【陸上】鹿児島国体・中学記録保持者の増子陽太が高１歴代２位で激戦を制覇　中学歴代２位の菅野、３位の新妻も高１歴代トップ10入りの快走

2020年に新型コロナウイルス感染拡大の影響により３年延期となった鹿児島国体が13日から17日まで５日間、白波スタジアム（鴨池陸上競技場）で鹿児島特別国体として行われた。来年から「国民スポーツ大会」となる今大会。「国体」として最後の開催となった今年、中学生からシニアのトップ選手までの選手たちが、各種目で躍動した。

2022年に、３人が従来の中学記録を上回った男子3000ｍ。この最強世代が高校１年生になり、鹿児島国体の少年Ｂ3000ｍで再戦した。

決勝は、昨年の茨城国体で８分11秒12の中学記録を樹立した増子陽太（学法石川高・福島）、同大会で中学歴代３位の８分16秒78をマークした新妻遼己（西脇工高・兵庫）が引っ張り、1400ｍから２人のマッチレースに。増子は「中学の延長戦」だと思いながら走っていたという。中学時代から、「勝つためには積極的に前に出る」のが増子の信条。1000ｍを過ぎて、「新妻の動きが若干きつそうだったので、これは行くしかないと思った」と前に出た。

しかし、新妻も食らいついて離れない。最後のコーナーで今度は新妻が出たが、増子は「相手のきついところを一瞬でも見逃さない気持ちで、力を振り絞りました」と残り50ｍ付近で再逆転。高１歴代２位の８分05秒32で優勝を飾った。２位の新妻は、目標にしていた優勝は果たせなかったが、高１歴代３位の８分07秒47と好走した。


中学記録を持つ増子（左）が高１歴代２位の８分05秒32、中学歴代３位を持つ新妻（右）が高１歴代３位の８分07秒47をマークした（写真／中野英聡）

中学歴代２位の８分15秒21を持つ菅野元太（仙台育英高・宮城）は、予選が終わってから体調を崩した影響で、３位狙いに切り替えて集団のなかでレースを進めた。中学時代の自己記録には届かなかったものの、最後は混戦の３位争いを高１歴代10位の８分17秒18で制した。


中学歴代２位を保持する菅野は高１歴代10位の８分17秒18で３位争いを制した（写真／黒崎雅久）

今大会でトラックの主要大会は終わり、これから本格的な駅伝シーズンに入っていく。増子の学法石川高、新妻の西脇工高、菅野の仙台育英高は、いずれも昨年の全国高校駅伝で入賞している強豪校だ。新妻は「西脇工業のエースとして負けない選手になっていきたい。駅伝に向けて、しっかり努力していきます」と、双子の弟で、同じ西脇工高の昂己と共に高みを目指す。今大会は不完全燃焼だったという菅野も、「仙台育英は全国優勝を狙っているので、１年生であることに臆せず頑張ります。シーズン後半に入って、自分でレースをコントロールする力がついたので、駅伝につなげていきたいです」と抱負を語る。

それぞれのチームが県高校駅伝で１位を取れば、12月24日に京都で行われる全国大会に進む。３人のほかにも、現１年生には楽しみな選手がそろっている。都大路でルーキー旋風が見られるか。