米プロフットボール、NFLは、現地9月26日、オールスターゲームの「プロボウル」を、ヘルメットやプロテクターを装着して行うアメリカンフットボールのゲームから、防具なしでコンタクトがないフラッグフットボールへの変更を主とする、全面的な改革案を発表した。今シーズン末の2023年の大会(ネバダ州ラスベガス)から実施するという。(写真はすべてGetty Images)
プロボウルは、アメフトにつきものの負傷のリスクを避けるために、いろいろな戦術上の制限が生じており、勝敗への興味も薄まりがちだった。試合形式や、開催の是非も含めて、長い間、常に議論されてきた。
これまでも、日程をスーパーボウルの翌週ではなく前週に移したり、AFC対NFCの両カンファレンスの対抗戦ではなく、引退した有名選手が率いる2チームの対戦とするなど、様々な工夫を凝らしてきた。
しかし、2020年シーズン(2021年1月開催予定)のプロボウルは、新型コロナウィルス感染症のために中止。今年2月に開催された、2021年シーズンの試合は、負傷を恐れるために、NFLの公式戦とは比較にならないほどソフトでコンタクトプレーの少ないものになっていた。
「プロが選ぶプロ」として大きな名誉
プロフットボールのオールスター戦は1938年に始まった。当初はリーグチャンピオンとオールスターチームが戦う形式だった。第2次世界大戦のため、1943年シーズンから行われなくなったが、1949年シーズンから二つのカンファレンスを代表して選ばれた選手が対戦するオールスター戦として復活した。
試合そのものは、大味で面白くないとされてきたプロボウルだが、野球のMLBなどと違い、選手とコーチによる投票で、出場選手「プロボウラー」を決定してきたために、「プロが選ぶプロ」として大きな名誉となっており、AP通信社が選出するオールプロと並んで、選手評価の基準の一つとなっている。1990年代の半ばから、従来の選手・コーチ投票だけでなく、ファン投票も加味する形に変わっている。
フラッグフットボールとNFL
NFLは、フラッグフットボールについて、若年層への普及、安全性、国際性の視点から、戦略的に重視してきた。脳震盪など、コンタクトプレーに起因する負傷や症状に対する懸念は、過去20年で全米に広まった。コンタクトプレーの無いフラッグフットボールは、プロテクターやヘルメットなどが不要で、費用や参加しやすさの点でも優れている。
プロボウルゲームズでは、日曜日のAFC対NFC戦だけでなく、様々なフラッグフットボールの試合が組み込まれ、米国の国内外から女子と男子のトップユースフラッグチームが集結するという。
フラッグフットボールは、国際アメリカンフットボール連盟(IFAF)と米国の競技統括団体「フットボールUSA」が、2028年の夏季五輪ロサンゼルス大会で、追加種目としての実施を目指している。この動きには、NFLも全面的に協力している。今年の7月には、五輪に次ぐ規模の世界的総合スポーツ大会、ワールドゲームズ米アラバマ大会で競技として実施された。
プロボウルとの関連では、2005年のプロボウルウィークで、すでに引退していた2人のQB 、ダン・マリーノとスティーブ・ヤングがフラッグフットボールで対戦したことがあった。
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