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2021-12-15

【ボクシング】止まらない連打! 35歳・麻生興一が衝撃の王座奪取

麻生(右)の連打に内藤は防戦が続いた

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14日、東京・後楽園ホールで行われた東洋太平洋スーパーライト級タイトルマッチ12回戦は、同級11位の挑戦者・麻生興一(35歳=三迫)が、チャンピオン内藤律樹(30歳=E&Jカシアス)に9回2分50秒TKO勝ちした。麻生は2017年に日本同級王座を失って以来、2度目の王座獲得。内藤は5度目の防衛に失敗した。

 内藤の体調不良による延期もあって、両者とも1年以上のブランクを経て迎えた試合。本調子を欠いたのは、王者・内藤だった。初回こそサウスポースタイルから右を突いて回り込んでいたが、2回からはロープを背負いっ放し。歩くように前進して体を密着させ、しつこくショート連打を繰り出す麻生に、内藤はカウンターで対抗するが、自分の距離を作れない。

「KOしか考えていなかった」という麻生は、回を追うごとに加速していく。内藤も間隙を突いてパンチを返すが、麻生はひるむことなく攻撃を持続。強弱をつけた左右のボディブローで内藤にダメージを植え付ける。バッティングも多発し、5回には麻生が眉間、6回には内藤が右目上と左目上をカットして、ともに流血に見舞われた。

 負傷判定の可能性も出てきた7回。麻生の猛攻で動きの止まった内藤を見て、ついにレフェリーが割って入る。試合終了と思った麻生はキャンバスに転がって喜ぶが、これはスタンディングカウント。再開後、攻め込んだところに内藤の左がさく裂し、今度は麻生がよろめく。死闘の様相となったが、麻生の勢いは止まらず、9回、再びラッシュを敢行。乱打され、無抵抗となった内藤に、レフェリーはこれ以上の続行を許さなかった。

「僕をずっと信じてくれた椎野君のおかげです」と、同い年の椎野大輝トレーナーに感謝した麻生。4年前に日本王座を失ったのは今日と同じ12月14日で、その翌日に息子が誕生したという。「息子にもう1回、いい話を届けたい、という思いがモチベーションになった」。そう明かした麻生は、腰のベルトを見つめながら「良かったです……」と、しみじみ喜びにひたった。35戦25勝(16KO)9敗1分。内藤は26戦23勝(8KO)3敗。5年前、現・世界王者の尾川堅一(帝拳)に敗れて以来の黒星を喫し、4年近く守った王座を手放した。

文/藤木邦昭 写真/ワンダン・ダワー

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