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2023-04-22

タッグマッチが初舞台は96人中わずか5人、立て続けに4人のデビュー相手を務めたのは? 記録で見る新日本プロレスデビュー戦【週刊プロレス】

スコット・ノートンを水車落としで投げる中西学

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新日本プロレスにおけるデビュー戦といえばシングルマッチが定番。それも中堅相手はほとんどなく、先輩とはいえ、まだヤングライオンの域を抜け出していない先輩の胸を借りて初マットを踏む。新人同士のデビュー戦は過去に武藤敬司vs蝶野正洋、柴田勝頼vs井上亘、大岩陵平vs藤田晃生の3例しかない。そのうち勝利したのは武藤と井上だ。

生え抜き第1号の浜田広秋(のちのグラン浜田)からボルチン・オレッグまで96選手が新日本マットでプロレスデビューを果たしているが、その大半がシングルマッチ。デビュー戦で初めてタッグマッチが組まれたのは中西学(1992年10月13日、大阪・東大阪市中央体育館)。それは事前に予定されていたものでなく、藤波辰爾と組んで「SGタッグリーグ戦」に出場予定だったビッグバン・ベイダーが直前にUWFインターナショナルに移籍。パートナーが不在になったところに、バルセロナ五輪出場を終えてプロ転向を表明した中西に白羽の矢が立てられたものだった。

ほかにタッグマッチでプロレスデビューしたのは、長尾浩志(2003年2月2日、北海道・月寒グリーンドーム)、エンセン井上(同年3月9日、愛知・名古屋レインボーホール)、北村克哉(2017年3月13日、福井県産業会館)、そしてボルチン・オレッグ(2023年4月2日、東京・後楽園ホール)と、50年を超える新日本の歴史で5人しかいない。すでに総合格闘技で実績を残しているエンセンは別格として、それ以外の4選手は入門前の実績、恵まれた素質から期待されてのもの。決してエリートコースが用意されたわけではないが、そのあたりが叩き上げの生え抜きがファンの支持を得る新日本らしさでもある。

さて残る90人のデビュー戦の相手を並べてみると、ある傾向が浮き上がってくる。それは、直前にデビューした若手が相手を務めていること。そこには、「後輩には負けられない」とのライバル心を駆り立てる狙いが隠されているとともに、先輩との対戦では試合運びでもリードしてくれるのでガムシャラに向かっていくだけでいいが、後輩相手になると試合を引っ張っていかなくてはならない。そのあたりの勉強も兼ねてのカード編成となる。

さて、70年代までで中堅の胸を借りてデビューしたのは、橋本小助(vs魁勝司=北沢幹之、1974年9月21日、福岡・久留米市田主丸青果市場特設)、イワン・ゴメス(vs藤原喜明、1975年5月16日、東京・日大講堂)、佐山聡(魁勝司、1976年5月28日、東京・後楽園ホール)、バッファロー・アレン(木村聖裔=健悟、1977年12月1日、大阪府立体育会館)、前田日明(vs山本小鉄)、原薗善由紀(vs荒川真、ともに1978年5月28日、新潟・長岡市厚生会館)、平田淳二(vs藤原喜明)、斉藤弘幸(vs魁勝司、ともに同年5月29日、長野・飯山市体育館)。いずれも相手を務めたのが道場でコーチ役なのも特長だ。

80年代に入って、新倉史祐が荒川を相手に(81年1月15日、東京・福生市民体育館)、山崎一夫がブラック・キャットを相手に(82年5月6日、福岡スポーツセンター)、山田恵一が小杉俊二を、佐野直喜が仲野信市を相手に(いずれも84年3月3日、東京・後楽園ホール)あたりが、キャリア3年以上の先輩とデビュー戦が組まれている。

新人キラーといえるのが松田納(のちのエル・サムライ)。大利博史(89年9月17日、三重・浜島町コミュニティー広場特設リング)、三澤威(同年10月22日、青森・十和田市体育館)、小原道由(90年6月30日、長野・上田市民体育館)、山本広吉(のちの天山広吉、91年1月11日、愛媛・今治市公会堂)と、間に北尾光司、金本浩二を挟んで4人のデビュー戦の相手を務めている。最後の山本を相手にした時点でもまだキャリア5年に満たない。

プロレスのセオリーをほとんど知らない新人だけに、何をしてくるかわからない。それでも首脳陣から「彼に任せておけば安心」と、若くして信頼感を得ていたことが、この記録からうかがえる。

橋爪哲也

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週刊プロレスNo.2240 (2023年5月3日号/4月19日発売) | 週刊プロレス powered by BASE

今週号の表紙は11年ぶりに開催が決まった「ALL TOGETHER AGAIN」の会見に集結した新日本の棚橋弘至、全日本の宮原健斗、NOAHの清宮海斗です。プロレス業界としてコロナからのリスタートとアントニオ猪木さん追悼の意味を込めた大会の開催発表会見を再録。また巻末言では過去2回メインに出場した棚橋が開催意義を語っているので必読。スターダムは代々木でビッグマッチ開催。「シンデレラトーナメント」はMIRAIが桜井まいを破って、史上2人目となる連覇達成。メインでは横浜アリーナ決戦を前にジュリアと中野たむがワールド王座最後の前哨戦。試合後には白川未奈と月山和香のコズエン離脱、さらには安納サオリの電撃加入など波乱続出の大会を巻頭で詳報。横浜アリーナへ向けて中野と白川のインタビューも掲載。新日本関連は新IWGP世界ヘビー級王者・SANADAとJust 5 Guysで結託したタイチの対談を企画。試合はアメリカで始まったIWGP世界&ジュニアの前哨戦もリポート。NOAHは仙台ビックマッチを追跡。GHCヘビー級王者のジェイク・リーが中嶋勝彦を下してV1のほかタイトルマッチ中心にリボート。5・4両国決戦へ向けた動きも加速。そのほか全日本・名古屋&浜松、DDT新宿&新潟、ドラゲー福岡、大日本・後楽園&札幌、GLEAT後楽園、東京女子・後楽園、仙女・新木場、アイスリボン川口など掲載。【注意】発送後の返品・返金は原則不可とさせていただきます。送料は無料ですが、第三種郵便での発送となります。約1週間でのお届けとなります。土日祝日の配送がありません。また、事前に購入されても発売日にお届けすることは、お約束できません。ご了承ください。

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