アメリカンフットボールの日本一をかけて、来年1月3日に東京ドームで行われる第75回日本選手権・ライスボウルの記者発表会が、12月13日、東京都内で開かれた。今季から対戦のレギュレーションが変わり、学生代表の出場がなくなったため、国内アメフトのトップリーグ、Xリーグの最上位「X1スーパー」を勝ち上がったパナソニックインパルスと富士通フロンティアーズの2チームの対戦となった。
パナソニックからは荒木延祥監督とOLの小西俊樹主将が、富士通からは山本洋ヘッドコーチ(HC)とQBの高木翼副将が出席した。今秋のX1スーパーのリーグ戦ではパナソニックが7戦全勝で1位、富士通が6勝1敗で2位。上位4チームによる12日の準決勝では、パナソニックはIBMビッグブルーを38-31で、富士通はオービックシーガルズを17-10で破って勝ち上がってきた。いずれも紙一重の戦いだった。
パナソニックはライスボウルとしては2016年1月以来6年ぶり8回目の出場で5回目の日本一を目指す。富士通は2年ぶり6回目の出場、6回目の日本一を目指す。両チームは日本社会人選手権「ジャパンXボウル」では3回対戦しパナソニックに2勝1敗。前回は2019年12月に対戦し、富士通が28 - 26で勝った。今季のリーグ戦では、第5節(11月13日)で対戦し、26-20でパナソニックが勝利している。
会見ではパナソニックの荒木監督は、「フィジカルにプレーをすること。(審判の)笛が鳴るまで相手に対してフィニッシュし続けるということにすごくこだわってやってきた。それが富士通さんを上回っているかどうかはわからないけれど、1月3日の試合中に、そこで上回ることができなければ、勝ち目はない、引き続き、その点にこだわってやっていきたい」と述べた。
小西主将は「荒木監督の言われる通り、スタート、フィニッシュに注力してプレーするということ。加えて、試合中に何が起ころうと次の1プレーにすべてをささげるということでやってきている。フットボールだけではなく、1社会人、1人の人間として、男として、どういう人間になるのかということにこだわってやってきた。フットボールと仕事を両立して、1段階違うというところを見せられるように頑張りたい」と決意を語った。
富士通の山本HCは「(今の富士通は)ベテランから若手まで幅広く選手が在籍しているチーム。4連覇した時代の選手が引退したりしたこともあったが、今季はベテランと若手がしっかり融合ができている。チームが一丸となって戦う形になりつつある。総合力で戦えるようになっているのが我々の強み」と話した。
高木副将は「昨年オービックに、決勝で敗れたところから、今季のチームが始まった。RBの(トラショーン・)ニクソンが考えた「all or nothing=オール オア ナッシング」というスローガンの下に1戦必勝で戦ってきた。このスローガンは決勝に来た時に改めて意味が強くなった。負けてしまえば今季はナッシング、なんの意味も持たなかったということになる。1月3日に向けて1日1日どれだけ全員が意識高く取り組めるかだと思っている」と意気込みを語った。
大会概要 今大会の正式名称はアメリカンフットボール日本選手権「プルデンシャル生命杯 第75回ライスボウル」。来年1月3日15時、東京ドームでキックオフとなる。試合についてはXリーグのレギュレーションを基にするため、12分クオーターで行われる。昨年も12分クオーターで開催されたが、新型コロナウイルス感染症拡大を理由としており、JAFAは「今大会に限り1Q=12分計時で実施することを決定しました」としており、この措置が限定的なものとしていた。
ハーフタイムは20分。第4クオーター終了時に同点の場合は、タイブレークで延長戦を行う。
最大収容可能人数に対し収容率100%にて開催する。日本アメリカンフットボール協会(JAFA)は政府の方針に則り感染防止安全計画を策定し、開催自治体に申請して承認が得られたため。チケットは、一部を12月8日から先行販売し、一般販売は12月13日から開始した。「Xリーグチケット(https://xleague.tstar.jp/)」のみの扱いとなっている。パナソニックインパルスが1塁側、富士通フロンティアーズが3塁側。
バルコニー指定席 前売:6000円、当日6700円
A指定席 前売:4500円、当日5200円
B指定席 前売:3500円、当日4200円
C指定席 前売:3000円、当日3700円
ハーフタイムショーはXリーグチアリーダーズによるスペシャルショーを予定している。
ライスボウルとは ライスボウルは1948年に、関東大学選抜と関西大学選抜が戦うオールスターゲームとして始まった。1984年の第37回からは、学生代表(東西大学王座決定戦だった甲子園ボウルの勝者)と社会人代表(当初は日本実業団リーグの優勝チーム)が対戦する、日本選手権として開催されるようになった。日本選手権としての初回は、京都大学ギャングスターズ がレナウンローバーズを29-28で破って日本一となった。現在の日本社会人協会・深堀理一郎理事長は、京大の選手としてこの試合に出場していた。
通算成績は社会人代表26勝、学生代表12勝。2010年以降は社会人が12連勝していた。社会人のXリーグで、米国のカレッジフットボールで実績を残した米国人選手を起用するのが普通となり、体力的にも技術的にもプレー水準に差ができて、学生チームが対抗するのは困難となっていた。JAFAは2020年にライスボウルの開催方法を検討するワーキンググループを設置、その結論を受けて今年1月30日に臨時理事会を開いて、学生代表は今後参加せず、Xリーグの王座決定戦をライスボウルとすることを決めた。