米プロフットボール・NFLは、現地10月24日(日本時間25日)、全米各地で第7週の12試合が開催された。32チーム中で唯一の勝ちっ放し、カーディナルスはテキサンズに大勝して無傷の開幕7連勝を飾った。一方、唯一の全敗、ライオンズはラムズに敗れて開幕7連敗となった。
NFCでは、パスの達人が率いるバッカニアーズ、パッカーズ、ラムズが6勝1敗と好調。AFCは、レイブンズが敗れて1敗チームもなくなった。2年連続のAFC王者チーフスは、わずか3得点で大敗した。
今季は接戦が多かったNFLだが、24日はワンポゼッション差(8点以下)が1試合、逆に20点以上の差が6試合と、大差の試合が多かった。
ビルズ、ジャガーズ、ステイ―ラーズ、チャージャーズ、バイキングス、カウボーイズはバイウィークで試合が無かった。(写真はすべてGetty Images)
チーフスわずか3得点 マホームズ時代では最少◇タイタンズ27-チーフス3◆タイタンズが完勝した。第1Qに、RB「キング」デリック・ヘンリーが、意表を突くスペシャルプレーでTDパスを決め先制すると、前半だけで27点を奪った。
チーフスはオフェンスが3回のターンオーバー(1INT、2ファンブルロスト)で、ここまで7試合で17ターンオーバー。2018年からの3年間は、シーズン16ゲームで18ターンオーバーが最も多い数字だった。3点は、QBパトリック・マホームズが2017年最終戦で先発QBとなって以来の最少得点となった。
アンディ・リードHCは、タイタンズを苦手としており、イーグルス時代から通算して1勝8敗となった。2年連続のスーパーボウル出場チームが、今季はまだ連勝がない。
◇ペイトリオッツ54-ジェッツ13◆ペイトリオッツがジェッツ戦12連勝を飾った。オフェンスがトータル551ヤード、ファーストダウン32回、54得点で大勝した。ルーキーQBのマック・ジョーンズは、パス307ヤード2TD、ランでもRBダミアン・ハリスが14キャリー106ヤード2TD。スペシャルプレーも含め、すべてがかみ合った。ビル・ベリチックHC就任以降、ペイトリオッツが30点以上得点した試合は、133勝8敗という。
ジェッツはルーキーQBザック・ウィルソンが第2Qに右ひざを負傷して退場。NFLでゲームに出るのが初めてという控えQBマイク・ホワイトではどうしようもなかった。ウィルソンの負傷の詳細は不明だが、一部の報道では、靭帯を痛めている可能性があるという。ジェッツは41試合連続でQBサックを許している。
◇ベンガルズ41-レイブンズ17◆ベンガルズが地区内ライバルに大勝した。前半はイーブンの戦い。第3Qに一時リードを奪われたが、逆転した。エースQBジョー・バロウからルーキーWRジャマ―・チェイスに「LSUホットライン」で82ヤードのTDパスが決まるなど、大量点を奪った。バロウはパス416ヤード、チェイスはパスレシーブ201ヤードで、共にキャリアベスト。24点差は、レイブンズ相手の勝利の中では最大差となった。
ディフェンスが看板のレイブンズだが、今季7試合で4回目のトータル400ヤード以上喪失となった。昨シーズンは16試合で3回だった。
◇レイダース33-イーグルス22◆オフェンスが好調のレイダースが快勝。後継HCのリッチ・ビサッチャは2連勝となった。QBデレク・カーはパス323ヤード2TD1INTだったが、この試合のパス成功率は91%を超えた。開幕7試合で5勝2敗は、12勝4敗だった2016年以来の好成績。5勝はすべて26得点以上している。
イーグルスはディフェンスが課題。昨シーズンから21試合中、22失点以上が15試合で1勝14敗となった。QBハーツは、パス236ヤード2TD、ラン61ヤードとスタッツ上は健闘しているが、ファンブルロストもあり、不安定さは否めない。
「GOAT」ブレイディは得意のルーキー叩き◇カーディナルス31-テキサンズ5◆カーディナルスは1974年以来、チーム史上2度目の開幕7連勝。うち6ゲームで30得点以上と、オフェンスが好調だ。エースQBカイラー・マレイがパス261ヤード3TD1INT、ランオフェンスではRBチェイス・エドモンズが81ヤード、ジェームズ・コナーが64ヤードをゲインした。トレードでイーグルスから獲得したTEザック・アーツも3回のパスレシーブで66ヤード1TDとさっそく活躍した。
テキサンズはオフェンスが低調で、ファーストダウン更新は8回と、カーディナルスの1/3、第2Q開始5秒で決めたFGの後、試合の3/4で無得点だった。ルーキーQBデービス・ミルズは、INTこそなかったが、第2Qにサックされファンブルロストした。
◇パッカーズ24-ワシントン10◆パッカーズが第2週から6連勝。この間連続して24点以上を記録している。エースQBアーロン・ロジャースがパス274ヤード、3TDで成功率77%。1試合パス3TD以上を記録したのは77回目、チーム史上2番目がブレット・ファーブの63回という。
ワシントンは、2020年以降、地区外対戦で2勝14敗と大きく負け越している。地区内のNFC東では5勝2敗だけにロン・リベラHCの対策が問われている。
◇ラムズ28-ライオンズ19◆ラムズのQBマシュー・スタフォードとライオンズQBジャレッド・ゴフ。「ブロックバスター」と騒がれた、史上初、全体1位指名選手同士のトレードの当事者が対戦した。ライオンズが序盤で10点をリードしたが、ラムズが第2Qに逆転。第4Qにも追加点を奪って試合を決めた。
パス成績は、スタフォードが334ヤード3TD、ゴフは268ヤード1TD2INTと、スタフォードが上回った。
開幕7連敗のライオンズは2019年以降、ゲーム中に10点以上リードした試合が4勝9敗1引き分けとNFLで最悪。逆に、ラムズは2017年以降、前半終了時にリードしていた試合は40勝0敗という。
◇バッカニアーズ38-ベアーズ3◆ベアーズは22歳7カ月のルーキーQBジャスティン・フィールズ。バッカニアーズは44歳2カ月、NFL22年目の「GOAT」QBトム・ブレイディ。2人の対戦は、ブレイディの圧勝で終わった。バッカニアーズが第2Q終了時までに35得点と一方的にリードして試合を決めた。ブレイディは前半だけで4TDパス、今季21本目、通算では602本目。NFL史上初めてパス600TD以上を達成したQBとなった。1試合4TDパス以上はドリュー・ブリーズのNFL最多記録(37試合)にならんだ。
QBフィールズは3INT、2ファンブルロストと最悪のパフォーマンスだった。ルーキーQBは2014年以降、対トム・ブレイディで0勝10敗。最後にブレイディを破ったルーキーQBは2013年、ジェッツのジーノ・スミス(現シーホークス)という。
カレッジフットボールでは全米で最も有名なライバル関係にあるミシガン大とオハイオ州立大だが、両校出身のQBがNFLで先発として対戦するのは、意外にも少なく、1950年以降でこれが5回目だという。
ルーキーTEピッツが「怪物の証明」
◇ファルコンズ30-ドルフィンズ28◆ファルコンズが、第4Qのラストプレーで、Kクー・ヨンフェのFGで「逆転サヨナラ勝ち」した。第2Qに逆転したファルコンズは、着々と得点を重ね、試合の主導権を握ったが、ドルフィンズのQBトゥア・タゴバイロアが第3Qから3本のTDパスを重ねて、再逆転した。しかし、ファルコンズは残り2分27秒からのオフェンスで、QBマット・ライアンがルーキーTEカイル・ピッツに23ヤードと28ヤードのパスを決めて前進、FGに結びつけた。
ピッツはこの試合で163ヤードをレシーブし、1970年以降のNFLのルーキーTEでは2番目の記録となった。ファルコンズは3勝3敗で勝率5割に戻した。
◇コルツ30-49ers18◆
雨中のサンデーナイトゲームでコルツが勝ち切った。序盤、49ERSにゲームを支配され、9点のリードを奪われたが、QBカーソン・ウェンツがパスとランで1TDずつを奪って逆転。49ERSが、QBジミー・ガロポロからWRディーボ・サミュエルへのTDパスで追い上げたが、コルツは残り3分を切ったところで、ウェンツがWRマイケル・ピットマンにTDパス、勝利を決定的にした。
QBウェンツのパフォーマンスは、目を見張るほどではなかったが、悪天候の中で、パスでもランでも勝負所できっちり決めた。4試合連続でTDパス2本、INTは0となったが、これはNFLの現役QBでは最長で、パトリック・マホームズとアーロン・ロジャースが、それぞれ、2020年第1週から第4週にかけて記録して以来という。
◇ジャイアンツ25-パンサーズ3◆
ジャイアンツが快勝した。試合中盤までは、パンサーズのディフェンスに苦しんだが、第3Q終盤にQBダニエル・ジョーンズがTDパスを決めると、そこから4ドライブ連続で得点し、パンサーズを突き放した。
開幕3連勝の後4連敗のパンサーズは、オフェンスが低調。エースQBのサム・ダーノルドはこの4試合で7本目のINTを喫し、途中交代となったが、替わったQBのP.J.ウォーカーもパス3/14で33ヤードに終わった。ランオフェンスもルーキーのRBチューバー・ハバードでは力不足は否めず。62プレイでトータル173ヤード、ファーストダウンは11回で3得点では、戦いようがない。。