アメリカンフットボールのXリーグ、「X2 EAST」の茨城セイバーズが、10月9日に、初めての地元ゲームを水戸市ツインフィールドで開催、ハリケーンズを14-10で破った。
2017年までは、プライベートリーグ所属のいわば「草フットボールチーム」だったセイバーズをチーム代表としてけん引し、Xリーグへの加入、そして悲願の地元開催まで導いた近藤秀則さんから手記をいただいた。(写真はすべてX2東日本リーグ提供/撮影:唐松 幸代)
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2021年10月9日、
初の茨城県開催の公式戦が終了しました。
私たち茨城セイバーズにとって悲願の地元開催、2年ぶりの公式戦出場、そしてその試合に逆転で勝利を収めた瞬間です。
試合に勝利し、喜びを爆発させる選手、涙する選手。
それぞれがそれぞれの表現で余韻に浸る中、その様子を見ながら私は共に喜びながらも試合を無事成立出来たことへの安堵感に包まれておりました。
振り返れば昨年、2試合が実現する予定だった地元開催は新型コロナウイルスの蔓延により中止となり、同時に私たちのチームも活動辞退を余儀なくされました。
活動を再開した今年も春に2試合が中止、そして開幕戦となるはずだった9月4日も緊急事態宣言で使用不可となり、思うように進まない現状に苛立ちを覚えた日もありました。
そんな中で私に力をくれたのは選手やスタッフたちのひたむきな姿です。
昨年の活動辞退を機に20名の選手が現役引退を決めたことで再出発の今年は選手15名・スタッフ1名からのスタートとなりました。
この危機的な状況にも関わらず信じて残ってくれた者、先が全く見えない状況にも関わらずそれを理解して加入してくれた者、引退を翻意して戻って来てくれた者。
選手・スタッフ・事務局を含めて60名に手が届く全員の力添えがあってセイバーズは再び歩みを始めることが出来ました。
Xリーグへの加盟という遥かな憧れを胸にしまい草チームとしてスタートさせた2012年、
地域への認知度を上げるために茨城県に移住し全くの素人ながら居酒屋を始めた2014年、
行政との連携と地域貢献活動を学ぶためにUFL(アーバンフットボールリーグ/通称:江戸川リーグ)へと移籍をした2016年、
遥かな憧れだったXリーグの門を叩きX3からのチャレンジを始めた2018年、
自力でX2残留を果たした2019年、
新型コロナウイルスの蔓延に伴い活動自粛を余儀なくされた2020年、
そして、再出発を初の茨城県開催で迎え勝利することが出来た今回、
たくさん回り道をしましたが、
地味で地道にコツコツ進んで来た成果が少しずつ出始めている気がしています。
華々しい実績も目を見張る彩りもここまでの道のりには全くありません。
それでも、私たちにもこの先の具体的な目標があります。
首都圏チームの皆さまと同じ歩み方をすれば地方で活動を行う私たちは必ず遅れを取ります。
私たちがこの場所で草チーム時代から地域に寄り添い培って来た経験が今後は最大の武器になると信じています。
今回、
初めての茨城県開催ということで施設の皆さま及び、日本社会人アメリカンフットボール協会の皆さまには多大なご尽力を賜りました。
緊急事態宣言の解除が開催の条件となっていたことで本当にギリギリのスケジュールの中、無観客での開催としてご許可を頂きました。
そして何より、
この日の対戦相手であるハリケーンズ様には遠方までご足労を賜り、また試合に先立ちましてハリケーンズ様の方針として抗原検査をご実施頂き試合へ出場して頂きました。
皆さまのお力添えのおかげで無事に成立させることが出来ました。
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相手あっての競技、
協会あっての公式戦、
地元の理解あってのホーム開催、
そして、
仲間あってのアメリカンフットボール
当たり前のことなんてひとつもありません。
"自他共栄"
次の一歩にもこの気持ちを忘れずに踏み出したい。
今回、
私自身は地元開催の責任者だったため試合への出場は叶いませんでした。
現役へ拘る理由がまた一つ出来ました。
茨城セイバーズ
チーム代表 近藤秀則
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近藤秀則 (こんどう ひでのり)
1979年8月6日生まれ、福島県いわき市出身の42歳。高校時代までサッカーをしていたがコンタクトスポーツへの憧れがとても強く、大学からアメフトを始めた。しかし、大きな負傷が重なって、十分な選手活動ができなかった。その後、フットボールへの思い断ちがたく、プレーを続けていた。
プライベートチームだったセイバーズを引き継いだ後、東日本大震災から1年の2012年3月11日に、チームを再スタートさせた。2018年には、目標だったXリーグ加盟を果たし、3勝1敗で2019年からX2に昇格させていた。
茨城県鉾田市にも練習拠点を置き、今年9月には日本アメリカンフットボール協会(JAFA、国吉誠会長)が、鉾田市と結んだ包括的な提携協定の仲介も果たした。
ポジションはLBで、178cm/82kg。経営する"炭火焼鶏 とり三"(すみびやきとり とりぞう)の人気メニューはレバー。