンは第4Qに、2本のTDパスを決めてジェッツが逆転するが、タイタンズも、QBライアン・タネヒルが残り19秒でTDパスを決めて同点に。オーバータイムでは先に攻めたジェッツのKマット・アメンドーラが22ヤードのFGを決めた。一方、タイタンズはKレジー・ブロックが49ヤードのFGを外して、ジェッツが勝利をものにした。
タイタンズは、RBヘンリーが157ヤードを走り、ファーストダウン更新30回、タイムオブポゼッションでもジェッツを10分以上上回る得意の形だったが、タネヒルが7サックされリズムをつかみきれなかった。
新HCのロバート・サラーはNFL初勝利となった=photo by Getty Images ◇レイブンズ23-7ブロンコス◆
開幕3連勝のブロンコスが、立役者だったQBテディ・ブリッジウォーターを試合途中から失った。第2Q残り1分を切ったところで、ブリッジウォーターがパスを狙ったが不成功。その際にインサイドからラッシュしてきた、ルーキーOLBオダフ・オウエイにヒットされ脳震とう状態となった。ブロンコスは後半からQBを、昨年までのスターター、ドリュー・ロックに変えたが後半4回のオフェンスシリーズでファーストダウンわずかに4回と、オフェンスがまったく機能しなかった。
レイブンスは、第2Qに2本のTDで逆転すると、先週のヒーロー、Kジャスティン・タッカーがFGを重ねて危なげなく逃げ切った。レイブンズはこの試合ラン102ヤードで、43試合連続100ヤード超を記録。1970年代のスティーラーズが作ったNFL記録に並んだ。
レイブンズWRマーキス・ブラウンが、QBラマー・ジャクソンからの弾丸のようなパスに飛びついて49ヤードのTD=photo by Getty Images◇パッカーズ27-17スティーラーズ◆
スーパーボウルで対戦したQBの再戦としては、現役では最も古い顔合わせとなるパッカーズのアーロン・ロジャースとスティーラーズのベン・ロスリスバーガー。パッカーズが攻撃の多彩さで上回って、主導権を最後まで渡さなかった。
スティーラーズが先制したが、パッカーズはQBロジャーズのランとパスで2TDを奪い逆転した。スティーラーズが1本、パッカーズが2本FGを決めた後の第3Q、パッカーズはロジャースが通算420本目となるTDパスをWRランドール・コブに決めて17点差と突き放した。スティーラーズは、ショートパス偏重のオフェンスに各チームが対応しており、昨シーズン終盤からプレーオフ1試合も含め10試合で2勝8敗。ロスリスバーガーがサックされる回数も増えて、今季10回目。通算526被サックはブレット・ファーブを超えた。
QBロジャーズが意表を突くQBキープでTD。スティーラーズOLBのワットも届かず=photo by Getty Image
◇ジャイアンツ27-21セインツ◆
ジャイアンツが延長オーバータイムでセインツを破って、今季初勝利を挙げた。オーバータイムの先攻でジャイアンツが10プレーをかけてドライブ、ゴール前6ヤードからRBサクオン・バークリーがエンドゾーンに飛び込んだ。バークリーはこの試合はレシーバーとしての獲得ヤードが多かったが、最後は「本業」で勝負を決めた。ジ
ャイアンツのQBダニエル・ジョーンズはパサーズレーティング108.5だった。レーティング100以上は通算8試合目。1950年以降のジャイアンツで、デビューから3シーズンのQBとしては、最多タイ(イーライ・マニング、ゲイリー・ウッド、フィル・シムズ)となった。
◇ワシントン34-30ファルコンズ◆
ワシントンのQBテイラー・ハイニケは第2週にスターター昇格以来、3試合連続で2TDパス以上。2017年のカーク・カズンズ以来のチーム最長タイ記録。
第3Q、ワシントンのデアンドレ・カーターが挙げた101ヤードリターンTDは、アトランタとしては、2010年第9週以来。アトランタは過去10シーズン、キックまたはパントリターンTDを許さなかったNFL唯一のチームだった。
アトランタのQBマット・ライアンは通算46回目のパス3TD以上をマークし、チーム史上1位の記録を更新した。チームで2位は、QBスティーブ・バートコウスキーの17試合という。
◇シーホークス28-21 49ers◆
49ersはエースQBジミー・ガロポロが負傷退場、その後をドラフト全体3位指名のルーキーQBトレイ・ランスが引き継いだ。ガロポロは1TD、ランスは2TDをマーク、オフェンスはトータル457ヤードを進みながら、234ヤードのシーホークスに敗れた。223ヤード上回りながら敗れたのは、チーム史上3番目に悪い記録となった。
シーホークスのQBラッセル・ウィルソンは、ペイトン・マニング(105勝)と並んで、デビューから10シーズンで100勝以上したNFL史上2人目のQBとなった。
◇ブラウンズ14-7バイキングス◆
ブラウンズがディフェンスで勝ち切った。2試合連続一桁の失点は、1999年にチームを復活させて以後では初めて。ブラウンズのDEマイルス・ギャレットがシーズン最初の4試合で6.0サック以上を達成したのは2019年以来2回目。1982年以降、チームの最初の4試合で5.0以上を記録したブラウンズの選手は他にいない。
バイキングス唯一のTDは、第1QにQBカーク・カズンズが決めたパスTD。カズンズはチーム史上4人目の100TDパサーとなった。
◇ビルズ40-0テキサンズ◆
ビルズが、チーム史上2番目の大差での完封勝ち。3試合スパンで2試合のシャットアウトは1990年以来。スーパーボウル4年連続出場の最初のシーズンだった。テキサンズは、オフェンスがまったく機能せず、先発のルーキーQBデービス・ミルズは、パス87ヤード4インターセプトで、チーム史上ワースト記録を作った。オフェンスのトータルはビルズが450ヤード、テキサンズが109ヤード。341ヤード差だった。
◇コルツ27-17ドルフィンズ◆
コルツが序盤から、着々と加点し、逃げ切った。QBカーソン・ウェンツは、イーグルス時代の2020年第8週以来の先発勝利。先発した試合は7連敗中だった。ドルフィンズはオフェンスに決定力がなく、第4QにようやくQBジャコビー・ブリセットが2TDをパスで決めたが、反撃が遅すぎた。