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2022-07-02

【アメフト】新たな人材発掘へ 他スポーツの高校3年生対象に測定会

会見する、JAFAの深堀理事(左)と森理事=撮影:小座野容斉

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 日本のアメリカンフットボール界が、今年から新たな人材発掘に乗り出す。今夏、東京、大阪など6地区で、高校でひとまず競技生活を終えた他のスポーツ選手の運動能力測定会を開く。日本アメリカンフットボール協会(JAFA)が、7月1日に東京都内で開いた会見で発表した。

 日本国内では、マイナーで、他競技に比べ知名度や競技人口で著しく劣るアメフトに、新たな才能を導入する枠組みを作って活性化するのが目的。同時に、将来はNFLやCFLなどの北米プロリーグにも挑戦できる人材育成にも取り組むことを明らかにした。


 測定会を主催するのはJAFAで、クロスオーバーアスリート測定会「もう一つの甲子園」と名付けた。単純に、アメフトへの競技転向を即すのではなく、多種類のスポーツに取り組むことで、多様性を育む社会創りへの貢献を目的とする。

 対象者はアメフト以外の競技をしている高校3年生。
  ・40ヤード走/20ヤードシャトル/3コーンドリル
  ・垂直跳び/立ち幅跳び
  ・身長、体重、ウイングスパン
などを測定する。またアメフトの体験会も合わせて実施し、アメフトボールの遠投やキャッチ、キック、スタイルをしてのアメフトの動きなども体験してもらうという。


 実施日程と会場は次の通り。

・東海地区:7月31日(日)15:00~  愛知学院大学 日進キャンパス

・関東地区:8月3日(水)11:00~  アミノバイタルフィールド(東京都調布市)

・関西地区:8月11日(木)10:00~  エキスポフラッシュフィールド(大阪府吹田市)

・九州地区:8月22日(月)時間未定  グローバルアリーナ(福岡県宗像市)

・中四国地区:8月23日(火)9:00~  広島市広域公園 第二球技場

・北陸地区:9月19日(月)14:00~  金沢市営球技場

 7地区すべて、事前に申込が必要で、申込期限は開催日の1週間前となる。測定内容の詳細や、申込ページはJAFAのサイト内に掲載されている。
https://americanfootball.jp/archives/7737

測定データは原則非公開となるが、測定会は、複数の大学関係者が見に来る予定という。将来的には、大学進学に役立てていく構想もある。

※九州地区の日程を追加しました。

アスリートに、大学でスポーツを続ける選択肢を

 会見に出席した、日本協会の深堀理一郎理事(強化育成担当、日本社会人協会理事長)は、「アメフトは、その競技の特性上 、『後期の専門化』スポーツに区分される。実際、日本では、アメフトを大学から始めた選手が多く存在する」と指摘した。
 一般的にアメフトは体格が大きい人のスポーツと思われがちだが、体格は関係なく、自分の個性を活かすことができるポジションが数多くある。高校生にとって自分の個性を活かすことができるスポーツに巡り会える機会になることを目指していくという。
 また、専門家の助言に基づいて、競技としての長期育成プログラムを策定していくという。

 同席した日本協会の森清之常務理事(強化育成委員長、東大ウォリアーズヘッドコーチ)は、「野球やラグビー、バスケットボールなど他のスポーツでは、高校から大学へ進学した際に、チーム数が大きく減って競技レベルが上がり、競技を続けるのが困難になる」というデータを紹介。また、アメフトの競技特性上、部活動をする高校を増やすのが困難な状況で、競技人口は大学が一番多いことにも言及した。

 そして、他競技の優秀なアスリートであっても、大学ではその競技を継続できない学生に、他の選択肢としてアメフトを示すという狙いを語った。

 森理事によると、日本協会として、高野連(日本高等学校野球連盟)には、あいさつに行って、趣旨を説明して理解は得たという。しかし、「少子化でどのスポーツも競技人口の確保に頭を悩ませている状況。各競技団体にそういう告知のお願いをするのは難しい部分がある」という。

 「決して、アメフトが他競技の選手を引き抜くという趣旨ではないので、そこを理解してもらうと同時に、メディアの皆さんの力を借りて、この測定会を周知できればと願っている」と話した。

 深堀理事、森理事は共に京都大学ギャングスターズの元選手で、京大の日本一に貢献した。高校までは別のスポーツをプレーしていた。

【小座野容斉】

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