アメリカンフットボールの現役大学生選手によるフラッグフットボールの大学対抗競技大会「KCFA フラッグボウル 2022」(主催・関東学生アメリカンフットボール連盟)が、7月3日に東京・調布のアミノバイタルフィールドで開催された。9大学が参加した男子は、早稲田大学が、順位決定リーグで前年王者の慶応義塾大学、明治大学に連勝して初優勝した。慶大が明大を破り、2位。初参加の明大は3位となった。早大はパスオフェンスが冴え、4試合で186点を奪った。
2回目となった今大会は、初めて女子の部も開催され、65人が参加し、試合形式でフラッグフットボールを体験した。
▽順位決定リーグ
(1~3 位) 早大 51-20 慶大、早大 32-27 明大、慶大33-21 明大
(4~6 位) 法政大学 42-12 一橋大学、法大 40-30 東京大学、一橋大 42-14 東大
(7~9 位) 立教大学 48-14 神奈川大学、明治学院大学 26-18 神奈川大、立大 37-26 明学大
▽最終順位 1位早大、2位慶大、3位明大、4位法大、5位一橋大、6位東大、7位立大、8位明学大、9神奈川大
大型パサー八木、覚醒のきっかけになるか 早大が爆発的なパスオフェンスで、TOP8のライバル慶大と明大を撃破して、初優勝を飾った。立役者はQB八木義仁。冷静にパスラッシュを見極めて、クイックリリースで次々にパスを成功させた。順位決定戦の慶大戦では8TDパス、明大戦でも5TDパスを決めた。2試合でインターセプトは1本もなかった。
「短いパスをポンポンと決めて、オフェンス全体のリズムが良かった」のが、この日の結果につながったと八木は振り返った。フラッグフットボールではディフェンスのパスラッシャーは1人。「ラッシャーはスクリーメージから7ヤード。QBは5ヤード後方なので、12ヤード。その距離を意識して、ラッシュが届く前に、パスを投げるように心がけて、それができた」という。
早大は、高岡勝監督の方針で、QB以外は、アメフトと攻守を入れ替えて選手起用した。八木は、オフェンスのプレーを全部自分でコールしたが、ディフェンスの選手がレシーバーとなったこともあり、「みな、長いパスをコールしてくれと求めた」というが、練習時から、早いタイミングのパスを重ねてオフェンスを作ることを決めていたという。
早大2年の八木は、フラッグは中3までプレーし、早大高等学院に入学後はアメフトに移行した。ポジションは一貫してQB。5年ぶりのフラッグで好成績を残したが、アメフトに繋げる学びがあるとすれば「無理をせずに、手前から見ていくこと。パスのテンポの良さを出していくこと」という。
「フラッグは人数が少なくてパスのカバレッジを見やすい。アメフトでは、タイミングがシビア。DBがどこを向いているか、見落としがちになる。今日の感覚で、ラッシュが届く前に、LBやDBの動きを見定められれば」という。
この日は、ノールックのパスを度々決めたが「LBの目線を見て動きを読んだので、意識してノールックを増やしていた」が、「アメフトでは、ライン戦もあるので、そこまで見切る余裕がないのが課題」だ。
アメフトでは、春のオープン戦は数試合に控えQBとして出場した。ジュニアバーシティー戦ではショート、ミドルのパスを決めて「それなりに手ごたえはあった」が、6月19日の日大戦では負傷のため、わずかな出場機会にとどまった。
「どうしても出場機会が少ないので、1プレーでロングゲインを決めようという意識になりがちで、タイミングを逃してから無理に投げてしまったりする」と、自分を分析する。
182センチ、84キロと大型で、40ヤードは4秒台と脚力もある。八木が、早大学院時代からの先輩QB國元孝凱を脅かす存在になれば、早大の戦力に厚みが増す。
八木の父・研作さんは、2009年から早大のOLコーチを務め、今季から助監督。この日は、フラッグ専門の吉田孝太郎コーチに指揮を委ね、高岡監督と二人で試合を見守った。高岡監督は笑みを浮かべながらも「フラッグはフラッグ。今日の結果が、直ぐに何かになるわけではないけれど、気付きになることがあれば」と話した。
【男子】
▽予選リーグ A ブロック 早大 45-12 神奈川大、法大 62-0 神奈川大、早大58-14 法大 ( 1位早大、 2位法大、3神奈川大)
▽同 B ブロック 一橋大学 33-32 立教大学、慶應義塾大学 27-20 立大、慶大37-12 一橋大(1位慶大、2位一橋大、 3位立大)
▽同 C ブロック 明治大学 37-12 東京大学、明大 48-13 明治学院大学、東大 33-31 明学大 (1位明大、 2位東大、3位明学大)
今回、初めて実施された女子は5大学が参加した。慶大と成城大は女子タッチフットボールチームの選手。早大、立大、神奈川大は、アメフト部の女子スタッフ。個人参加の1人を合わせて65人が参加した。
富士通の女子フラッグチーム、マロンティアーズの選手が補助に入って指導、ゲーム形式でフラッグフットボールを体験した。
慶應義塾大学(女子タッチフットボールチーム) 8人
成城大学(女子タッチフットボールチーム )25人
早稲田大学 女子スタッフ 15人
立教大学 女子スタッフ9人
神奈川大学 女子スタッフ 7人
個人 1人