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2021-11-26

【ボクシング】松永宏信が元王者・矢田良太を6回TKO。日本王座返上で海外ファイトへ

矢田の頭部に左を叩き込む松永

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 26日、東京・後楽園ホールで行われた70.4kg契約8回戦は、日本スーパーウェルター級王者・松永宏信(34歳=横浜光)が、元日本ウェルター級王者で現同級13位の矢田良太(32歳=グリーンツダ)を立ち上がりから一方的に攻めて6回2分49秒TKO。試合後、保持する日本王座の返上と、メキシコなど海外での戦いを求めていくことを宣言した。

写真_小河原友信

 初回、右グローブをクイックに上下させて自らのリズムを作り、そのテンポに矢田を誘い込んだ松永。サウスポースタイルから左ストレートを呼び水に、矢田の右リターンを打たせてこれを外し、右フックを合わせるタイミングを早々につかんだ。

「矢田選手を絶対に前に出させない」(石井一太郎会長)ことを徹底し、じりじりと距離を縮めてはロープを背負わせ、右フックで左ガードの外を叩いて意識をずらし、左ボディブローを突き刺すなど、やりたいことをほぼ実現していく。元来サウスポーが不得手の矢田は、どうしても後手に回り、右強打を返すのみの展開に追い込まれる。これも冒頭に挙げたとおり、打たされている状態だったから、厳しい展開を抜け出せなかった。

松永の連打が続き、レフェリーはようやくストップ
松永の連打が続き、レフェリーはようやくストップ

 初回、3回と右フックを引っかけて矢田をキャンバスに倒し、2回には左ストレートをヒットしてロープから上体をはみ出させた松永だが、レフェリーはいずれもプッシングと判断したのか、ノックダウンと取らなかった。これで流れが変わってもおかしくないものだが、「松永選手は過去最強の相手だった」と矢田が言うとおり、両者の差は明らかだった。

 前進を止めるブローがない矢田に、難なく距離を詰める松永。距離が短かければ、矢田の右強打も生きない。「おでこばかり打ってしまって苦労した」と松永は言ったが、それでも矢田の被弾の多さは誰の目にも明らか。ロープからロープに詰めながら、何ラウンドも、長時間にわたって連打する状態が続き、レフェリーはようやく6回に矢田を救ったが、遅すぎるストップに場内からは不満の声が多く立ち昇った。

 8月にメキシコでノンタイトル戦を行った(初回TKO勝ち)松永には、「来年の春にまたメキシコでWBC傘下のタイトルマッチをすることが内定している」と石井会長。日本王座はすでに3度防衛し、選手層も薄いことから返上し、今後は海外での戦いを中心に活動していく。21戦20勝(13KO)1敗。

松永と石井会長へ真っ先に感謝を述べた矢田。1日10時間以上の練習を積んで日本王座を極めた努力の人だ。“好漢”に幸あれ!
松永と石井会長へ真っ先に感謝を述べた矢田。1日10時間以上の練習を積んで日本王座を極めた努力の人だ。“好漢”に幸あれ!

 一方、この試合を「ラストファイト」と公言していた矢田は、「最後に最強の相手と試合をできてよかった」と、松永、石井会長、そしてこれまで応援してくれていたファンへの感謝を述べ、「ボクシング、最高!」と決め台詞を叫んでリングを後にした。28戦20勝(17KO)8敗。

文_本間 暁

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