アメリカンフットボールの国内最高峰・Xリーグ「X1スーパー」は9月9日に開幕した。2020年シーズン以来の王座奪還を目指すオービックシーガルズは、開幕の電通クラブキャタピラーズ戦(9月10日)と、第2節のノジマ相模原ライズ戦(9月24日)を、ホームである千葉県習志野市の第一カッターフィールド(秋津サッカー場)で戦う。
これまでも毎年ホームゲームを戦ってきたオービックだが、開幕から2試合連続での地元開催は初めてとなる。この2連戦を心待ちにしている、一人のファンがいる。「オービックシーガルズ習志野応援団長」の織戸克久さんだ。
人生の節目にオービックと出会った 「ホームゲームが2倍に増えた喜びを今まさに実感しています」と話す織戸さんは1969年生まれ。習志野市内で自動車整備工場を営んでいる。開幕前に54歳となった。
小学生の時、父親の実家のテレビで観たNFLの試合が、アメフトとの出会いだった。当時少年野球をやっていたが、アメフトの文房具(下敷きや鉛筆削りなど)は、良く使っていた。強肩・剛腕で知られたマイアミ・ドルフィンズのQBダン・マリーノの活躍には、胸が躍りワクワクしたという。
オービックのファンになったのは、20年前に習志野をホームタウンとしたことがきっかけだった。その年は、織戸さんの人生にとっても、大きな節目だった。
娘が誕生し、父を亡くし、地元の青年会議所に入会した。特に父を失って悲しみの中にあった織戸さんをオービックシーガルズが元気づけてくれた。
「オービックシーガルズは、父の生まれ変わりだと勝手に思ってます。会うと安心するガルズファミリーは、みんなが本当の家族のような存在です」と織戸さんはいう。
2012年には、チームスタッフの脇田雅史さん(現事業部長)、中心選手だったDEのケビン・ジャクソンが会社を訪問。当時はライスボウルを連覇中で、無敵の王者だったオービックを、織戸さんだけでなく、会社ぐるみ家族ぐるみで応援するようになった。
オービックが実施していたJr.アスリートファクトリーには、織戸さんの愛娘が小学校4年生から参加し、小学校6年生の時にはバレーボールのクラブチームの全国大会に千葉県代表として出場することができた。フラッグフットボールやしっぽ取りゲーム、体幹トレーニングなどで、(オービックの本拠地である)茜浜のグラウンドでスポーツをできたことは、引率した親としても、一生の思い出の時間となった。
「習志野にアメリカンフットボールのチームがある事自体が奇跡です。習志野に来てくれて本当にありがとうございます。改めてオービックシーガルズのみなさんに感謝申し上げます」。
『負けた時こそ応援しなきゃダメでしょ!』 とはいえ、習志野応援団のスタートは、無敵王者だった時代ではない。宿敵・富士通フロンティアーズに屈して、日本一の連覇が途絶えた2014年12月だった。地元の居酒屋での話し合いは『負けた時こそ応援しなきゃダメでしょ!』ということだった。それから毎月1回『習志野から日本一会議』を開催してきた。
最初は、情報の共有から始まり、今では様々な団体と団体、人と人が繋がってきた。織戸さんは「この繋がりが間違いなくまちの活力になっています」と語る。
「初めて習志野市でのホームゲーム開催が決まった時は、2,000人のファンでスタンドを埋め尽くすぞ!心がひとつになり結果観客数2,342人スタンドをアクアグリーンに染める歴史的な試合となりました」
この試合では、オービックとIBMが、手に汗握るシュートアウトを展開し、オービックが逆転勝利した。
織戸さんは、今回のホーム2連戦について、「まず初めにホームゲームを2試合実施させていただくことに対し、芝を管理しているスタッフの皆様に感謝申し上げます」という。サッカー日本代表が練習グラウンドとして使用していたことでも知られる秋津サッカー場への謝意を忘れない。
そして「いつもなら、1年後にしか訪れないホームゲームが2週間後にまたやってくるなんて信じられません。ホームゲームや地域活動では、習志野らしさをもっともっと探求していきます」と、目を輝かせる。
選手を信じて 仲間を信じて 今季、新たに大野洋ヘッドコーチが就任し、体制が一新したオービックに、織戸さんは「離されないように団長も『ぎゅっと』ついていきます!そして、日本一の応援団になります」と語る。
織戸さんにとってオービックシーガルズは、「人生の一部、なくてはならないかけがえの無い存在」だ。その織戸さんが、習志野応援団長として他のファンに伝えている言葉がある。
『選手を信じて 仲間を信じて 自分を信じて 心をひとつに』
「地域のみんなに支えられチームの皆さんに勇気をもらいそのおかげで今の自分があります。日本そして習志野にアメリカンフットボールの文化を一緒に築き上げていきましょう。1プレイ1プレイがその文化を作り上げると信じています。もちろん全力で応援を続けて行きます」。